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宮部みゆき『名もなき毒』読書所感

こんにちは、らくいこです😊
子育て世代のアラフォーが、家庭と仕事とサードプレイスと、いかにバランスよく、二度とない人生をどれだけ楽しめるか、そんな内容で綴っています。

今回は読書所感。
宮部みゆきさんの杉村三郎シリーズ、探偵ものの第二部である、
『名もなき毒』
を読了し、そして昔やっていたドラマバージョンも見たので それも含めて所感を書こうと思います。

小説『名もなき毒』では、
大まかなストーリーとしては青酸カリを使用した連続毒殺事件と、
主人公杉村三郎の職場に新入社員として入ってきた 原田いずみ を中心に起きるトラブル。
探偵シリーズとはいえ、まだ大企業を束ねる会長の娘婿という
マスオさん状態の立場の杉村三郎が周りの人に助けられながら問題を解決していくというストーリー。

ドラマ版では、タイトル名こそ『名もなき毒』ですが、
全10話?11話?のうちの前半は一作目の『誰か』
後半が『名もなき毒』という構成でした。
三作目の『ペテロの葬列』もドラマ化されているので、
このシリーズをざっと見たい場合はドラマで見たほうがわかりやすいかもしれません💡(僕はU-NEXTで見ました)

キーワードは【毒】

さて、ストーリーは本編を見てもらうとして、
このシリーズで共通のキーワードとなっているもの、それは

【毒】

一言に毒といっても、様々な毒が登場します。
薬物の毒、土壌汚染や空気などの毒、口から発せられる言葉の毒、
そして、人間の心の奥底に眠る毒。

主人公杉村三郎はいわゆる「いい人」の模範のような人。
頼まれごとは断れない。でも頼まれたからにはやらなきゃという責任感。
低姿勢で物腰柔らか、口調や雰囲気も穏やか。
押しが強い人に対しては言葉を飲み込んでしまうような彼。

人が毒に気づくとき

そんな「THE いい人」な杉村三郎でさえも、
彼の中に潜む「毒」がある。
それに彼自身が気づくのが、トラブルメーカーである原田いずみが
杉村の娘を人質にとり、立て籠もったときのこと。

殴る、罵声を浴びせるなどの直接的な暴力ではなく、
体の中から湧き上がってくる怒りという感情が溢れ出し、
コップのフチからこぼれ落ちるような怒りの表し方。
理性の塊のような人が 理性を失ったとき、
きっとこんな風に狂気じみた冷徹なヒトという動物になるんだろうなと思った。

「怒」の感情

自分を振り返ってみると、喜怒哀楽の「怒」の感情がないんじゃないか、
ってくらい怒ることがありません。
怒るのってエネルギーかなり使うし、疲れません??😅
その一時だけじゃなくて、怒ったあと、自分の中でなにかもやもやします。
「なんであんなこと言っちゃったんだろう」
「ひどいこと言い過ぎた」
「もうすこし冷静になれば良かった」
と後で振り返ると後悔するようなことが多い気がします。
他人が怒って言い合いになったりしてるのも、
すごく無駄な時間を過ごしてるな、、、と少し冷めた目で見てしまいます。

あまり物事にたいして期待のようなものがないのかもしれません。
なにか自分に不都合なことが起きたとしても、
「まぁ、そんなもんだよね」
「そういうときもあるよね」
と、期待していないから裏切られることもない。
感情が爬虫類のように低温状態w

感情をぶつけてる時間があったら、
起こってしまった問題をどう解決するか、
結局は終わらすしかないんだから、どう合理的に解決できるか、
「トラブルを処理する」という感覚に近いかもしれません。

自分と毒

自分の周りの人からは、あまりに僕の感情が一定なので、
「イライラすることとかないの?」
「もっと怒ったほうがいいよ」
とすら言われますw

ただ 僕も聖人君子ではないので、イラッとすることくらいはもちろんあります。
たとえば、車の運転中、無理やり割り込んできてぶつかりそうになったりしたときとか、、、
なので、人より怒る沸点が低いことと、表面化してないだけで、
自分の中にも【毒】は確実にあると思います。

その毒がもし表面化することがあるとき、
どんなシチュエーションなのか、
どんなタイミングなのかは全くわかりませんが、
普段、怒るということに慣れていない自分の毒が表面化したとき、
この主人公、杉村三郎のようにサイコパス的な感じになってしまうんじゃないだろうか…と恐さも感じました。

よく怒る人

知り合いによく怒る人がいます。
仕事上で怒っていることが多いですが、
・怒ると電話を話してる途中でもガチャ切り
・自分の思い通りにいかないと怒鳴る
・威圧する
・呼びつける
など、怒りのオンパレードw

普段怒らない自分から見ると、
よくこんなに怒れるなぁ、というくらいいつも怒ってます。
その感情の出し方をみると、本人もそれらは怒ってるうちに入らないのかもしれませんが、まぁよく怒ります。
その威圧感にまわりも萎縮します。それがその人のニュートラルな状態なんだと思いますが、見てるだけでも疲れてしまいます😅
時々、こんな風に怒れたら、下手に抑えたり、我慢してるよりかは楽なのかもしれない、と思うときもあります。
といっても、その人のようになりたいとは全く思いませんが😅

人として、理性的に、穏やかに話す上品な人。
そういう人をみるとやっぱり尊敬しますし、
こういう人間になりたいなと思います。

最後に

話は逸れましたが、
誰しも、自分の中に毒になりうるものがあるんだと思います。
その毒がどこで表面化するのか、
もしくはその毒を自分の中で、他者との関係の中で中和、解毒するのか。
自分としては、できる限り自分の中で浄化できる人でありたいなぁと思うばかりです。

宮部みゆきさんの書籍は、このシリーズと『火車』を読ませていただきましたが、どれも情景描写が繊細でその場面場面が思い浮かべやすかったです。
また機会があれば他の作品も読んでみようと思います😊

最後まで読んでくださった奇特な方がいらっしゃったら、本当にありがとうございます🙇なにかオススメな本などがあればゼヒ教えて下さい😊

ではまた!

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