#78 業界用語、社内用語は要注意!
企画書や報告書などビジネスシーンで様々な文章を書く時、ついついやってしまうのが、専門用語や業界用語、社内用語を不用意に使ってしまうケースです。
不用意につかってしまうとまずい代表的なケースは次の3つです。
❶お客様に説明する、もしくは書面で案内する場合
❷こちらから先方に提案をする場合
❸社内会議でも社長や経営層へ説明する場合
❶はお客様からすると「何を言っているの?」「全然意味がわからない」と混乱を招き、最悪の場合、クレームに発展する可能性もあります。ですから細心の注意を払い、老若男女、わかりやすい表現にする事が重要です。
❷はこちらから提案をする時に、相手がわからない言葉を使ってしまうと、せっかくいい提案をしてもその良さが伝わらず、チャンスを無駄にしてしまう事もあります。難しい言葉を駆使し、凄さや強みをアピールしたいかもしれませんが、聞き手に配慮しない表現を使っていると、逆に「契約しても、こちらに寄り添ってくれず、うまくいかないかもな」と見られてしまいますので注意しましょう。
❸は経営層からすると「なんだね、その言葉は?」とか「誰もが知っている前提で使うな」と、資料の内容以前に、相手に対する配慮の無さを注意されるので要注意です。
いずれも事前にチェックしておけば回避できる事ですので、あらかじめ余裕もって文章を見直すようにしておけば問題ありません。
では、「見直すにしても、どんな言葉に注意しないといけないのか?」という事で、次は注意が必要な言葉をご紹介します。
注意しないといけない用語は、以下の5つのパターンです。
■注意すべき5つの用語
【A】ビジネスのトレンドを象徴する英語の略語
最近だとDX(Digital Transformation)やPoC(Proof of Concept)、ひと昔前だとBPR(Business Process Re-engineering)、CRM(Customer Relationship Management)のように、ビジネスのトレンドを象徴する言葉は毎年のように次から次へと登場します。社内会議で使う時、上司や経営層は知らない事が多いので、特に新しい言葉になればなるほど、「最近のトレンドでよく使われている言葉です」と補足説明をする等、使い方に注意が必要です。
【B】業界用語
各業界には必ず業界用語というのがあります。業界用語はその業界では共通言語なのでついつい使ってしまいます。映像制作の業界では「完パケ」といえば映像作品の完成品、納品物です。金融業界で約定(やくじょう)と言えば、支払日だったり、契約が決められた事という意味になります。通信業界で「輻輳(ふくそう)」と言えば、通信が集中しつながりにくくなっている状況を言います。これらの言葉は一般消費者やお客様に説明する時は絶対通じませんので使わないように、わかりやすい言葉で言い換えましょう。
【C】社内用語
その会社でしか通じない言葉です。ドコモで「事務連(じむれん)」と言えば、イントラ上にアップされる社内通知文書の事だと、みんなピンと来ます。ジャパネットで「配完(はいかん)」と言えば商品が配達された状態だなとわかります。ソニーの時はソニー英語という辞書サイトがあるぐらいたくさんの社内用語がありました。その会社では業務上、使い勝手のいい言葉ですから無意識のうちに使ってしまいます。先ほどの業界用語と同じく、お客様向けの説明や案内には使わない事はもちろん、逆に新入社員や転職してきた人には真っ先に用語集として教育するというのは、私はよくやっていました。
【D】業界によってニュアンスが違うもの
「トランザクション」という言葉、金融業界では取引明細として使われます。でもIT業界では「複数の処理を1つにまとめたもの」という意味で使われます。例えば金融会社とITベンダーが話すと、同じ「トランザクション」という言葉でも、まったく意味が変わってきますので注意が必要です。でもこれはそのようなシーンにならないとわからないものですから、怪しいなと思ったら「どうしました?」「何か不明な点ございますか?」と聞くのがいいでしょう。あとあと、同じ言葉なのにお互いの業界で意味が違うというのがわかった時は、笑い種になるやつですね。
【E】社内や業界内でも一般的になっていない恐れのある言葉
例えば、「アノテーション(annotation)」という言葉。もともとはYoutube等の動画や音声データ等にタグ付けする行為、もしくはタグ付けするエリアの事を言いますが、AI分野になると「予測精度を向上させる為の学習データを作る事」のように分野によって意味が変わってくる言葉があります。先ほどの【D】のケースに近いですが、業界内、社内でも、これはまだ一般的ではないかな?と思うような言葉は、いっそ使わない方が無難です。
■どうしても使いたい場合
不用意に使ってはいけない場面と、注意が必要な言葉を説明しましたが、使った方が後の説明が楽になったりするケースもありますから、最後に使う時の注意点を2つご紹介します。
①『』など、あえて象徴的に、目立つように書く
この言葉を知っていてください!という気持ちをこめて、あえて目立たせてしまいましょう。もちろん、その言葉の意味は丁寧に説明する必要はありますが、他に良い言い回しが無い場合とか、今後頻繁に使う可能性が高い場合は最初に目立つように使って、覚えてもらうようにしましょう。
②「〇〇とは」という説明文や注釈を入れる
先ほどの目立たせるのに加えて、「※〇〇とは」という説明文や注釈を入れる癖をつけておくのもいいです。なぜなら、聞き手側もわからない言葉が出た時、わからなくても「それって何ですか?」と質問できない場合があります。そのような状況にも配慮し、資料や文章のどこかに注釈として書いておくと相手も質問しなくて済むのでいいです。
いかがでしたか?
社内用語や業界用語をつい使ってしまうのは、よくある話ですが、あらためて受け手側の立場にたち、言葉選びにも気を付けていきましょう。
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