教師になりたい人が大学で真剣に学ぶべき科目【教育心理学とは】
教職課程がある大学で、心理学科でない学生は「教育心理学」が心理学について学ぶほぼ唯一の機会になるかと思う(発達心理学や学習心理学、教育社会心理学など別な名称の科目の場合もあるが、この記事では「教育心理学」で統一する)。
その理由は、教職課程の必須単位の中で「教育の基礎理論に関する科目」に2単位のみ心理学に関する単位が存在する。つまり、逆にいえば2単位1講義のみをクリアしてしまえば、心理学を一切避けて教員になれてしまうわけである。
教職課程はただでさえ講義が山積みのため、仮に教養科目で心理学系科目があったとしても、習得する機会は少ないと思われる。
近年発達障害や核家族化、いじめ問題の深刻化が叫ばれ、教員の心理学への知識は重要度を増している。更に教育心理学は普段の教科指導にも使える知識(というより、必須の技術)が含まれた複合的な科目になっている。
この記事では「教育心理学」で学べることを紹介しながら、その重要性をアピールしていく。初学者の方のモチベーションになって下されば幸いである。
◆「教育心理学」の定義
・教員免許を取得する上では、
教育職員免許法施行則第6条に定められた科目区分より
「第三欄 教育に関する科目」
幼児,児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程に関する科目(障害のある幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程を含む)。
と定義されている。
・教師の専門性としての考え方では、
教師は教えるべき子どもについてかなりの知識を持っているべきである。
と専門家が定義している。
その上で、日本教育心理学会編「教育心理学ハンドブック」より、
教育心理学とは、教育という事象を倫理的・実証的に明らかにし、教育の改善に資するための学問である
と定義している。
このように教育心理学は様々な心理学の知識を教育現場で、実際に活かすための基礎科目である。しかし現状、その割には教職課程での扱いが軽く(制度が実情に追いついていない)、実際の教育現場での教員の力不足に繋がることもある。
これから教員を目指す人達には、忙しい中でも大切にして欲しい科目である。
前文では大学において教育心理学を学ぶ機会の少なさを、本項では教育心理学がいかに重要に考えられているかとの矛盾を解説してきました。
この後の文章ではこれから教育心理学を学ぶ人達に向けて、教育心理学をできるだけ解体して理解してもらえるように執筆する。児童・生徒のよき理解者となれる教員が増えることを祈るものである。
◇閑話休題◇
真剣に学ぶ姿勢を持った方のみに閲覧して欲しいため、いつものように以下は有料記事とするが、筆者が伝えたいまとめ部分は全員に閲覧して考えてもらいたいため、公開する。
目次のまとめの内容は以下の通りである。
ご査収頂ければ幸いである。
◆まとめ
・教育心理学は多くの心理学分野の集合体である。
・教育と深くかかわる、人間の発達についてまず学ばなければならない。
・学業成績を向上させるために、人の認知や記憶の仕組みについて学ばなければならない。
・円滑な学級運営のために、教師と児童・生徒、児童・生徒と児童・生徒の人間関係の理論を学ぶ必要がある。
・軽度・重度の(特に発達・精神)障害者に理解を持つ必要がある。
・評価の方法を学び、統計技術を身につける必要がある。
・法に定められた数の心理学の講義では、教師に必要な心理学的知見は学びきれないため、積極的に学び続ける姿勢が重要である。
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