#34 ピエロな自分を愛したい
HSPの方と会ったときに、彼はこう言った。
「HSPという特性を知ったとき、自分が何者かがわかったような気がしたんです。その瞬間、すごく安心できたんです」
人はもしかしたら、自分が何者なのかを探す生き物なのかもしれない。
僕も、自分の正体を知ったときはすごく安心することができた。
僕の正体は、ピエロだった。
生きづらさに名前があった
心理学を勉強していたときに出会った言葉がある。
それは、アダルトチルドレン。
「生きづらさ」という言葉を最近はよく目にするようになった。
かくいう僕も、若い頃は今以上に生きづらさを感じていて、その原因を突き止めようと心理学を勉強していたのである。
この言葉に出会ったときは、「これは自分とは関係ないな」と思った。
両親から虐待を受けたことはなく、どちらかといえば大切に育てられてきたんじゃないかと思っているからだ。
アダルトチルドレンにはさまざまな型がある。
英雄とかいけにえとかスケープゴートとか。
ピエロはその一つである。
それぞれにチェック項目が書かれており、どれもピンとこなかった。
しかし、ピエロの項目だけは全く違った。
「え、これ、自分のこと書いてある??」
と思うくらいに、大部分の項目が当てはまっていたのである。
毎日をサーカスにしないといけない
HSPを取り上げた記事でピリピリした雰囲気が苦手だと書いた。
とにかく誰かが怒っているという場が怖くて仕方ないのである。
そういう場や空気にしないためなら、いくらでも体を張って、その場を笑いに変えてやる。
自分がピエロであるなら、
自分のいる場所を常にサーカスにしないと気が済まなかった。
冗談を言って場を沸かせたり。
自分をけなすことで笑いを生んだり。
それが楽しく感じることもある。
けれど、臆病を隠すために必死に笑いを作り続けるとどうなるか。
次第に心身が疲弊してくるのである。
皆の前でニコニコしているピエロは、一人になれば疲れ果てて泣いている。
どうしてこんなに頑張ってるんだ。
どうしてこんなに体張ってるんだ。
どうしてこんなに生きづらいんだ。
今も、そんな生きづらさを抱えながら日々を過ごしている。
だけどピエロでもいいかな
ただ、最近ではそんなピエロである自分も好きになりつつある。
僕は職場においてもピエロの役目を果たそうとしてしまっている。
これはもう性格的な部分もあるから仕方がないのかもしれない。
けれど暗い職場より明るい職場の方が仕事はしやすいと思う。
冗談を言って明るくしたり、少しおちゃらけたり。
もちろん緩急はしっかりとするけれど、僕は上司として働きやすい雰囲気作りを心がけている。
その甲斐を、同僚の言葉で感じることができた。
「立竹さんが異動してきてから、仕事しやすくなりました」
ちょっとした一言だったから、同僚は覚えていないかもしれないけれど、
僕にとっては本当に本当に嬉しかった。
ピエロである自分を認めてもらえた気がしたからだ。
身を切って笑いを生み出すというのはよくないことだけれど、
これからもほどよくピエロでいようかなと、そう思える言葉だった。