#51 無理なお願いをしてみる
【私の仕事術:❺仕事に役立つ交渉術】
わざと無理難題をふってみる
ここまで「仕事に役立つ交渉術」として、主に「相手との信頼関係をいかに構築するか」という事を紹介してきました。
相手の立場にたつとか、色々お願いごとを聞いて恩を売ろう等、交渉相手の方に気を遣っている内容でしたので、読んでくださった方の中には「交渉って、マウンティングをどうとるかが大事では?」「それで交渉上手になれるのかな?」という感想を持った方もいらっしゃると思います。
その点は一旦、ご安心を。
まだまだいろんなノウハウを紹介していきます。
さて、今回のテーマは
『わざと無理難題をふってみる』
です。いわゆる無茶ぶりですね。
「無理難題」とは、文字通り「こんなお願いをしてもダメだろうな」と思うようなお願い事です。
「無理難題とか、そんな事を言っていいの?」と思うかもしれませんが、実は無理難題を言う事にも、3つのメリットがあります。
❶「言ったもん勝ち」で、すんなり実現する事がある。
❷相手にとっての難易度がわかる。
❸お取引先の改善に貢献する。
3つのメリットを、それぞれ解説します。
❶すんなり実現
これは本当によくあるパターンで、こちらが勝手に「無理難題」と思っていた場合ですね。聞いてみたら二つ返事で「いいですよ」と言ってくれるケースがあります。
「#23 現実から目を背けない」でも少し書きましたが、仕事上で「できない」と思っている事は実は都市伝説のような事が多く、事実確認すると「できない」わけではなかったというのがよくあります。
ダメもとでお願いをしてみるぐらいのノリで話をしてみるのが良いと思います。
❷相手にとっての難易度がわかる
こちらが無理だと思っている事も、実は相手側にとってはそんなに無理難題じゃなかったというのは、よくあります。
IT化やDX化が進む現在では1年前から技術も大きく進歩し、会社の方針も変わり、これまでは無理だったものが相手側の中では実現に向けて改善している途中という事もあります。
そのような時は、すぐには無理でも「半年後には実現します」と教えてもらえれば、半年後には実現する事が知れて更にラッキーです。
逆に、本当に難しいケースもあります。この時は一旦諦めるしかないですが、これも無理難題を言わないとなぜ本当に難しいのかまで理由はわからないものです。
❸お取引先の改善に貢献
相手側の改善に貢献と、少し図々しいですが、これも実際にあります。
世の中がこんなに変わっていく中、これまでのやり方ではダメな部分も多々あります。特に旧態依然とした組織だと「この書類はペーパーレスにできない」とか「必ずハンコがいる!」みたいな昔ながらのやり方に固執したりします。これまで無理だと思うような斬新な取り組みは法的リスクが高いと検討すらしないというのもあるでしょう。
でも、いつの時代も新興企業が出て市場の勢力図があっという間に変わってくものですから、自らをどう改善していくか考えないといけません。そのような時に外部からの無理難題は、言い換えれば「市場のニーズそのもの」で、そこに取り組む事が自社の競争力アップにもつながるのです。
もちろん、お願いする時はダメもとですが、相手の為にもなっていると思えば、頼む前から「こんなの失礼かな?」と気負う必要はないと思いませんか?
とはいえ、言いにくいのもありますので、無理難題を言うタイミングを最後にご紹介します。
■無理難題をいうタイミング
何でもかんでも無茶ぶりすると相手も嫌な気持ちになりますので、言うタイミングや頻度は注意が必要です。でも、交渉においてはやはり少しでも優位にいたいものです。
私の場合、お取引先とある程度の実績が出て、コミュニケーションがとれて、お互いの人となりがわかり、信頼関係ができてくる、そのタイミングで一度「あのー、、」と、ダメ元で無理難題をお願いしてみます。
(※言う必要が無い時はもちろん言いません)
仲良くなると、その関係を崩したくないと思い、お互い忖度しあうようになりがちですが、ビジネスにおいて忖度ばかりでは何も成果が出ません。
相手から「この人、なかなかするどく切り込んでくるな」ぐらいに思ってもらえたら、その後の仕事でもなめられる事もないでしょう。
あくまでそれまでのコミュニケーションで築かれた信頼関係があればですが、双方の為にもわざと「無理難題」をふってみるのもおすすめします。
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