ラグト

主に心霊系のお話を小説投稿サイトで書いています。 『視える彼女は教育係』で竹書房「最恐…

ラグト

主に心霊系のお話を小説投稿サイトで書いています。 『視える彼女は教育係』で竹書房「最恐小説大賞」を受賞し、単著デビュー。共著に『怪談供養 晦日がたり』など。 妖狐が主人公の妖怪小説もたくさん書いています。

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あやかし生徒会はお化け対策で手いっぱい ファイル1『ロッカー小僧』

【あらすじ】 中学一年生の若見綾花は国内でも有数の進学校聖エーデル学園へ転校することになった。  綾花が学園に転校できたのは生徒会会長で理事長の娘、冨塚アウラが生徒会のメンバーに霊感の強い人間を求めたからだった。  綾花は自分の身を滅ぼすことになる心霊案件にかかわりたくなかったが、周りの状況は綾花を心霊事件の対処へと巻き込んでいく。  聖エーデル学園に次々と現れる心霊案件、ロッカーから女子生徒を覗く妖怪、死の異世界へといざなう地下階段、人を喰らう封印された宿直室……。  魔

    • 【読書感想】『私の死体を探してください』

       ものすごく遅くなってしまったんですけど、note創作大賞2023で受賞された星月渉先生の『私の死体を探してください』を読んで味合わせていただきました。 Amazon.co.jp: 私の死体を探してください。 : 星月渉: 本  ここからはネタバレになりますが、ミステリー作品ですので、どんな作品か知りたいという方が読んでも本編の謎が特定されてしまうことに関しては書いていないつもりです。  それでも、見たくないという方は戻ってくださいね。 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

      • 【本田すのうさん】「あやかし生徒会はお化け対策で手いっぱい」の感想をいただきました!

         本田すのうさんから私の創作大賞ホラー小説部門応募作の『あやかし生徒会はお化け対策で手いっぱい』の感想をいただきました。 創作大賞感想 ホラー部門|本田すのうl書いて読む人 (note.com)  本当にありがとうございます。本田さんはホラー作品がすごく苦手なのに『あやかし生徒会』を読んでいただいて感謝しております。  さて、本田さんがハラハラした第7話『ナイナイさんからの電話』は朝の登校中に主人公の若見綾花が学園内で交通事故現場に遭遇します。  そんな時に綾花のスマホ

        • あやかし生徒会のあとがきとお礼

          『あやかし生徒会はお化け対策に手いっぱい』のあとがきとお礼  このたびは『あやかし生徒会はお化け対策で手いっぱい』をお読みいただきありがとうございました。 あやかし生徒会はお化け対策で手いっぱい ファイル1『ロッカー小僧』|ラグト (note.com)  このお話はnoteの創作大賞という最大級のお祭りに参加してみたいと思い書き始めた作品でした。  noteはネット上でお付き合いのある作者様の作品を読みに来るだけの全くの初心者だったので、最初はどうすればnote創作大賞

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        あやかし生徒会はお化け対策で手いっぱい ファイル1『ロッカー小僧』

          あやかし生徒会はお化け対策で手いっぱい ファイル8『スリーピングブック』

          ファイル8 スリーピングブック 「あ、あつい……」  私はタオルケットの下で身体を丸めたまま思わずうめいた。  今年の夏は特にむしむしとして寝苦しい。  朝の湿った空気に、小鳥のさえずりとかすかに外の通りのざわめきが混じって聞こえてくる。 「う、う~ん」  最悪な気分なまま起き上がり、汗でべっとりした肌に薄いパジャマをぱたぱたさせて空気を送ると、甘酸っぱい汗の匂いとともに湯気が立ちのぼる。 「……焼きたてのホットサンドと蜂蜜とミルク入りのアイスティーが食べたい」

          あやかし生徒会はお化け対策で手いっぱい ファイル8『スリーピングブック』

          あやかし生徒会はお化け対策で手いっぱい ファイル7『ナイナイさんからの電話』

          ファイル7 ナイナイさんからの電話  むれるように立ち上がってくる血と死のざわめき……。  人々の差す傘が真上に掲げられ、それはまるで雨に濡れる紫陽花の花束のようだった。 「誰か……死んだんだ」  私は眠る子供に囁くようにそっと呟く。  雨の中に生まれた学園内の道路脇の人だかり。  学園の外から聞こえてくる救急車のサイレンの音。  交通事故だった。  事故に遭って倒れた女子生徒が雨に濡れないようにしているのか、倒れた彼女がいるであろう場所の上には色とりどりの傘

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          あやかし生徒会はお化け対策で手いっぱい ファイル6『西階段の十三段目』

          ファイル6 西階段の十三段目  私の通う聖エーデル学園には七不思議と位置付けられた怪異が存在する。  一般的にはそういう怪異、怪談に関しては悪く言えば面白おかしくふざけて語られる雰囲気のものが多い。  けれどもこの学園のそれは明らかに危険度の高いものだった。  そのことを示すように学園の七不思議として語られる現場のほとんどが施錠、もしくは封鎖されて入れない状態にされている。  そんな中で怪談の舞台でありながら、私達が日常利用できる場所が2つだけあった。  それがこの学園の

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          あやかし生徒会はお化け対策で手いっぱい ファイル5『幽霊の見える用務員』

          ファイル5 幽霊の見える用務員  その日、私は屋外プールの敷地周りで作業をしていた。  赤いコーンと黄色のプラスチックチェーンを台車に積んで屋外プールの敷地を立ち入り禁止にするためだ。  三角コーンを立てて、次のコーンの間を黄色のプラスチックチェーンでつないでいく。  私ひとりの作業では進行が遅く、おまけに炎天下の作業で意識がもうろうとしてきた。 「ちょっと、ちょっとあんたひとりでやってるのかい?」  私の作業を見かけたおじいさんが不意に声をかけてきた。  私は静かにうな

          あやかし生徒会はお化け対策で手いっぱい ファイル5『幽霊の見える用務員』

          あやかし生徒会はお化け対策で手いっぱい ファイル4『プールサイド・ドッペルゲンガー』

          ファイル4 プールサイド・ドッペルゲンガー 「ああ、遅くなっちゃったなあ」  私は生徒会の打ち合わせに参加するために急いでいた。  放課後一度家に帰る用事ができてしまったので、また学園に戻ってきていたのだ。  スマホは学園内ではカバンの中に入れておかないといけないので、何度か連絡を取ってみたが、会長のアウラは出てくれなかった。 「こっちの方が近道かな」  聖エーデル学園は敷地が広いので、ショートカットできるルートがいくらかありそうだった。  私は方向的に近道になりそうな

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          あやかし生徒会はお化け対策で手いっぱい ファイル3『人喰い宿直室』

          ファイル3 人喰い宿直室 「だれか、たすけて~」  金曜日の夕方、誰もいないと思われていた部室に行くと助けを求める声が聞こえてくる。 「えっ、どうしたんですか、アウラさん?」  部室に入ると昨日まではなかったコタツが置かれていて、アウラさんがコタツから頭だけを出して寝ていた。 「ああ、綾花さん、たすけてよ、コタツから出られないのよ」  転校した私が新しく所属した茶道部にはアウラさんも所属している。  生徒会室はちゃんとあるんだけど、生徒会のメンバーは今ふたりしかいな

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          あやかし生徒会はお化け対策で手いっぱい ファイル2『死出の地下階』

          ファイル2 東階段、死出の地下階 「ねえ、綾花さん、昨日の案件調査のことなのだけど」  朝のホームルーム前、教室の席について荷物をかばんから出しているといきなり生徒会長の冨塚アウラさんから話しかけられた。  朝一番に芸能人のような金髪美女に話しかけられるとやっぱり緊張して固まってしまう。  同じ生徒会役員で同じクラスだけれど、普段は所属する女子グループが違うのでクラスではあまり積極的には話しはしていない。 「えっと、ロッカー小僧のこと、ですか?」  そもそも、普通家庭の

          あやかし生徒会はお化け対策で手いっぱい ファイル2『死出の地下階』