#258 経営チームのエグゼクティブ・ファシリテーション 24/10/21
こんにちは
今日は、2ヵ月ほど前に行なった経営チーム向けのセッション(研修的な要素を含む)から感じたことを考えます。
(実例を基に編集しています)
わたし自身が、経営チームのボードメンバーを相手に、プロジェクトを進めたのは、何回かあります。事業再編に伴う人事基幹制度改定や報酬水準を底上げするための数十億の報酬投資をテコにした報酬制度改定、中期経営計画の策定が主たるテーマでした。それぞれ、人事部門、事業企画部門としての経験です。それぞれ、今の自分を形成する血肉になった経験です。それは別の機会にまた棚卸ししてみようと思います。
さて、今回は、人事部門として事業部門の経営チームメンバーに対して、1on1の実践トレーニングを兼ねた、1on1を「なぜやるのか?」を真に理解し腹に落としていくプロセスとして、セッションを実施するに至りました。
人事ごとの施策に関わらず、現場のフロントラインに経営の意思決定から各種の施策を展開することは常です。実行フェーズでは、バックオフィス各機能組織から現場に伝達し、その後のモニタリングや後追いを続けることで定着や改善、その施策の完了定義の状態まで推進していきます。そのときに、現場には要求する一方、意思決定の上位機関に行けば行くほど、経営チームほどその施策で要求される行動を求められないことも多くあります(実務としては発生しないことも多いです)。
今回のセッションでは、具体の素材が1on1でした。ですから、経営チームのメンバーも、それぞれ聞き手(マネージャー役)と受け手(メンバー役)のどちらの立場でも、日常のルーティンとして実践機会があります。そこで、自身の1on1を振り返ってみることも含めて、腹に落とすプロセスも実行したいと考え、セッションを企画しました。
中身に少しだけ触れると、「そもそも私たちが1on1をするのは何を意図しているのか?」ルーティンのWhy?を問い直すことから、考えることをしました。たとえば、事業戦略として掲げている主題と、人材・組織マネジメントのコア活動をどのように接続しているのか提示し、それについての対話的なレクチャーを行ないます。
それから、いろいろなマネージメント活動シーンを題材に、1on1がよい影響をもらたす「効果」的な観点から、1on1の意味、有用性を考察していきます。ここでも、講義・解説的な要素が占めながらも、対話的なセッションとします。
そして、これが本丸ですが、1on1を通じて個々の成長支援を行ない、そしてチームや組織の発達段階を支援すること、との意味的、プロセス的なつながりの両面でその構造を明らかにしていきます。ここでも、わたしなりの理論構築された構造を素材に、質疑応答を通じた理解と解釈の腹落ちを対話的に進めます。
最後に、その活動である1on1をどのようにやるのか、実際に練習をしてみて、身体的な体験も通して、学習を試みます。
これらのストーリーよって、アタマでの理解と、フィジカルエビデンスとの両方を獲得し、さらにそれを自分や他者を通じてリフレクションします。この一連の学習プロセスを経て、ようやくに腹落ち的な理解が始まります。
これでも、まだ「わかった」には至らず、仕事現場に戻っての実践により、このセッションで気づいたことを、さらに学習して、真に自分のルーティンに昇華・消化します。
これら一連のプロセスを見据えた上で、この場を企画と当日の進行を計画します。なぜなら、とりわけ経営チームメンバーといった成功体験の強い集団と個々には変容的学習が起きないからです。
一方、ここで丁寧なプロセスを踏むことで、良い意味で、もっとも発信力の強い事業責任者たちが、自分の意思と言葉で、その取り組み、ここでは1on1、について事業ストーリーの1つとして物語ることができれば、その効果・威力は幾重にも強くなります。
でも、そのためには、その経営チームメンバーの「理屈がわかった」
「行動が変わった」
「認知が変わった」
「自分たちにとっての意味(自分たちは何屋か?)が変わった」
の発達段階プロセスを経ます。
そして、それが企図どおりになるには、経営チームメンバーに「学びがある」と思ってもらえることです。そうした気づきのあるコンテンツ、シナリオを企画できるか、がキモです。そのためには、事業戦略(事業責任者はやはり財務的価値も気になるから)と、人材・組織マネジメントの戦略をつなげることです。
これが、わたしがエグゼクティブのファシリテーションを通じて、改めて学んだことです。
それでは、また。