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2025年「あなたの志は何ですか?」

新しい年になりました。

noteをはじめて半年強、日々考えるちょっとしたことを記事として書いているわけですが、そうすることで自分自身でも初めての気付きがあったり、日々の行動を見直したりと、いろいろなメリットを感じています。

何を書こうかと構想するなかで、自分が日常の物事について、どう感じ、どう行動したか、それで良かったのか、などと考えを巡らせます。

ひとつひとつの自分の言動を意識する事は大切であるとともに、それらに一貫する「芯となるスタンス」を自分の中に確認しておくことも、同様もしくはそれ以上に重要ですよね。

同じことの繰り返しの中で何となく過ごしてしまいがちな毎日ですが、信念や目標はあるのか… 今日はそのあたりを少し書いてみたいと思います。

「神は細部に宿る」

「神は細部に宿る」という有名な言葉があります。19世紀のドイツの美術史家ヴァールブルクや、20世紀はじめの建築家ミース・ファン・デル・ローエが用いた言葉とされますが、細部にこだわった丁寧な作品は、神が命を宿したかの様な不朽の作品になる、と言うような意味かと思います。

この言葉は現在まで多様な場面において用いられており、例えば日常においても、丁寧に作った料理は食べた人が美味しいと感じるとか、ビジネスにおいても顧客サービスが細かく行き届いていると売り上げ増に繋がるとか、みなさんも実感することがあるのではないかと思います。

戦国時代の武将、北条氏康の名言「小事を疎かにするべからず」を耳にされることも多いと思います。何事をするにしても、目の前のことをこつこつときっちりやらない限り、目的には到達できません。
「神は細部に宿る」と同様の教訓を与える言葉だと思います。

ただし、言葉が独り歩きして、細かい事を大切にするがあまり、全体的な方向性が見えなくなる、見落としてしまう、という事も起こり得るため、常に注意しておくことが大切です。

細部にこだわりすぎて全体像がつかめていない様を表す言葉に「木を見て森を見ず」があります。インド発祥の寓話から広まった「群盲象を撫でる」という言葉も、通じる部分がありますね。

会社で、上司に言われるがまま、わけもわからずやたらと細かい作業をやっている様や、他人からの承認欲求に囚われてSNSの発信内容を細かく調整する状況などは、これに相当する可能性があるのでは?と思ったりします。

「あなたの志(こころざし)は何ですか」

話は変わりますが、この問いかけを耳にしたことはありますか?

幕末の長州藩士であり、明治維新の精神的指導者として知られる吉田松陰については、皆さんよくご存じのことと存じます。
松陰は私塾「松下村塾」で、後の明治維新で重要な働きをする多くの若者に思想的影響を与えました。

少し前になりますが、NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」で、伊勢谷友介さんが演じる吉田松陰が、「あなたの志は何ですか」と問いかける場面が何回か出てきました。

「高杉君、君の志は何ですか? 僕の志はこの国をよくする事です。志があれば罪人でも生きるんは楽しい。やる気が尽きる事はない。志を立てる事はすべての源です。君がもし、この小さな萩のご城下で由緒ある武家の跡取りとして人生を考えとるなら君にとってそれはつまらん事でしょう。君はそれを望んじゃおらんのだから。志は誰も与えてくれません。君自身が見つけそれを掲げるしかない。君は何を志しますか?」

吉田松陰は多くの言葉を残していますが、「大事なことを任された者は、才能を頼みとするようでは駄目である。知識を頼みとするようでも駄目である。必ず志を立てて、やる気を出し努力することによって上手くいくのである。」という事も言っています。

まずは大きな目標があって、それを達成するために強い意志を持ち、学び、手段を考え、実践することによって人の心をも動かして「志」が実現できる、そのことこそが生きることである、ということですね。

大きな目標は、一朝一夕に成し遂げることはできません。小さなことを日々コツコツと積み重ねることが成功への王道です。
ここで「神は細部に宿る」が生きてきます。小事を疎かにしない、日々のちょっとしたことの積み重ねが大切になってきます。

松陰の思想や行動については議論もあるところですが、獄中の期間も含めて書き留めた言葉は名言として残されています。

このように簡潔にまとめられた本もありますので、素早く知りたい人は参考にして下さい。

現在の日本人は「志」を持てている?

明治維新のあと、日本は何度かの戦争を経験しつつも、その後は比較的平和で平穏な時代を長く続けています。

そんな現代を生きる私たちは、倒幕の志士達が抱いたような大志を実感することは難しいのかも知れません。

日々の関心事といえば、如何にして、ライフワークバランスを保つか、効率よくお金を儲けるか、美味しいものを食べるか、心穏やかに過ごすか、映える写真を撮ってSNSにアップするか、多くのフォロワーを獲得するか… そんな事が主体になっているのかも知れません。

もちろんそれは、現代において「よく生きる」ための方策なのだろうと思います。それらを極めるためには「神は細部に宿る」を意識して、ひとつひとつを丁寧に行うことが、とても大事なことだと思います。

ただ、それが自らの人生において追及すべきものなのだろうか、と考えるとちょっと違う様な気もします。生きる目標なのかと言われると、前述した関心事の多くはどちらかというと「手段」ではないか、という気がします。

ではその「手段」を丁寧に扱うことによって、何に近付こうとしているのか、また何を目指そうとしているのでしょう。
吉田松陰の言う「志」に相当するものを、多くの人が見つけられていないのが現在の日本人がおかれている状況ではないかという気がします。

「成瀬は天下を取りに行く」

2024年の本屋大賞は、宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りに行く」でした。

この時代に「天下を取る」って??

主人公の成瀬あかりは、幼いころから絵画や学業の才能にも恵まれ、「200歳まで生きる」と独自の目標を立てマイペースで学生生活を送る個性的な中学生として登場します。

以下ネタバレを含みますが…

あかりはコロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い続けてテレビに映り、幼馴染の島崎みゆきと「ゼゼカラ」というコンビでM-1グランプリに出場。県内屈指の進学校に進んで全国高校かるた大会に出場し活躍。西武大津の閉店を巡って縁のできた吉嶺マサルにスカウトされた「ゼゼカラ」は、地元自治会の夏祭りの総合司会を毎年務めることになります。

成瀬は一見、等身大の中学生でありながら、自分で次々と大きな目標を立て、そのために当たり前の様に日々の努力をこなし、どんどん自分で道を切り開いていきます。同級生らと「群れる」ことはせず、大きな目標と比べると「他人の目」など些末なことは一切気にすることなく、それでいて義理人情を大切にして周囲の人を惹きつけていく…といった物語です。

もちろん現代は幕末と違い、前述した吉田松陰の言う「志」を持ちにくい時代です。
そんな今の日本において、この主人公はまさに志を持って、実現のために小事・細部を大切にしながら、のびのびと生きているモデルの様に感じました。

還暦過ぎの私ですが、この若い主人公から大切な事を再認識させてもらった気がします。

とてもテンポが良く、読後感が爽快な物語ですので、まだの方は一読をお勧めします。

なお続編も出ています。
物語のラストは2025年の年末です。

こちらは、個人的には前作以上に面白かったです。
ちょっと情けない主人公の父親に自分をダブらせ、共感を抱いたのも理由かな…?

まとめ

自分の趣味を寄せ集めて筆の進むままに書いていると、何の話をしていたのか分からなくなってきました…💦

責任上、まとめてみます。

要するに、私が大切だと思うのは、
・まずは望む世の中や自身の姿を想像したうえで、日々の過ごし方を考えること
・他人の目やつまらない誹謗などに惑わされない、大きな視点を持つこと
・そのうえで、日々の出会いや仕事などの一つ一つを丁寧に行うこと

ともすれば方向性を失いそうになる現代ですが、確固たる信念をもって物事に対していければ良いなと思います。

あなたの志は何ですか?

本年もよろしくお願いいたします。




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