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三十代、独身、職なし。アルバイトで食いつなぎながら何も変わらない平凡な毎日を送っている…
「首相。A国が弾道ミサイルの試射を行いました」 「なに。それは良い機会だ。迎撃ミサイルを…
今日は入試らしく、自宅近くの大学は早朝から受験生の列でごった返していた。雪に慣れていな…
汗だくになって目が覚めた。悪い夢を見ていたようだ。 「起きたか」 傍らに立っていた友人…
※この作品はTwitterで行われた「匿名超掌編コンテスト」に出品したものです。
口には好きな相手がいた。相手は工といった。隣に並びたいといつも思っていたが、並ぶことは…
大変だ。おれはエスパーになってしまったのだ。瞬間移動、テレポーテーションだ。おととい町でもらった試供品のエナジードリンクのせいだろう。配っていた女性が好みの感じでつい受け取ってしまったのだ。あれを飲んでからおかしい。排便しようとすると瞬間移動してしまうのだ。移動距離は回を重ねるごとに長くなっている。最初は便器に座って力んだとたん、ドアの外に出ていた。トイレ前の廊下に脱糞したおれは何が起きたのか理解できなかった。昨日の朝は居間のテーブルの上で粗相をすることになった。少しずつ距
出発ロビーの窓から飛行機の翼を見るたび、脳裡に歌声が蘇る。ヤバいほど昔に流行ったアイド…
前略 便箋の先頭に「前略」と書くたび、「前略 中略 後略」という手紙をくれたあなたを思…
警報が鳴り響き、辺りはにわかに騒がしくなった。 「少し、早いな」 慌ただしく行き交う隊…
しゃれたカフェスタンドの窓際の席で、用意された電源にハンダごてを挿して使っている女性と…
ある種の刺激というものは継続的に受け続けていると次第に違った感覚として認知されるように…
部屋に差し込んだ光を感じて、布団の中で伸びをした。目覚ましを止めた記憶はないからまだ鳴…
十一篇の連作短編『朔望』。読んでいただいた皆様、お付き合いありがとうございました。 まえがきにも書きましたが、この連作短編は「旅する日本語」コンテストに寄せたものです。もちろん、コンテストに応募するために書いたものです。 11の課題ワードがあり、当初は、書けそうなものを書こう、と考えていました。でも途中から欲が出てきて、これから先自分がどんな作品を書こうともおそらく使う機会の無さそうな単語もあるので、せっかくだから全部書いてみよう、と思い立ったのです。 そしてま