女の朝パート20
土曜日の朝、
女は、田端駅の駅ビルアトレ2階にある、行きつけのSTARBUCKS coffee に行かないと、一日が始まる気がしなかった。
女の自宅は東京都下のK市内にあって、
ここではちょっとしたパーソナルルームも開いている。
エクササイズに限らず、セラピーやマッサージ‥も取り揃えており、
依頼が頂けたらパーソナルセッションを実施するシステムになっている。
だから、女の自宅に来るお客様は、
必然的に、ゆとりがあり、信頼があり、目的をしっかり持ち備えいるお客様に限られてくるのだ。
兎も角、この自宅は、女にとって人生初めて心の平安を実らせた場所だった。
そして、この自宅からこのスタバまでは、
電車を乗り継いで1時間とちょっと。
女の道中の大半は読書か睡眠だった。
活字の世界は女を魅了した。
前後不覚の世界は現実と向き合う為には必要不可欠だった。
それよりも人生初めて安らぎをもたらした自宅だったけれど、
それは時より、女に息苦しさをもたらした。
つけ加えるならば、胸焼け、胃もたれ、胸のつかえ、消化不良などももたらした。
息苦しさの元凶は決して自宅の換気システムが悪い訳ではないし、風通しが悪い訳でもなかった。
多分自宅とお仕事スペース、思春期が、、、、割愛。
比べて、STARBUCKScoffeeと言う場所は、
絶えず人や空気の流れがあり、言葉が何処かで交わされていて穏やかだった。
店内に入ると香る珈琲の香り、
ショーウィンドーの中にある甘いお菓子達、
それぞれの時間を過ごすどこの誰だかしらない人達、
そして大きな窓ガラスの外に拡がる景色などは、
女の首に巻き付いた鎖や、固く閉ざされた心を一気に解放させた。
そして女は、気づくのである。
心が解放された時、他の何かに集中していたいと言う事に。
土曜日の朝、
STARBUCKScoffee田端店の、
人生の酸いも甘いもあるような珈琲を飲んだ瞬間、
自分の気持ちと、おしりが、いよいよ、本当に据わった事(座った事)にも気がつきときめくのである。
かれこれ13、4年、
ある意味しのぎを削り、血眼にして格闘し身体も心も壊れたけれど、
今は、ゆったり流れる時間もいいなぁと思え、それと共に、どうでも良い事のエンジョイしてこそ、、割愛。
女は、今日もどうでも良い事を呟やいている。
そして集中した。
スマフォのレンズが向けられたものだけに。
完