約1300年踊り継がれてきた舞楽を
国の重要無形民俗文化財
先日、教育委員会の文化振興係の係長さんにご挨拶をした時、
頂いた名刺の写真が目に止まった。
獅子舞と天狗の面を被った男性が、深い陰影と共に浮かび上がる。
「あ、これね、僕なんですよ」
目線に気づいて、係長さんが笑って言った。
マスクで隠れているが、目鼻立ちの凛々しい40代くらいの男性。
「国のね、重要無形文化財の舞楽なんだけど、知ってるかな?」
存在は知っていたけれど、いつか観たいと思っていた舞楽。
でも、いつどこで祭典があるのかなど、何も知らなかったので、
「いつかね…」と心の片隅に置いていた。
「実は来週末に観れますよ」
「え!ぜひ行きます!」
舞い上がりそうな気持ちを抑えながら、お話を聞く。
「今年はね、コロナでぜんぜん練習出来なくて、後継者育成も難しくて...」
と複雑な表情の係長さん。
舞楽って聞くと、敷居が高いイメージがあったけれど、
こんな身近に舞われている方がいるなんて想像していなかった。
伝統芸能とは少し違って、保存会や地域の方々が後世へ伝えていくこと。
歴史ある神社が、昔から人々の生活の傍にあって、
八百万の神様を敬う気持ちが、当たり前というか自然というか。
そんな違いに気づいて、少し驚く。
後日、詳しいスケジュールやチラシを送って頂いて、
当日は、朝から家族で小國神社へ出かけた。
古より伝わる伝統の舞楽「国指定重要無形民俗文化財 古式十二段舞楽」拝観のご案内
小國神社の御例祭
毎年、4月18日に一番近い土日に行われるのだそう。
十二段舞楽は、お清めの“花の舞”から始まって、
一番の“連舞”、二番の“色香”と続き、
途中、神幸祭の御神輿などをはさんで、
十二番の“獅子”まで。
ほぼ一日かけて奉奏される。
神社に到着して驚いたのは、人出の多さ。
すでに参道に近い駐車場はほぼ埋まり、
臨時駐車場になんとか車を停めることが出来た。
一歳児連れなので、早めに開始時刻より前に来たのに、
一足遅かったみたい。
舞台の前には、カメラマンたちがビッシリ。
観覧する人々は、若い方からお年寄りまで、子連れ、孫連れ、、
単なる儀式という遠いものではなくて、
意識や生活に根付いて、近しいものとして愛されているのが、
伝わってくる。
プログラムを観ると、
なんと係長さんの出番は、最後の“獅子”!
最後を飾るだなんて、本当にすごい方なのだなと驚きました。
ただ一歳児連れでは、長くは保たず...早々に飽き...
色香まで観て、御池の鯉を愛でて帰りました。
いつの日か、最後まで観たい。。
昔も今も変わらないもの
所作や音で表現し、それを次の世代へ伝え、
気持ちは色褪せず、その時代の風を取り込んで、
いつまでも残っていく。
それが一千年以上も続いていることに、感動しました。
それぞれの舞の解説を読んでいると、
意外なことに気づきました。
今まで神社とは縁遠い暮らしをしてきたので、
知らないだけかもしれませんが。。
神様を畏れ崇めるだけでなく、
自然物への愛や、笑いを盛り込んだ舞があること。
神様へ捧げる、儀式ばったものでも、
最初は人間がつくったんだなぁと、親近感を感じました。
現在は、古式舞楽保存会が頑張って継承活動をしているので、
私も賛助会員になろうと思います。
一口3000円なら私も続けられそう。
また来年も観に行きたいです。