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武川蔓緒
2022年8月13日 23:55
かつては駕籠。時はすすみ人力車。そしてクルマ。と、私の一族を数百年、形は変れど、迎えつづける男が独り、いる。「一族」「貴い家柄」……なんて、笑止千万。昔の話。乱れ崩れうらぶれた果て、唯独りのこった末裔は、クラブホステスの私。それでも、迎えはくる。前当主の父が変死したその日、喜助は私のもとに現れた。父とは疎遠ゆえ、他人より「○○家当主には迎えの従者が今もいる」と伝説か冗談の
沙月Q
2022年8月13日 20:38
多分僕は、映画をあまり愛していないのだと思う。 学校では映画研究部に所属し、月に二、三本は必ずロードショーを観ていた。いや、そもそもそのペース自体、あまり熱心な映画ファンとは言えないだろう。部員仲間には、週に一本どころか、毎日のように映画館に通いつめる者もいた。一体、どこからそんな金を捻出していたのやら… そう、例え食うものを食わずとも、映画を観るための金は捻り出す。 それが真のシネフィル