#2000字のドラマ
からやぎ【短編小説】
インスタグラムを開けば、都会に出ていった同級生たちのすてきな日常が、私をボコボコに殴ってくる。打ちのめされて、モヤモヤとした暗雲のような気持ちが心の底に溜まっていくのを感じる。ハァ〜〜〜。煙草の煙と一緒に、思わず特大の溜息をつく。流行りの店、都会にしかない服、化粧品、話題のスポット…。そんなものこの田舎町にはない。何処を探したってひとつも無い。
「幸せが逃げたな」
いつの間に隣に立っていた上司が
Isolation、夏の入り口、屋上にて。【2000字改訂版】
あれは、僕が大学に入りたてで、まだ「学生寮」に入っていた頃のことだ。
田舎の大学だったけど学生寮はさらに田舎にあった。
夜のアルバイト上がり、終バスまでに乗って帰るというプランはほぼ絶望的で、夜遅くに人のいない田舎道をとぼとぼ歩いて帰るのが日課になるようなところだった。
当時、寮にはエアコンがなく、夏になると暑すぎる部屋を出て屋上で風に当たっていたのだけど、周りは山と田んぼばかりだったのでそれでな