勇者マサヒコがちゅんちゅんになるまで【短編小説】
賑やかな青空市場で、周りに合わせてぶらぶら歩きながら、俺は途方に暮れていた。
大きな傘のように、布の屋根が天井に張られ、その下に商品が積まれている。果物や肉や洋服や器……ありとあらゆる雑多なもの。呼び込みの言葉は聞いたことのない言語だった。その間を縫うように、色とりどりのローブやマントを羽織った客が、店のものとお喋りしたり、値切り交渉をしたりしながら、賑やかに商品を購入している。
俺は、半日ほど前に森の中で意識を取り戻して、ここまで歩いて来たのだが、それ以前の記憶が