女の朝パート16
5月27日月曜日
ここは吉祥寺駅の駅ビルアトレ2階にあるスタバ。じゃなくてTULLY'Scoffee。
5月にしてはかなり暑く、立っているだけで衣類から汗が滲みでる陽気だ。
森羅万象には必ず理由があると言うけれど、
自然現象と重力は、時空間だけではなく、人間の肉体にも歪みを引き起こすかもしれないと女は思った。
何故だか解らないけれど、ここに座っている事と良い、異常気象と良い、世の中では予想もつかないような事や、摩訶不思議な現象があっちでもこっちでも起きている模様。
そうきっと今この瞬間も。
ここまで一人呟くと女は写メをした。
そして続けた。
もし、人間の肉体もそうだとしたら、今の健康がいかに尊いのかととても感慨深い。
それなのに我々人間とは、どこにいても、どんな時間を過ごしていても、その欲望に限りがない気がする。
暗転
当たり前よ。
それが本能なのだから。
本能と本質とは別物なのよ。
それは生態学的にも解明されてきている事なのよ。
ただ未だに決定的なゴールがないのは、なぜかしら?
どこから都もなく、
女の声が聞こえてきた気がしたが、いつもの幻聴だと気にしないことにした。
暗転
時刻が正午を過ぎた頃女がやってきた。
先にお席をお取りくださいと書いてあるボードを無視し女はそのままレジへと向かった。
暫くすると左手にアイスコーヒーを握り、丸テーブルが沢山あるエアリアへとその歩みを進める。
慎重な足取りとは裏腹に女は眼光は鋭く、
黒目だけが世話しなく動いてるようだった。
女の背中は汗ばんでいた。
暗転
女は酩酊しているようだった。
千言万語を費やして女の心を表現したとしても、
事態は何も変わらない、
言葉にならない声を噛み殺し深呼吸をしてみても、
ワタシの目の前にあるのはアイスコーヒーだけ。
女よ。ストローにその唇を近づけて、形ないそれをそのまま受け入れるんだ!
完