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伊藤亜紗 著 「目の見えない人は世界をどう見ているのか」を読んで➀

 昨日はオンライン読書会に参加しました。課題図書は、タイトルにもありますが、こちら。

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 「見えない人」が、普段どのように暮らしていて何を考えているのか、ということと同時に、エピソードなどもここまで充実している本は初めて読みました。知識と情報量の多さだけではなく、それをベースに本音に迫っており、学術的な内容も読みやすい文章で書かれています。著者は、「見えない人に本気で興味があるんだな」と思わせる本を書いたと思いました。

 わたし自身も、クローン病を発症してからストーマになったので、障害者だと思い出したようなところがあります。「内部障害」といって、見た目ではわからない、伝えなければわからない、ということが、自分の障害の特徴のひとつで、そこが悩む部分でもあり、また悩まなくていい部分でもあるのだと改めて気付かされました。自分の障害者としての立ち位置が微妙な面もあると思いつつ、「面白い」と捉え直すきっかけになりました。

 健常者が障害者にどう接するか、についてもエピソードが書かれてあり、わたしも思うところがあります。「同情してはいけない、甘やかしてはいけない」となりすぎて、障害者にもいろんな人がいることを忘れて、必要以上にからかったりして結果的に傷つけていたり、健常者同志だったら普通にねぎらいの言葉をかけ合えるのに、障害者だと言えなくなってしまい、かえって、そんな距離感でもないのにさばけすぎたことを言ってしまうようなこともあるのではないかと思いました。このへんはわたしが感じたことなのですが、著者が高齢化社会についても書いているため、介護などの時にも必要な視点だと思いました。個人的には、優しい言葉をかけてもらったら「同情されてる…」とは思わないし、普通に嬉しいです。

 現実には、そのような優しさや思いやり、想像力を持って接してくれる人ばかりではなく、障害者というだけで見下してきたり、マウントするという形で、自分の人生の課題に向き合えない人に、かなりしつこく、精神的に利用されたりすることも見受けられます。(例えばSNS上での誹謗中傷)

 健常者と障害者でそれほど変わらないのではないか、と思えることもありました。P59の、物がなくなると大変なので、定位置に戻すようにする、ということや、P135~の、自立についてです。「自立とは依存先を増やすことである」「依存のスペシャリスト」とまでは、わたし自身なかなか考えられませんでしたが、何でも自分で出来るから自信につながるのか、依存していい時に、それが出来ないから自信が持てないこともあるのではと、考えを深めるきっかけになりました。自立とは依存しないことではないだろうし、依存を、どの地点から考えるか?ということにも興味が及びました。

 ②に続きます。



 

 

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