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禁止されるほど、やりたくなるよね
カリギュラ効果という、人が何かを禁止されると、逆にそれをやりたくなるという心理現象があります。
この効果は、ローマ帝国の暴君カリギュラを題材にした映画に由来ています。
「カリギュラ」は、1980年のイタリア・アメリカ合作映画です。当時のペントハウス誌社長ボブ・グッチョーネが46億円の巨費を投じて製作しました。表向きはローマ帝国皇帝カリグラの放蕩や残忍さを描いた重厚な歴史超大作であったが、実態はハードコア・ポルノであったと言われています。
アメリカでは、過激な内容のため、ボストンなどの一部地域で公開禁止になりました。しかし、これがかえって世間の話題を惹き、大ヒット作品となりました。このような心理効果を「カリギュラ効果」と呼びます。
カリギュラ効果は、ビジネスやマーケティングなどでよく利用されています。
例えば、「見るな」と言われると見たくなる、「限定」と言われると欲しくなる、「必要ない人は買わないでください」と言われると買いたくなる、「絶対に誰にも言わないでね」言われると言いたくなるなどの場合です。
カリギュラ効果は、人の行動を誘導する強力な心理効果ですが、その反面、効果が有効にならない場合、まったくの逆効果になります。「絶対に押さないでください」と言われて、本当に押さない場合などです。そのため、カリギュラ効果を利用する際には、相手の感情や状況を考慮し、適切に使うことが大切です。
カリギュラ効果を活用する際には、禁止する理由を明確にし、適度な強さの禁止を与えることが重要です。また、バーナム効果などの他の心理効果と併用することで、より効果的になることもあります。
バーナム効果とは、曖昧で一般的な記述に対して、それが自分に当てはまると感じたり、それが特別なものだと思ったりする心理現象のことです。
このバーナム効果とカリギュラ効果を組み合わせでると、非常に効果的な心理効果を生みます。
例えば、考聞いただけで考えてしまうという効果です。「好きな人を思い浮かべないでください」と言われると、絶対に一度好きな人を思い浮かべてしまいます。このように、禁止することで、そのことを頭の中に留めることができます。
有名な実験に、ダニエル・ウェグナーのシロクマ実験というものがあります。
ダニエル・ウェグナーのシロクマ実験とは、心理学の分野で有名な実験の一つです。この実験では、参加者にシロクマのことを考えるか考えないかを指示し、その後にシロクマについてどれだけ思い出したかを測定しました。
この実験の目的は、考えないように努力することがかえってそのことを思い出させるという「皮肉過程理論」を検証することでした。
皮肉過程理論とは、ウェグナーが提唱した理論で、人間は自分の思考をコントロールしようとするときに、実行過程と監視過程の二つの過程が働くと考えます。実行過程は思考を行う過程で、監視過程は思考が目的に反していないかをチェックする過程です。しかし、監視過程で思考をチェックするためには、その思考を覚えておく必要があります。そのため、考えないようにしようとするほど、逆にその思考が頭に浮かんでしまうというパラドックスが起こります。
シロクマ実験の結果は、この理論を支持しました。最初にシロクマについて考えないように言われたグループは、次にシロクマについて考えるように言われたときに、最も多くシロクマについて思い出しました。これは、シロクマについて考えないようにするために、監視過程が働き続けたためだと考えられます。この実験は、私たちの思考や感情をコントロールすることの難しさや限界を示すものであり、心理学の歴史において重要な役割を果たしました。
ですので、私の事は考えてはだめですよ?
そして、そこの♡マークは押してはダメですよ♡