#27 音楽に涼を求めて
暑い。
7月に入り、尋常ではない猛暑が連日続いている。
とはいえ、夏は決して嫌いではない。
正確に言うと、嫌いではなくなった。
125キロあった巨漢時代は、夏が大嫌いだった。
日本の暑さを、己の肉布団が2倍にも3倍にもしてくれたからである。
夏が嫌いではなくなった所以は、肉布団が少なくなったからだけではない。
熱い体を冷やすときの気持ちよさが好きなのかもしれないと最近は思う。
つまり、夏に涼を求める瞬間が、僕はたまらなく好きなのだ。
暑い中帰ってきて、ぬるめのシャワーを浴びるとき。
体に熱が残る中で、アイスやかき氷を食べるとき。
風呂上りに、エアコンや扇風機の風を浴びるとき。
これらの気持ちよさは、夏の風物詩といえよう。
ただ、ここまで書いたものは全て触覚や味覚で感じる涼である。
人間に備わるそれ以外の感覚でも、涼を感じることができる。
それは、聴覚。
耳からの、涼だ。
#やっぱり夏がスキよづき企画 参加記事
本記事は、よづき様の上記企画に参加させていただく記事になります。
こちらの企画に寄せられている記事には、素敵な夏が……!
夏特有の魅力が詰まっています。
皆様の「好きな夏」を記事にしてみてはいかがでしょうか。
夏の好きな音
風鈴の音
チリン、チリーン……
この音を聞くと、どこか涼しくなったような気がする。
今回の記事は聴覚の話だけれど、風鈴の姿を見ても、涼を感じられる。
視覚と聴覚で涼を与えてくれる風鈴は、夏の必需品だ。
川の音
僕の家の近くには川が流れており、小さい頃は友達と一緒に遊びに行ったものだ。
海の波音も涼を感じるけれど、個人的には川の流れる音の方が体感温度を下げてくれる気がする。
涼しくしてくれる音楽
そして耳からの涼に欠かせないのは音楽だ。
夏ソングといえば、音楽フェスやお祭りのイメージから、気分を盛り上げてくれる曲をイメージする人も多いと思う。
本記事ではそれらとは真逆で、夏だからこそ涼しくしてくれる、チルアウトさせてくれるような曲を4曲紹介する。
これで少しでも、耳から涼を感じてくれたら、この上ない喜びである。
1,風になりたい/THE BOOM
THE BOOMといえば『島唄』が有名だが、涼を求めるならこちら。
最初の弦の音から、心地よい風が耳から入ってくるのを感じられる。
宮沢和史氏は日本のサンバを作りたいと思い、この曲を書いたそうだ。
間奏がまさしくサンバであるが、心地よく夏を表現しているように感じるのは僕だけではないはず。
「何一ついいことなかったこの町に」というネガティブな言葉があるのがとても印象的。
それでも「あなたに会えた幸せ感じて風になりたい」のである。
2,Summerlong/Kathleen Edwards
カナダのシンガーソングライターの一曲。
日本ではそこまで有名ではないかもしれないけれど、Norah JonesやSadeに匹敵するほどの素晴らしい歌声の持ち主だと個人的には思っている。
是非このハスキーな歌声を聞いてほしい。それだけで涼を感じられる。
歌詞もどこか切なさを、若さゆえの戸惑いを表現している。
「Please don't let this be summerlong(どうか夏がこのまま終わらないように)」と締めるその言葉が、夏に経験した混乱を感じさせる。
3,真夏の果実/サザンオールスターズ
この曲を、名曲と言わずとして何と言うのだろうか。
個人的には前奏を聴くと、夏の夕暮れが情景として思い浮かぶ。
曲の良さは説明不要なのだが、この曲はとにかく歌詞が素晴らしい。
この曲の歌詞、一度だけ「真夏の果実」と言っている以外は「夏」という言葉を使っていないのだ。
最初の「涙があふれる悲しい季節」というフレーズで夏を感じさせている。
この曲を知っているだけで、日本人であることを誇りに思う。
4, Summer/久石譲
ピアノの音色というだけである程度心地よくなれる。
けれど、この旋律が紡がれることによって、心地よさに加えて涼しさを感じさせ、さらには夏の緑豊かな情景が思い浮かんでくる。
夏を音色だけで想起させるのは並大抵の人間にはできない。
なんなら言葉があったって、それを表現するのは難しい。
さすがは久石譲氏。脱帽の一言である。
涼しい音色と共に夏を乗り切ろう
正直、何も工夫をせずにこの夏を乗り切る自信は露ともない。
けれども、インターネットが普及している今、
僕たちは涼しい音色をいくらでも求めることができる。
物理的に体を冷やすことはもちろんだが、音や音楽の力で心を涼しくすることも、この夏を乗り切る重要な手段だと思う。
皆様、熱中症にくれぐれも気を付けて。
水分補給をしっかりして、涼しい音色と共に夏を乗り切りましょう。