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「源氏物語キャスティング」ごっこ

私のひとり遊びのひとつに「源氏物語キャスティング」がある。源氏物語を映画化するとしたらどんな配役にするかを私が考えるのだ。時間が空いてしまったのに読むべき本も手元にないようなとき、これを考えて遊ぶ。なかなか楽しいよ。

ずいぶん以前から折に触れてやっているが、20年間ニューヨークにいて、その間、日本の役者さんのアップデートができていないので、最近の若手俳優に疎い。どうしても30年くらい前に旬だった女優さんたちをキャスティングしてしまうので、それぞれの役者さんたちが20代だった頃を想像しつつお付き合いいただきたい。

一番最初に浮かんだのは葵の上で、大地真央さんを抜擢した。源氏の君より4歳年上でプライドが高く、親しみにくい高貴な女性という役柄にぴったりだと思うがいかがだろう。弘徽殿の女御は吉田羊さん。「光る君へ」を見て彼女がピタッとハマるような気がした。

私が大好きな末摘花は当初、久本雅美さんをキャスティングしていたが、なんだかいかにもな感じなのでもっと意外性があって楽しいキャスティングをしたいと思っていたら、たまたま40年くらい前にテレビドラマ化された源氏物語の一部をYouTubeで見た。

そこで末摘花を演じていたのが風吹ジュンさん。下手くそに琴を奏でている一瞬のシーンだったが、それがしょーもないほど可憐で、きれいな女優さんが末摘花を演じる意外性と、押し付けがましさのない可笑しさにしびれてしまった。真似するのは癪だが、私も末摘花は風吹ジュンさんで行きたい。

素晴らしい女性として描かれているが、私にはこれといった個性が感じられず、理想的すぎてかえって魅力を感じられないのが紫の上。でも、”これぞ源氏の理想の女性”である紫の上を演じるのに相応しいのは、昭和の国民的大女優、吉永小百合さんをおいて他にはいないと思った。待てよ、沢口靖子さんもいいかもしれない。

あ、それとも、紫の上は沢口靖子さんで、吉永小百合さんは藤壺がいいだろうか。

癖のある登場人物としては、六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)。源氏より年上の高貴な女性で、気品も教養もありプライドが高い未亡人。源氏に対する執着が激しく、生き霊となって源氏の正妻である葵の上や夕顔に取り憑く、暗い情念をメラメラと燃やす女性でもある。暗い情念と言えば日本版マクベス「蜘蛛の巣城」という連想が働いて、六条御息所は山田五十鈴さんでキマリ。

源氏物語には、60歳近くなっても、20歳そこそこの源氏に色目を使う源典侍(げんのないしのすけ)というキョーレツな女性が出てくる。40歳ですでに老人とみなされていた時代の60代だ。源典侍にはモデルがいたのか、それとも紫式部の全くの創作なのだろうか。だとしたら相当想像がたくましいな。これを誰に演じてもらうか考えるのは楽しかったが、なかなか難しかった。で、たどり着いたのは桃井かおりさんなのだが、怒られるかな。いや、きっと楽しく演じてくれるだろう。

他には、玉鬘に浅野優子さん、夕顔に黒木瞳さん、明石の君に竹下景子さんなどなど。。。やっぱりこの役はこの女優さんがいいだろうとか、あっちの姫とこっちの姫の配役を交代させたらどうなるか、なんて考え始めてなかなか最終的なキャスティングが決まらない。が、それもまた楽しからずや。

ところで、光源氏をはじめ、男性の登場人物はまだ全く手付かず状態だ。多分、その理由は、源氏物語は源氏が主人公として語られているが、実は女性たちの物語だからだ(と私は思う)。それから、物語の中で源氏が輝くほど美しい男性とされているが、私は源氏の君にそれほど興味が持てない。この当時の美男子というのは引き目、鉤鼻、色白、もち肌でしょう。百人一首に描かれている貴族のような。。。今の基準で、それが美しい男性の範疇に入るのか、はなはだ疑問。

ともあれ、光源氏にはかつて押しも押されもせぬ”二枚目スター”だった沢田研二さん(20代の頃の💦)がいいような気がする(前述したドラマでも沢田さんが光源氏を演じていた)が、彼は顔が和風じゃない。風貌で言ったら20代の頃の東山紀之さんだろうけど、ちょっと色気が足りないなあ。。。そこで思考がストップしてしまった。

ところが、noteで知り合った源氏物語大好きとおっしゃる方が、光源氏のキャスティングに「光る君へ」に出演中の三浦翔平さんを推されていて、「パーフェクトマッチ!」ポンと膝を打ちたい感じだった。

ちなみに、もし私が女優で、監督から「源氏物語の映画に出してやるよ。どの役でも好きな役につけてやるけど、どの姫がいい?」と言われたら、一も二もなく「末摘花でお願いしまーす!」と答えるだろう。




らうす・こんぶ/仕事は日本語を教えたり、日本語で書いたりすること。21年間のニューヨーク生活に終止符を打ち、東京在住。やっぱり日本語で話したり、書いたり、読んだり、考えたりするのがいちばん気持ちいいので、これからはもっと日本語と深く関わっていきたい。

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