「隣の救世主」第3話
授業の途中、後ろから教室に入る。
何となく物音を立てないようにしていたが、教壇に立つ葉山先生と目が合った。
幸い何も言われずに自分の席まで辿り着いたのだが、八谷さんは見逃してくれず、机ごと寄せながら小声で話しかけてくる。
「ねえ、どこ行ってたの」
「ちょっと」
「今朝から頭がおかしくなって保健室とか運ばれたのかと思って心配しちゃった」
「……至って健康です」
「八谷、何やってるんだ」
「どこまで進んだか教えてあげてました」
「……それならいい」
葉山先生の目をうまく切り抜けた