読書記録『コトラーのマーケティング5.0 』(フィリップ・コトラー)2 二極化による分裂は無視されてはならない
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『コトラーのマーケティング5.0 』(フィリップ・コトラー)の続きです。
マーケティング5.0は人×テクノロジー
マーケティングは1.0からこれまで次のように変化してきました。
1.0:製品中心(良い製品・サービスを作る)
2.0:顧客中心(顧客が求めるものを作る)
3.0:人間中心(人間、社会にとって価値のあるものを生み出す)
4.0:デジタル中心(デジタル活用で製品・サービスを伝える)
5.0:人間×デジタル(3.0と4.0を統合)
デジタルがより身近になったことを受けて、マーケティング5.0では人の生活を高めるデジタル活用を目指しています。
個人的には、環境や世界を中心に考える日はそう遠くないと予測しています。
アメリカと日本のマーケットの違い
本書では、マーケティングの変遷を解説するにあたり、アメリカのマーケットの変遷についてかなりのページ数を割いています。
もしかすると、日本の方が読んでもピンとこない、もしくはズレを感じるかもしれません。
ベビーブームも景気動向もアメリカと日本ではズレが生じています。そのため「この時期はベビーブーム世代が労働者となり」「この世代が社会に出た頃は景気がよく」のような記述があっても日本と差があるのです。
しかし、アメリカでのビジネスを予定していない日本人が読んでも得るものはあります。コトラーの分析・思考方法には日本のマーケットを分析するヒントが散りばめられていました。
また、日米間のマーケットの違いを知ることによって、おのおのが狙うマーケットの分析が重要なのだと気づきます。
コトラーが『戦略的マーケティング』において「マーケティングの正解は1つではない」と述べていたとおりです。
二極化
本書では、雇用や思想、会話、ライフスタイルなど、さまざまな場面における二極化が指摘されていました。
格差は悲しい人を生むだけでなく、平穏を崩すため生まれてほしくないのですが、避けられない現実を突きつけられているようです。
単純作業がデジタル技術に代替され、一方で高度な技術を持つ人には需要が集まること、SNSで視点の近しい人とつながることで思想の二極化が促進されていくことについて述べられていました。
これは日本でも起きていますね。
コトラーは、二極化した各層がどのような趣向を持ち、何を求め、どのような行動パターンをとるのか、二極化したどちらの層をどのように狙うのかを分析しています。
二極化した状況を商売のチャンスとして分析することにほんの少し畏怖の念を抱きましたが、幸いなことにそれだけでは終わっていませんでした。
二極化による弊害を示唆しています。
「生きるのがやっと」は誰にとっても明日は我が身ですし、二極化によって平穏に生活できないようであれば誰も幸せになれません。
タイトルにマーケティングがついていますが、儲けることだけを目的にしておらず、深いですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。