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読書日記『かがみの孤城』
鏡の中にはどんな世界が広がっているのだろう。
鏡に写し出された世界は、現実が反転した世界なのだろうか。それとも、そのままの現実が写し出されているのだろうか。
『かがみの孤城』では、鏡の中は西洋の童話で見るようなお城であった。この物語は、そんなお城に招待された、主人公こころと、6人の子ども達のお話である。
大切な登場人物は、子ども達の他にもう一人いる。赤いワンピースにオオカミ顔の女の子だ。
彼女は、子ども達を“赤ずきんちゃん”と呼び、彼らをお城に招いた張本人である。
私がこのお話を読み終えたときの感想は、「あ、大丈夫なんだ。」ということ。人を疑わなくても、裏を読まなくても大丈夫なんだと。そう思った。
生きていると、どうしても考えながら生きなくてはならない。
時には、相手が隠している感情を汲み取って接したり、嘘を見抜いたりもしなければいけない。
いろいろな経験すると、人が善の部分と悪の部分を持っていることもはっきり見せられる。そして、自分にとって害である悪の部分に注意が向き、それに負けないように意識する。
このお話を最後まで読むと「そうしなくても大丈夫だよ」と言われているような気分になる。
疑い続けている自分に気づかされる。Win-Winの関係だって存在するし、愛の存在も示してくれる。
あ、大丈夫だ。そういう気持ちに私はなった。
物語を読み終わって、やってくる現実。
現実は変わらないし、私の部屋の鏡もお城へとは繋がらない。少し悲しくなるのは当たり前だろう。
だけど、私の部屋には小説がある。私は小説を現実から夢の世界に連れ出してくれる、このお話でいうと鏡のようなものだと思った。
話し合える友達には出会えないけれど、私は登場人物の一員になれるし、その本を読んでいる世界中の人とも同じ世界に行けたと考えることもできる。
私はこのお話の中で、8人目、、、9人目、、の赤ずきんちゃんになれた。
貴方の部屋にはどんな鏡がありますか?
あらすじ
あなたを、助けたい。
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。
ポプラ社・書籍の内容より(https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008113.html)
『かがみの孤城』上・下
著者・辻村深月
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