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ノベルゲームを作ろうと思ったら15年かかった話【第23話】再開編⑥BGMを集めよ!〜サウンドノベルのキモはやっぱり音楽〜
これは、サウンドノベルの持つ魅力に取り憑かれ、「自分でもノベルゲームを作ってみたい」という思いを抱き、終わりのないゲーム制作に足を踏み入れた1人の個人ゲーム制作者の物語である。
Nscripterで人生初のノベルゲーム作りを始めた落柿(らくし)。7年の休止期間を経てティラノビルダーで制作を再開した。昔よりも充実したゲーム制作環境に喜びを覚えつつ、新たなゲ制沼にハマっていくのだった。
さて、効果音・背景画像の目処は立った。次に取り組むべきは……
「BGM、だな」
Nscripterでの制作時、落柿はライブバーにて交渉した結果、2人のミュージシャンにBGM制作の内諾を得ていた。しかしあれから7年。そのうちひとりとは疎遠になっている。
ライブバーでBGM制作の依頼? と思った方は、落柿がどうやって音楽担当者を見つけたかを書いた【第11話】を参照のこと。
「もうひとりの木木氏とは※ボカロ曲でコラボしてることもあり今も繋がっている。改めて頼むことはできるが……全曲やってくれとはさすがに言えないな……」
※ニコニコ復旧したんで全曲聴けるようになりました!!
木木氏作曲・落柿作詞のボカロ曲は木木氏のページからどうぞ。
全部で4曲コラボしてます。
知り合った当初の木木氏は、バイトをしつつ弾き語りをしている駆け出しのミュージシャンであった。しかし今ではバンドも掛け持ちしてる上、自分で立ち上げた事業も忙しそうである。しかも作曲の案件も受けているいわばプロだ。
そんな人に気軽に、
「7年放置してたゲーム、やっと作る気になったんでBGMの制作お願いしま〜す! ひとり抜けちゃったんで全曲頼みます! あ、無償で☆」
![](https://assets.st-note.com/img/1727921711-JjtGs0gNhe1HiuzY6d3BoZK4.png?width=1200)
なんて言えるわけがない。いくら当時は「面白そうだから無償でいい」と言ってくれていたからとはいえこれはない。このような厚顔無恥な依頼、スライディング土下座をしたとしても許されることではないだろう。熱々のラーメン丼を頭の上でひっくり返されても文句は言えないレベルだ。
「ううう。仕方ない、ここは焼き土下座をしよう! じゃなくって、他にも当てを探そう。木木氏には頭を下げて数曲だけでもお願いすることにして、後は自力で見つけるのだ……!」
![](https://assets.st-note.com/img/1727922390-DWigqUvPb8CnXYBSEI3T4dOA.png?width=1200)
カチャカチャカチャ……。
またネットの海を漂う落柿。幸い、効果音と同じで探せば商用利用可のBGMサイトはいくつも見つかった。
「すっげーな。なんでみんなそんなに太っ腹なん?」
早速ホラーっぽい曲や日常シーンで使えそうな曲を探していく。背景画像探しと一緒で、それはかなり果てしない作業だった。
「いいな」と思った曲を片っ端からダウンロードして聴き比べる。しかしこの時点でシナリオ・スクリプトが完成しているわけではないので、その場で決定はできない。候補曲をフォルダにひとまず入れていく。
……これからノベルゲームを作ろうという方に忠告しておく。いいか? 絶対にその曲をどこからダウンロードしたか覚えておくんだぞ? 曲名もちゃんと正式名称を控えておくんだぞ? そしてどの曲を使ってどの曲を使わなかったのかもちゃんと書いておけ。そうしないと後で泣きを見るのは……もちろん自分だッ(後で調べ直しになった人間からの心からの叫び)!
「だけどやっぱり、オープニングとエンディングくらいはオリジナル曲にしたいなぁ」
やっぱり木木氏に依頼するか? ううむ。心の片隅でそんなことを考えながら音源を探していた落柿。とある音源を聴いて心を奪われる。
「この人のBGM、ピアノの音色がめっちゃ綺麗だ……」
落柿はライブハウス・ライブバーに行くのが趣味で、好んで聴いていたのは弾き語りだったことは上記の【第11話】でも書いた。ほとんどの弾き語りがアコースティックギターで行われる中、たまに出演しているピアノ弾き語りは落柿の心に特に残っていた。ギターとは異なるピアノの繊細な音色は、ときに歌声と調和し、ときにそれ自体が歌のようであった。
そのBGMを聴きながら、落柿は自分がピアノの音色が好きだったことを思いだしていた。こんな曲を自分のゲームで使えたら……いや、使っていいんだ。だって、使用許可を出してくれてるんだから。
「自分の好きな音楽と自分の文章を融合できる……? サウンドノベル、改めて最高かよ!」
自分のゲームに自分好みの美しいBGMが使われていることを想像して落柿はうっとりした。まだ全然完成していないのにうっとりした。完成まであと4年もかかるのにうっとりした。
![](https://assets.st-note.com/img/1727946420-4wiRyM2Bme0T7H5zfvuP3tI8.png?width=1200)
「あ、この方、自分のサイトを持ってるんだ」
そうして辿りついたのが真島こころ氏のサイト「君の音。」だった。
「へえ、曲を色から探せるのか。これはいいな……」
「君の音。」では多くのピアノ即興楽曲を素材として提供しているが、その曲をイメージカラーから検索できるというのが独特だった。音楽のジャンル分けに詳しくない落柿にとって、イメージから曲を探せるというのは大変使い勝手がよい。
![](https://assets.st-note.com/img/1727947327-qnvgC1ecwyxmJhzd2tZbo7PF.png?width=1200)
「しかもこの方、作曲依頼受付してるやんけ! しかもご本人もノベルゲーム制作をしている……だと……。これはまた、運命引き当てちゃいましたか?」
またひとりで勝手に運命を感じて盛り上がる落柿。
……それは是非頼みたい。とても頼みたい。
しかも料金も良心的だ。頼む? 頼んじゃう?
部屋の中をウロウロと歩き回る落柿。
「だけどなぁ……。まだいつ完成するかわからないゲームで依頼をするのもなぁ。また前みたいに頓挫したら申し訳ないし……。せめてもうちょっと進んでから……でもなぁ……」
![](https://assets.st-note.com/img/1727947528-AN6oxrsnPLST8URbO0Cg3kFI.jpg?width=1200)
「いや、発想を逆転させろ! すぐに完成しないってことは、先方にとってはゆるゆる納期ということ……ッ! だとしたら、それほど負担にはならないのでは……ッ? ゆっくり作ってもらって、その間に開発を進めたらいい話ッ……!」
……脳内に成歩堂まで召喚し、無理矢理つじつま合わせをする落柿。ただ単にもうオリジナル曲を作ってもらいたいという衝動が抑えられなくなっているだけであることは想像に難くない。
こうして落柿はひとまず問い合わせをしてみることにした。
![](https://assets.st-note.com/img/1727946812-d69kCWuMyRV7oQgG8mSBzltb.png)
「このセット割っていうのが同人ゲーム用にはちょうどよさそうだ。さて、申し込むぜ……」
落柿は問い合わせフォームに必要事項を記入し、震える手でポチッと押した。2020年、8月の出来事であった。
「アカイロマンション完全版」が完成するまで、あと4年。
そんな落柿が15年かかって作ったゲームがこちら。
![](https://assets.st-note.com/img/1727948241-NWuqdlHhZtMPRCmio3EGVyDS.png?width=1200)
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