冷え冷え実家LINE
私、妻、兄、父、母の5人からなるLINEグループがある。
兄は昨年から海外赴任しており、約1年ぶりの帰国が決まった。
帰国した先日、家族そろって食事に行った。
兄が帰国し東京から実家へ帰省するまでの1週間、帰省後食事の会場に集合するまで、家族のLINEグループでは1件のやりとりも行われない、完全な無風。
そもそも普段から雑談というものがなく、ほとんど事務的な情報伝達だけが行われており、返答は「はい」の2文字ですまされる。
食事の場は、みんなで一緒に実家で生活していたころの夕食風景を再現したような、話が盛り上がるということもない、なじみ深い静かな空気であった。
誰もしゃべらないとかそんなことではないが、1年ぶりの兄を交えた食事にしては盛り上がってなさすぎると思う。かくいう私もこの空気に慣れや諦めのようなものがあり、どう動いていいのか今更よくわからない。
兄も兄で、海外での暮らしぶりなどネタに事欠かないであろうに、積極的に話すようなことはない。
つまらないということでもなく、会話が少ないのがデフォルトなのだ。
唯一、外から加わった妻だけが積極的に兄と会話していた。ありがとう。
子どものころ、夕食で家族そろってもNHKニュースを見ていたり、バラエティを見ていたり、父の見る海外プロゴルフツアーを眺めたりしながら黙々と食事をしているだけで、会話らしい会話の記憶があまりない。
食事が終われば各々自分のスペースに引っ込んで、私も1人で遊んでいた。
今日学校で何をしたんだとかあまり尋ねられた覚えがなく、自分から身の回りの出来事を積極的に共有した覚えもない。
反対に父や母が職場での出来事や仕事の話をすることも少なく、どんな仕事をしていたのかよく知らない。
両親の趣味などにあまり関心がなかったし、両親も私が読む本や遊ぶゲームに関心をしめさなかった。
つい最近になってやっと当時の母の正確な職業を知ったほどである。
一方、妻には義母、義妹と3人のLINEグループがあり、そこでは毎日様々な会話が行われているらしい。仲が良く、いろいろなことを共有している。
全然ノリが異なるので、妻が私の実家LINEに加わったときは温度差にとまどっていたことを覚えている。
結婚後、徐々にお互いのコミュケーションや周りを取り巻く関係性が変化していく中で、良い意味で妻の側の影響を受け、私のほうが変化した実感がある。
妻と毎日のように、その日の面白かった出来事や嫌だった出来事を共有し、話し合うようになった。
単純に興味があるので、息子にも毎日保育園での出来事をたずねることにしている。
成長にともなって説明が上達し、その日楽しかった遊びや喧嘩した相手のことを話してくれるようになった。あからさまな嘘をついたり、「楽しくなかった」と返してくる日もある。
こういったやり取りが今後どういう意味を持つのかわからないけれど、息子がいずれ大きくなったとき、私たちを「話せる奴ら」だと思っていてほしい。
もっと楽しかったことを聞かせてほしいし、友達を家に招いてほしいし、困りごとがあれば相談してもらえるようになりたい。