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④冒険家に憧れて

今日は人生初のカヤック体験の話をする。

前回のグレイシャー国立公園の旅で、
人々がカヤックを楽しんでいるのを見て、
私もやってみたいなぁと思っていた。
というのも、
カヤックやカヌーに浪漫を感じていたからだ。
冒険家に憧れている私には必須だろう。


だがカヤックの構造を知らないし、
下手に一人でやり始めて溺れたら本末転倒だ。
冒険どころの話ではなくなる。
ちなみに私は泳ぎが得意ではない。

というわけで、カヤックツアーに申し込んだ。

早朝にツアー会社のビルへ行くと、
同じくこれからカヤックを体験しようという
同志たちが待合室で待っていた。
一行はバスに乗り、
これから始まる未知の世界へ旅立った。


現地へ到着しライフジャケットを着用した。
インストラクターが簡単なカヤックの説明をし、
では実践しましょうということで二人一組になり、
カヤックに乗り込んでいった。
私はペンシルバニア出身の若い姉ちゃんとペアになった。

後方の座席に乗り込んだ私は、
初カヤックにわくわくしていた。
冒険の始まりだ。

そして一行はインストラクターたちに
誘導されながら、
岸から離れていった。

私はぎこちなくオールを漕いでいる。
オールを漕ぐとは、
なかなか体力を使う作業だ。
一定のリズムと角度で
腕を動かさなければならない。


後ろを振り向くと、
もう既に陸地は遠く見えた。

兎アート



何艘かの船が浮かんでいる。
海の上はとても静かだ。
早朝だし湾ということもあり、
波はたっていない。
山々には霧がかかっていて、
何とも幻想的な風景だ。

私は不思議な気持ちになってきた。
この幻想的な風景を前に
頭がぼーっとしているような、
体が浮いているような、
そんな感覚だ。



そんな魂が半分抜けた私だが、
前方に目をやると、
水面から何かが出ている。
目をこらし見てみると、
それは何と野生のアザラシだった。

私はハッと我に返り、
その野生のアザラシにくぎ付けになった。
彼は頭だけを水面から出して、
こちらを見ているように見えた。
ツルっとした頭に大きな目、
髭の生えた口元。
私は興奮してドキドキしている。


だがアザラシは一瞬にして水中に消えていった。
私は残念に思ったが、
他の動物もいないか探し始めた。

「あそこにアメリカンイーグルがいるよ!」


近くにいたインストラクターが声をあげた。
指をさす方に目をやると、
立派なアメリカンイーグルの雄が
木の上にとまっていた。
そのアメリカンイーグルは、
私たちが近くにいても怖がることはなく、
そのまま木の上で休んでいた。
これからの狩りに備えて
体を休ませているのだろうか。

私はこの2時間程のカヤック体験で、
二匹の野生動物を目にすることができた。


そしてこのカヤック体験をきっかけに
私のカヤック&カヌー旅が始まることになるとは、
その時の兎は想像もしていなかった。
その話は追い追いしていこうと思う。


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