【TOKYO CREATIVE COLLECTION 2024】参加レポート
こんにちは、「RAKSUL DESIGN MAGAZINE」です。
今回は、2024年9月10日(火)に恵比寿ガーデンプレイスで開催された、ViViViTさん主催の「TOKYO CREATIVE COLLECTION」に参加しました🧸
どの講演もとても参考になる内容ばかりでしたが、今回はRAKSUL DESIGNにとって特に印象に残った内容をご紹介いたします。
TOKYO CREATIVE COLLECTION とは?
トップデザインチームが描く、2030年に活躍するデザイナー
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 川合 啓介 氏
株式会社ユーザベース 平野 友規 氏
2030年に向けて求められている変化
2020年以降、デザイナーの活躍の幅は広がった一方で、デザイン対象のサービス化 、 AIの台頭 、他職種とデザイン職種のバッティングetc…デザイナーの未来を描く際に考慮すべき点も増えました。同時に、デザイナーに求められる力とスキルについても変化していきます。これからの時代をサバイブするために重要なこととは何か?
デザイナーに求められるA・I・Oをつなぐ力
A・I・Oとは、Advise(アドバイス) / Implement(実施) / Operate(運用)
End to Endでコミットするために、この3領域でデザイナーが果たすべき役割・プロセスを描き出すことが大事
カギは、自分のできる領域を広めること
この3領域で、自分に何ができるのか、何を成し遂げたいのかをテーマとして描き出し、理想のデザインプロセスとコラボレーションを導き出す必要がある
そして、A・I・Oをつなぐ力養うためには2つのスキルが必要になります。
1.人・AIとのコラボレーションをリードするスキル
デザイナーはさまざまなフェーズで臨機応変なコミュニケーションが求められる。そのためには、以下のようなコンサルのコミュニケーションスキル・思考の型を身につけることが重要
論点思考:問題の核心を抽出し、成長のために解かなければならない問いを特定する考え方
戦略思考:問いに対して長期的な目標とどの達成のために最適な「解」を特定する考え方
それを支える仮説思考 を持つ
2.自分の弱点を補うために、AIを駆使するスキル
AIの使用によって、1人のデザイナーを超えた「デザインスタジオ」のような豊富なアウトプットが可能になる
ただし、AI生成は過去のクリエイティブの再生成に過ぎない。顧客に寄り添ったディレクション、未来の方向性づくりは以前としてデザイナーの重要な役割になる
AIによるデザインプロセス全般の効率性向上が見込まれる
AIの特性を理解し、デザイナーの弱点を補強していくことで、業務規模を超えた運用ができるようになる
AIを活用し、クラフト(=職人技)を信じる
株式会社ユーザベース平野さんのセクションでは、AIの力で誰もがデザイナーになる時代(2030年)に向けて、希望を持ってデザインをしていこう!というエールが印象的でした。
デザイナーを下記4パターンに分けてAIを活用するメリット/デメリットを分析。ここではメリットにフォーカスして紹介します。
AIを活用することで多くのメリットがあるが、意思決定をしていくのはまだまだ人間であり、そこにはクラフトマンシップが必要不可欠。
写真が発明されて、絵画や画家という職業が失われたか?
失われてない。むしろ絵画表現の新たな可能性を切り拓いた
デザインの歴史を振り返ってみても、各時代が産業革命・社会変化に対応することで進化してきた
事業をドライブするUXリサーチ
アドビ株式会社 井上 リサ 氏
東日本旅客鉄道株式会社 松本 貴之 氏 竹内 悠太 氏
ユーザーテストを実施する際のポイント
リサーチの目的とゴールを明確にする
UIデザインに課題がないか、チームで意見が割れているデザインの方向性を決めたい、自分の仮説があっているか確かめたい etc…
セグメントごとに5〜6人をリクルーティングするのが理想
セグメント:プロユーザーや初心者、ターゲットになりうる潜在顧客 etc…
それ以上の人数で実施しても、インサイトにあまり変化はない
ゴールに基づいたインタビュー・タスク設計をする
全体的なユーザーフロー、限定した機能のテストなど範囲はゴールによって定めて良い
俯瞰したユーザーテストを行う
adobeではzoomを使ったオンラインテストを実施している
あくまで中立的な立場であることを伝える
デザイン上の課題を特定するため、空気になり、ユーザーが困っている部分は口出ししない
テスト結果を分析する
「できなかった」「うまくいかなかった」ポイントを表面的に捉えるのではなく、「そもそもユーザーが何をしたかったのか」というユーザーの背景とマインドセットを理解する
分析内容を議事録として取っておく
以上に基づき、分析→デザイン→実装・検証のサイクルを回す
セプテーニ×KESIKIが挑戦・実践した組織変革のためのカルチャーデザイン 自律自走はいかにしてつくられるのか
Septeni Japan株式会社 高木 皓平 氏
株式会社KESIKI 石川 俊祐 氏
カルチャーデザイン=経営や組織をデザインする
目標・規則ではなく文化を醸成していく
大きすぎる組織・変化しすぎる市場・可能性が広がりすぎる領域において、「こうするべき」「こうあるべき」というビジョン・ミッション・行動規範だけだと不十分と考えた結果、自律的で、豊かに働ける美しい仕組みを作るには、「戦略」よりも「デザイン」が必要と考えた
カルチャー策定プロセス
事例:メンバーインタビュー / 口癖ワーク / 年表ワーク / ディベート
メンバーインタビュー:「らしさ」を感じた体験や、日頃の想い、課題を洗い出す
口癖ワーク:自分の口癖を禁止し、「その組織らしい」新しい言葉を使うようにすることで、小さい言葉を少しずつ変えてゆき、ひいては文化も変えていく
ディベート:議論の場を作り、活性化する
年表ワーク:自分ごと化していく
単純なビジョンだけではなく、カルチャーをビジュアライズ化されたものを見て、自分はどう行動するかを考えるきっかけとなるものを作成する
施策①:カルチャーブックやポスターの作成
施策②:相互理解のために、キャリアエピソードをカルチャーに沿って共有する社員交流イベントを開催する
デザイナーが組織の中で求められる力
勇気を持って突破していく力
何か正しいと思えることを提案して切り込み、ファシリテートしていく・問いかけていくことができるのはデザイナー
カルチャーや人と向き合い、組織を良くしていく力
デザイナーはロジックや経済面だけでなく、ユーザー / 人に向き合うため
大きな金融システムと小さなデザインシステム
株式会社みずほ銀行 佐竹 正之 氏 中田 由実子 氏
こだわらないと決めていること
UI負債が発生しないデザインプロセス
金融サービスの開発は、アジャイル開発が適さない部分がある
サービスのグロースには、高速での改善が必要不可欠
そのため、ウォーターフォール開発を積み重ねて、安全性と高速なグロースの両立を実現
しかし、ウォーターフォール開発を進めると、リリースとデザインルールの更新のタイミングがズレてしまう
結果、UI負債がたまりやすい構造になり、リリースした瞬間にUI負債が発生する
全画面のデザイン・完璧な仕様伝達
案件ごとに、どこまで取り組むかを調整し、メインデザイナーが手を入れるかどうかの優先度づけを行っている
開発とのシームレスな連携
金融サービスの開発はセキュアな環境のため、すぐに開発環境に持ち込めない
シームレスな連携はやらずに、段階的に進むデザインシステムの構築を目指す
譲らないと決めたこと
UI負債の管理
UI負債防止よりも、サービスグロースを優先した方が顧客体験は向上すると判断
しかし、放っておくといつまでも標準化できないため、以下の方法でUI負債の管理を実施
UI負債ログをリスト化し、デザインルール検討会を開き議論する
どうデザインガイドラインに落とし込むかをメンバーで話し合う
検討の議事録&ネクストアクションをfigjamボードに記載する
検討会で決定した事項を並べてストックする
ストックをもとに、ディスカッションを重ねてガイドラインに反映する
Figmaを使ったデザインシステム管理
Figmaサムネイルの色を「開発中」「完了」などステータスごとに使い分ける
プロジェクトの進行状況をfigma上でも把握できるようになっている
サムネイルのコンポーネントを作ることで、誰でもサムネイルの更新作業ができるようにする
RAKSULで実践してること・挑戦したいこと
シンポジウムで得た学びから、RAKSULでも挑戦したいこと、またすでに実践していることを紹介します✍️
実践してること
Adobe FireFlyなどを用いたビジュアル案作成
実際にAIを用いてビジュアル作成などを進行したVisionDayの様子
挑戦したいこと
デザインシステムのアップデート
必要なものがデザインシステムとして提供できている状態を目指す
使いたい人が問い合わせ+リスト化できる状態を作る
似たデザインやカラーをリスト化し、小さく確実に体験統一に向けて整理していく
RAKSULではKamiiというデザインシステムを運用していますが、プロダクトを日々より良くアップデートしていくように、デザインシステムも常により最適な状態に更新していく必要があります。
新しいサービスが生まれる過程で、Kamiiにない新たなUIを検討する機会も増えてきました。それらをUI負債にしないために、リスト化・社内での共有を徹底して、より良い運用方法を模索していきたいです🔍
日々の業務においてAIの活用範囲を拡張する
AIごとの特性を理解し、業務効率を上げる補完材料となるようトレーニングする
確度の高いプロンプトのキャッチアップと誰でも使えるようナレッジ化していく
現在は各個人が必要に応じてAIを活用している状況ですが、誰でも一定のクオリティでAIを活用できるよう、ナレッジの共有と整備を進めたいと考えています。
より良い組織作りとアップデート
新メンバーも増え組織として大きくなる過程で、RAKSUL DESIGNのVision、 Mission、Cultureについてチームで話し合う時間を大切にし、アップデートと浸透を図る
ゴールはRAKSULグループの Vision 実現。
そのために、デザインチームとして策定した Value(Culture)とMissionを新しいメンバーも理解し、体現できる状態を目指していいきたいです。
終わりに
テクノロジーとデザインの進化により、デザイナーに求められる役割は急速に変化しています。
特にAIの台頭や新しいビジネスニーズに対応するためには、従来のクリエイティブ制作を超えた新たなスキルセットが必要です。
データドリブンなデザインを強みにするRAKSULには、AIなどの技術活用に強いシナジーがあると感じました。
デザイン組織全体で新しい技術を学びながら、効率的且つハイクオリティなアウトプットを目指していきたいです✨
今後もRAKSUL DESIGNメンバーで様々なイベントに参加予定!
会場で見かけたら、ぜひ話しかけてください😉
ありがとうございました!
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