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#25 体型によって世界が変わる

僕の人生最大の成功体験というと、50キロの減量に成功したことだ。
職場だったり、呑み会だったりでこれを話すと、「どうやって痩せたんですか」とか「ダイエットのコツを教えて下さい」と聞かれる。
色々聞かれるのは嬉しいのだが、下の記事で書いたようにそこまで特別なことをしていない。
食事・運動・睡眠を改善する……つまり生活習慣の改善に尽きる。

ところが最近、職場でこんな質問をもらった。

「それだけ痩せると、世界が変わるんじゃないですか?」

これについては、思わず考え込んでしまった。
痩せてからしばらく経ち、それが日常になっていたから忘れていた。
しかし、確かに巨漢だったときと今の体型のときとでは、あらゆることが変わっている気がする。
どんなことが変わっただろう……ということを考えてみた。


いずれも同一人物です
左は19歳(125キロ)、右は33歳(77キロ)
顔を見せたいけど、シャイなので見せられません

痩せたことで広がった世界

ファッションの幅が大きく広がった!

太っていると困るのはまず衣服である。
125キロともなると着られる服が限られてくる。
服を買うとなれば、大きいサイズでお馴染み、サカゼンへ行くしかなかった。

だが、街を歩くと至るところに見える、ユニクロの文字。
「いいなぁ、僕もユニクロの服を着たいなぁ。
 だけど僕の着られる服はないからなぁ

ユニクロを着ている友達も多く、いつしかそれが憧れになっていた。

だから、ユニクロを着られるようになったときは、
一番痩せたことの恩恵を受けた瞬間だったかもしれない。
痩せてからのある日、友達とユニクロで新しい服を買おうぜと誘われたときのこと。
そのお店に置いてあった一番大きいサイズのXLに袖を通してみた。

「き、着られる!!」

あの瞬間は一生忘れられない。

それ以外にも一般的な靴のサイズでも大丈夫になったり、あらゆるアパレルの店で衣服を選べるようになったり……今までにない自分を演出できるようになった。
体型が変わりファッションの幅が広がるだけで、こんなにも違う世界になるのか!
これは思い切り体型を変えた人間にしか味わえないかもしれない。

ジョギングが苦しくない!

体型に関わらず、マラソンや持久走というのは好き嫌いが分かれる。
脂肪まみれだった僕は、好きでも嫌いでもなかった。

大嫌いだった。

まず数秒走っただけで息が切れてくる。
しかも走ったといってもご老人のお散歩くらいの速度である。
間もなくして肺の方から血の味がしてくる。
そして体中が痛くなってくる。
けれど、途中で止まることはできない。周りから「頑張れ」と応援される(という仕打ちをうける)。
これを地獄と言わずなんと言うか。

しかし、今ジョギングをするとどうなるか。
もちろん息は切れるし、走った後は疲れを感じる。
けれども、肺から血の味もしないし、体が痛くなることもない。
明らかに苦しさを感じなくなったのである。

むしろ、走り切った後は爽快感すら覚える。
走るのってこんなに楽しいんだと気づけるようになったのだ。

よくジョギング初心者の本に
「疲れないペースで続けていきましょう」と書いてある。
その意味が、今ではわかる。
太ってたときは、
疲れないペースってことは走らず歩けってことですか?
とひねくれていたものである。

モテるように……なってはないけれど

痩せたらモテるとよく聞くけれど、残念ながら実感したことはない。
けれど、異性と楽しく話す機会がとても増えたことは間違いない。
話せるようになったと書いた方が正しいだろうか。

これは僕がネガティブすぎるだけかもしれないが、
巨漢だった高校時代はクラスの女子から敬遠されていた節がある。
僕が近づくと、眉間にしわを寄せられたことが何度もある。
電車の中で睨みつけられたこともある。
いったい、僕が何をしたというんだと思った記憶がある。

けれど、当時の僕は自分に自信がなく、ネガティブなことばかりを口にし、さらには何も努力をせず愚痴ばかり吐くような人間だった。
当時の女子は、必ずしも体型で僕を敬遠していたわけではなく、
太っていることをコンプレックスに持っているのに、努力もせず愚痴ばかり吐いているその性根を見ていたのだと思う。

だから痩せたことで異性と楽しく話せるようになったのは、
腐りきっていた性根が少しはよくなったおかげで敬遠されなくなったから。
そして、痩せたことで多少なり自分に自信を持てるようになったから……
かもしれない。

少なくとも話す相手が男性だけだったのが、女性とも話すことができるようになったおかげで、見る世界はだいぶ広がったと思う。
男性と女性、それぞれ話す内容は全然違うし、雰囲気も全然違う。
今では、いずれと話してもとても楽しい時間を過ごせている。

体型は世界も心も変えていく

最後に断っておくけれど、太っていることも体が大きいことも決して悪いことではない。
大きい体型でもかっこいい人だってたくさんいる(力士なんて最高にかっこいい)。
けれど、僕は巨漢だった自身の体に強いコンプレックスを抱いていた。
つまりは、太った自分が大嫌いだったのだ。

だから大切なのは、結局自分の体型が好きかどうかなのだと思う。
自分を好きになれるかどうかで世界も心も変わってゆく。
そんな当たり前なことを、ダイエットから学んだのであった。


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立竹落花
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