見出し画像

night city#9 end

しばらく走って
裸足で走って
ずっとずっと
どこかを探して逃げて
でもそれがどこかわからなかった
でも足を止めるわけにはいかなかった
今ここで止まってしまったらきっともう死んでしまう
今止まってしまったら何もかも終わってしまう
私の人生はすべて水の泡だ

裸足だったけど
足も冷たかったけれど
そんなこと気にしなかった
ってかそんなこと頭の片隅にもなかった
逃げるのに必死だった
いつも気にしてた周りも気にしなかった
どうでもよかった

ただ私は走らなきゃいけなかった
だんだん息が苦しくなって
あの日は確か土砂降りで
みんな傘も持たずに必死で走る私を見て
足を止めていて
でも誰一人助けようとはしてくれなくて
ただ私に視線を向けてるだけだった
そこにいる全員の視線がきっと私だった
母は追いかけてきてなかった

逃げてきてしまった
私は逃げてしまった
現実から
母から
世の中から
そうだずっと逃げたかったんだ
でもできなかったんだ
ただ今がその時だと思ったんだ
私はただ逃げてしまった罪悪感に襲われていた
でも今更もう帰ることはできなかった
私は罪悪感と恐怖と逃げたい気持ちに首を絞められていた

息が苦しくなって
足がもつれて
なんか視界がかすんできて
…そこで記憶が止まっている
何があったんだろう
トーキョーにいた私を
誰かがいらないと思って捨てたんだ

倒れた私を
誰かが捨ててしまって
この『night city』に
目覚めたら此処にいただけだけど
なんとなくそんな気がして怖かった
怖いなんて思っちゃいけないと思うけど
ごめんなさい
有害で
失敗で
優秀じゃなくって
こんなしょーもないことばっか書いて
どっかのだれかさんごめんなさい

こんな怪しすぎる手紙
いったい誰が受け取ってくれるんだろう
みんな賢いから
受け取ってくれないかもしれない
誰か受け取ってほしいな
なんて思っちゃって
なんで私は手紙を書こうと思ったんだろう
誰かに愛されたかったからかもしれない
私を愛してくれる人がいるんじゃないかって
そんな妄想傲慢だけど
でも願ってしまう自分がいて
誰か私を愛してくれませんか

   p.s.

これってこのポストに入れたらいいのかな
ちゃんとトーキョーに届くかな
きっとないけど誰か返事くれないかな
 私はいつでも待ってます

やっぱり私は何か忘れてしまっている気がする
もうすべて思い出したはずなのに

     
『night city』より


こんばんは!raraです
今回もヴィランに引き続き裏側などを公開します
ぜひよければそちらも見てください!
次作はいつになるかわかりませんが今めちゃ必死に書いてます
もう少しお待ちください…!!
ヴィランと違って毎日投稿はできませんでしたが
次作は速いペースで出せるよう頑張ります!
そして投稿当初は6000字と言ってたのですが
たくさん修正を入れていたら約9000字になってました笑
以上raraでした!

この記事が参加している募集