落語ラン vol.12 「明烏ラン」
落語を聴き始めてから、一番回数聞いていて、一番好きな噺が「明烏」です。恐らく志ん朝師匠の音源はもう百回以上聞いているでしょうし、文楽師匠も同様。登場人物の妙と、噺の展開が素晴らしい噺です。
あらすじ
日本橋田所町(現【堀留町】)の大店日向屋半兵衛はせがれの時次郎が心配でならない。商家の跡取りだというのに、毎日論語の素読、今日も近所のお祭りで赤飯をご馳走になり、子供たちと太鼓を叩いて楽しかったと喜んでいる。堅いのも良いのが堅物すぎるのも考えモノと町内の札付き源兵衛と太助に時次郎を【吉原】に連れ出して欲しいと依頼する。と言っても、ただ誘ったのでは時次郎はまずついて来ない。一計を案じてお稲荷様のお籠りにいくと偽り、ナリが悪かったり御賽銭が少ないとご利益も限られると忠告した上で送り出した。来る訳がないと思っていたお坊ちゃんが現れたことに喜んだ源兵衛と太助は、道すがら吉原での法、廓法について時次郎に説き、馴染みの茶屋の女将を「お巫女頭」として「お稲荷様」への潜入に成功する。しかし、いかに堅物の時次郎と言えど、さすがにここがお稲荷様でないことに気づき、帰ると泣き叫ぶが、ついに座敷に連行される…。
ランニングコース
日本橋堀留町→吉原
日本橋堀留町
旧日本橋田所町は、今の堀留町です。近所には椙森神社があります。ここは、湯島天神などと並び江戸時代は「富札」を売っていたようです。近隣の馬喰町が昔からの旅籠町であって、宿泊者が参詣するとともに富くじを買って楽しんでいたようです。落語「宿屋の富」も古今亭では湯島天神としていますが、椙森神社の場合も多いですね。
吉原
2020年は酉の市が「三の酉」まであるというので、鷲神社は酉の市の準備で大わらわでした。新型コロナのもと、どういう運用になるのでしょうか…。ところで、昔の吉原はいわゆるくるわ(廓)であって、周囲を堀で囲われていました。いわゆる「お歯黒どぶ」ですが、古地図などを見ると四方に小さいお稲荷さんを設置していたようです。いわば結界のようなものかもしれませんが、その伝だと源兵衛と太助が「お稲荷様のお籠り」と偽って時次郎を連れ出したのも大きく外してはいない感じも。明烏の噺のポイントにもなりますが「大門(おおもん)」は常時開放されていたようですが、出入りはある程度コントロールされていたようです(門の横に番所あり)。大門を出ると「見返り柳」が現存します。樋口一葉は近所の竜泉で苦しい生活を強いられていた訳ですが、代表作の「たけくらべ」の書き出しは「廻れば大門の見返り柳いと長けれど、お歯ぐろ溝に灯火うつる三階の騒ぎも手に取るごとく、明けくれなしの車の行来にはかり知られぬ全盛をうらなひて…」です。
マップ
https://www.mapion.co.jp/m2/route/35.6884024791816,139.7795462793754,16/aid=cf8e4c/