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ノベルゲームを作ろうと思ったら15年かかった話【第5話】制作編①「開発ツール、Nscripter編にするか、吉里吉里にするか?」
これは、サウンドノベルの持つ魅力に取り憑かれ、「自分でもノベルゲームを作ってみたい」という思いを抱き、終わりのないゲーム制作に足を踏み入れた1人の個人ゲーム制作者の物語である。
2007年。
同人ゲーム「ひぐらしのなく頃に」に影響を受け、自分でもノベルゲームを作ってみたいと思った落柿は、情報収集に乗り出した。
まず、「ひぐらしのなく頃に」はNscripter(エヌスクリプター)というスクリプトエンジンで作られているということ。Nscripterは高橋直樹氏という方が作ったものであること。
そして2007年現在、作られている同人ノベルゲームはこのNscripterと吉里吉里(きりきり)というスクリプトエンジンが主流であること。
うん。へぇ。なるほど。
…………。
…………。
…………。
で、スクリプトってなんぞ!?
落柿の脳は文系である。哀しいぐらいの文系である。
落柿には数字がわからぬ。落柿は、ただの文字書きである。2桁以上の数字を見れば、迷わず電卓を持ち出してきた。
…………。
…………。
…………。
…………考えてもわかんねぇや! とりあえず作ってみるか!
早々に脳がショートした落柿は、深く考えることをやめた。
とにかく作ろう、スクリプトエンジンとやらが何かなんてことは、作りながら考えよう、そうしよう!
そして落柿はNscripterと吉里吉里を天秤にかけ始めた。
何しろゲーム制作などしたことがない完全なド素人である。飛ぶハードルは低ければ低いほどいい。
調べてみたところ、Nscripterには公式ガイドなるものが出版されている。そしてネットでの情報も吉里吉里よりも多いように思えた。
よし……Nscripterで行くか……!
早速マニュアルをAmazonで購入する。
張り切って上記の2冊買った。2024年の現在、改めて調べたら1冊目が高騰していてびっくりだ。ちなみに今も手元にあるのだが、ボロボロで到底高値では売れそうにない。残念である。
あとは同人ノベルゲームのトレンドなど全くわからなかったので、この本も購入した。
この時点で別に「プロを目指そう」と思ったわけではなかったのだけど、このときの落柿はフリーゲームの存在を知らなかったため、頭の中には同人ゲームを作る=売るという図式ができていた。なのでその方法を学ばなければならないと思ったのである。
この本では「月姫&TYPE-MOON」「ひぐらしのなく頃に」「花帰葬」「オーガスト」「チュアブルソフト」あたりが解説されている。ちなみに落柿は「ひぐらし」以外はまったく通っていない。前回も書いたがそもそもその時期はまったくゲームをしていなかったのである。
「さーて作るか!」
そして落柿は初めてスクリプトなるものに手を出した。
ふむふむ、メモ帳とかで文字打って作ればいいのか。
命令文で指示を出して、文章を表示したり画像を出したり演出をしたり?
落柿の脳内の古き記憶が甦る。あ、いわゆるMS-DOS的な? それなら中学校のとき授業で習った気がするぞ? あれは割と面白かった。
そういえば小学生の頃はファミリーベーシック欲しかったんだよな。今思えばプログラムに興味ないわけじゃなかったな。買ってもらえなかったけど。
MS-DOSはWindowsより前のマイクロソフト社のOSである。リンクを貼っておくので解説はそちらを見てほしい。ファミリーベーシックは1984年に任天堂から発売されたファミコンにキーボード等を接続すればBASIC言語でプログラムを楽しめるという周辺機器。当時のファミマガにはプログラム例が載っていたが、ファミリーベーシックを持っていなかった落柿は文字だけを目で追って何かワクワクした気持ちになっていたものである。
「なるほど、スクリプトとやらを打つのには特別なソフトはいらないのか。じゃあNscripterの他に必要になるのはあと、画像と音楽と……」
この頃、落柿はMac使いであった。しかしNscripterはWindows用ソフトであったため、Parallels(パラレルス)というMacを起動しながら同時にWindowsの起動できる仮想ソフトを使用して制作を進めていくことにした
(これは当時Windowsでしか使えないソフトが多かったためにたまたま持っていた)。
画像編集ソフトはMac用のPhotoshopとIllustratorを所持していた。過去に編集系の仕事をしていたときにデザインに興味が出て一時期スクールに通ったことがあったのだ(ちなみに途中で飽きて投げ出した)。今こそこの宝の持ち腐れが役に立つときが来た!
メインの作業は使い慣れたMacで、スクリプト作業はWindowsで。
こうして落柿のNscripterでのゲーム開発は始まったのだった。
そして落柿は思った。
「よーし! チュンソフトのサウンドノベルをリスペクトした長編ノベルゲームを作ろう!」
「いきなり大作を作ろうとするな。まずは短時間で終わるゲームを作ってそのプロセスを学べ」
なんていう金言がこの世にあることをまだこのときの落柿は知らなかった──
そんな作者が15年かけて完成させたゲームがこちら。
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