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①【雪山】ニューヨーク州最高峰、Mt. Marcyへの挑戦

当時の私は、
狸との遠距離恋愛が始まったばかりだった。

狸との結婚の成り行きを知りたい方はこちらから👇



無事恋人をゲットできた私だが、
恋人は真反対のカリフォルニア州に
住んでいるということで、
相変わらず1人でニューヨークの山々を楽しんでいた。


そして2022年の11月。
サンクスギビング(感謝祭)の休日を使って、
ニューヨーク北部のAdirondacks(アディロンダック)にある
ニューヨーク州で一番高い山、
Mt. Macy(マーシー山)への
登頂を試みることにした。
ちなみにアディロンダックに行くのは初めてだ。



アディロンダックまでは
NYCからバスを乗り継いで約7時間。
結構な長旅である。
行きと帰りだけで2日間つぶれてしまうので、
バックパッキングできるの実際の日数は2泊3日である。


私はマーシー山に挑戦するにあたり、
体力をつけるべくトレーニングに励んだ。
低山の雪山には幾度となく登りには行ったが
今回は時間が限られている。
また1600mm以上の山なため、
コンディションによっては
登頂が厳しくなることが予想された。
最低気温は軽くマイナス10~15度にはなるだろう。



持っていくギアや食料は
なるべく軽いものを選んだ。
最低限のギアだが寒さに対応できるものでなければならない。


アディロンダックのキャンプサイトには
シェルター用の小屋(小屋と言ってもドアは無く、
壁と屋根がある簡単なもの)があるようなので、
今回は軽量化のためテントは持参しないことにした。
解放感のあるシェルターだが、
これが雪の上にテントを張るよりも
断然温かいのを私は知っている。




ギアを詰め込み、さぁ出発だ!
私はウキウキしながら長距離バスに乗り込んだ。


初日は街の中の素敵なキャビンを予約していた。
夜は薪ストーブの前でお酒を楽しんだ。
将来こんなふうに薪ストーブがある家に住みたい。
焚き火や薪ストーブには浪漫があるのだ。


キャビンで知り合った登山カップルに
「明日からマーシー山を目指す」と言うと、
「え!?本気で行くの?」と驚かれた。
どうやら雪は深いらしい。


狸には前もって登山用のGPSアプリで、
私の現在地を共有していた。
もし何かあった場合は狸が救助を要請できる。
狸はとても心配な様子だった。
だが私は行く。



翌日、初日のキャンプサイトを目指し歩き始めた。
登山者届けに自分の名前を記入した。


歩き始めるとすぐに登山道に雪が見え始めた。
靴に軽アイゼンをはめてどんどん進んで行く。
寒いのは嫌いだが雪山は美しい。
思わず鼻歌なんか歌ってしまう。


そんなふうに呑気にしていられるのも
今のうちである。
何も知らない兎よ、
ぞんぶんにこの瞬間を楽しみたまえ。



キャンプサイトに着くまでに
山々を越えなければならない。
そのうちの1つである
Lower Wolfjaw Mtn
(ローワー・ウルフジョー・マウンテン)
の山頂で吹雪に見舞われた。
数メートル先が見えない状態だ。
おいおいおいと思いながら慎重に歩を進める。


下りにさしかかると、そこには滑り台があった。
滑り台とは言ったがただの氷である。
傾斜が急で歩くのが難しいため、
滑り台を滑るようにして降りることにした。
加速しすぎると岩に激突する可能性があるので、
慎重に滑ったつもりだが結局ぶつかった。


やっと1/2の距離を歩いた。
もう既に2時をまわっている。
何度か雪のせいでトレイルから外れてしまい、
思っていたより時間を取られていた。
4時を過ぎると日が落ちてしまう。
私は急ぎ足で進んでいった。



キャンプサイト
(Bushnell Falls、ブッシュネル・フォールズ)
まであと少しというところで
辺りは暗闇に包まれた。
既に5時はまわっていた。


私はヘッドライトを装着し、
キャンプサイトを探し歩いた。
だが雪が深いせいでキャンプサイトがなかなか見つからない。
シェルターを見つけなければ夜を越せない。
私は焦っていた。


疲労のせいで何だか泣きたい気分になってきた。
周りには人っ子一人いない。
慣れない雪山と長距離歩いたせいで足が痛い。
お腹もすいたし水も川に汲みに行かなければならない。
それにここはなんて寒いんだ!!
もはや愚痴しか出なくなっていた。



20~30分かけて
ようやくシェルターを見つけた頃には既に疲弊していた。


川を見つけられなかったので、
雪を溶かしてフィルターで漉すことにした。
今夜の分の水分があればそれで良い。


靴下を脱いで足を見てみると、
酷い靴擦れをおこしていた。
血がベットリと靴下についている。
応急処置としてバンドエイドを張った。



食事を簡単に済ませ、
寒すぎたのでシェラフの中にもぐりこんだ。
辺りはシンと静まり返っていた。


私はこの孤独が好きだ。


明日、マーシー山の登頂に挑戦する。


To Be Continue…
次回に続く。


兎アート🐇



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