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#101 読んでもらえるありがたさ

僕は、文章を書くことが大好きだ。

だから、こうしてnoteで活動することがとても楽しいし、趣味の小説執筆も生みの苦しみはありながらも前向きにやれている。

きっとnoteにも、書くことが好きな人が多いと思う。
ゆえに共感していただけると思うのだけど、書くことが好きな人にとって怖いことは「書けない」ことなのではないだろうか。

アイデアが思いつかない。
アイデアはあるんだけど、言葉が出てこない。

種々の書けない理由があるだろうが、いずれにしたって書けない期間というのはとても辛いものである。

かつて僕にもそういう時期があった。
そして、その時期を経る中でもう一つ強い恐怖心を持つようになった。

誰かに読んでもらうことが怖くなってしまったのだった。

頭の中で響く「誰か」の批判と悪口

かつて僕は10年という長い間、文章を書けずに苦心していた。
もちろん周りの環境が変わり、そもそも文章を書く時間が少なくなってしまったことも要因ではある。
けれど書けなくなってしまった根本的な理由は、完璧を求めすぎるようになってしまったのが大きい。

大学生になるまでに小説は4年書いていた。
書けば書くほど、よりいい話が書きたい、よりいい文章を書きたいと思うようになる。
その上昇志向がいつしか完璧主義へと曲がっていってしまったのだ。

完璧主義になってしまうとどうなるか。
頭の中で、誰とも知らない「誰か」が僕の文章を読んで囁くのである。

「こんな小説じゃダメだ。全然面白くない」
「この展開、あの漫画に似てないか?」
「文章が下手くそすぎる。誰の心にも響かないよ、そんなの」
「あなたの書く文章はつまらない」

その批判や悪口に対して、僕はとても従順だった。
書いた文章を丸めては捨て、丸めては捨てを繰り返した。
そして、その批判や悪口だけが心に残り、勝手に自信をなくしていく。

なんとか何か書けたとしても、自信を完全に失った状態では、とても誰かに見せるという勇気がわかなかった。
誰かに批判や悪口を言われるかもしれない――
そんな被害妄想に囚われるようになってしまったのだ。

そうして僕は10年間、まともに書くこともしなければ、友達に見せることも、ネットに投稿することもできなくなったのだった。

文章の世界へおかえり

けれど、色々な作り手の人たちはこのような趣旨の言葉を話す。

「書き上げて、読んでもらうことが一番重要」
「受け手に届けることで、初めて作品は成立する」

書けないことの苦しみと、外へ出すことへの恐怖心に打ちひしがれたこの10年間、これらの言葉も心にとても痛いほどに刺さっていた。

プールへ飛び込むのを拒んでいる子どものような心地だ。
飛び込んでしまえば、強い痛みが心身を襲うのではないだろうか――。

飛び込むきっかけをくれたのは、空白の時間と、一枚のチラシだった。

転職に失敗し、メンタルダウンを引き起こした結果の無職期間。
空っぽの毎日の中で、唯一やりたいと思えたのは、「書くこと」だった。

そして、図書館に掲示されていた文芸誌の作品募集チラシ。
僕の目から見たそのチラシには、こう書かれてあった。

「勇気を出して飛び込め! 書け!」

そのチラシが10年も動かなかった僕の体を押してくれたのだった。
傷つくのが怖い。
攻撃されるのが怖い。
そう思っていたけれど、飛び込んでみれば底は浅かった。

浅いどころか、文章の世界が優しく包み込んでくれるような心地になった。

「おかえり」と言われたような心地がした。

読んでもらうありがたみ

それから2年は、時間さえあれば小説を書いた。
2023年は2本の小説を書き上げ、今年も1本小説を書き上げた。
そして今も2本の小説を構想している最中だ。

今まで小説を書いてきた傍ら、エッセイが書きたいと思って、今こうしてnoteという大きな土俵で、日々自分の文章を発表している。

自分の文章を読まれることに不安や恐怖はもうない、とは言えない。
けれど、それよりも読んでいただけるありがたみの方を強く感じられるようになった。

僕なんて、自分の気持ちや感じていることを書いているだけにすぎない。
もちろん精魂込めて書いてはいるけれど、それが誰かに届くということは奇跡に近いとさえ思う。

何より自分の文章に時間を使っていただいているのだ。
こんなありがたい話はない。

それがnoteを始めて、とても強く感じられるようになった。
100日続けてきて、少しずつ読んでいただける機会が増えているのを感じている。

それを当たり前だと思わず、しっかり感謝をしながら、
また今日からマイペースに文章を貫いていく。
note、そして皆様。
これからもよろしくお願いします。



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