【セミナーレポート】パートナー様からの商談数(紹介数)を伸ばすためにやるべきこと(2024/4/11開催)
皆さん、こんばんは。
パートナーセールスの葛西です。
先日、あしたのチーム様・RevComm様ご登壇の「パートナービジネス開始までに準備しておくべきこと」セミナーとインフォマート様・マネーフォワード様ご登壇の「パートナー契約後、最初に実施すべきアクション」のセミナーの開催レポートを書かせていただきました。
今週はパートナーセールスWeekの第3弾、「パートナー様からの商談数(紹介数)を伸ばすためにやるべきこと」のセミナーレポートを書かせていただきます!
※長文となるため、要点だけ知りたい方は上述の本noteの要約をご参照いただくか、目次から興味のある質問項目だけ選択してお読みください。
パートナー様からの商談数(紹介数)を伸ばすためにやるべきこと
登壇者紹介
株式会社ラクス
ラクスクラウド企画部 パートナーシッププロモーション課 課長
冨樫 嘉一 氏
サイボウズ株式会社
パートナー第2営業部
田畑 友紀氏
パートナープログラム
Q1. パートナーからの商談数(紹介数)を伸ばすためにやっていることは?
▼株式会社ラクス様の取り組み
冨樫氏:まずはラクスのパートナービジネスの立ち上げの話をすると、私が約5年前に配配メールの事業部内にパートナーセールス部門を作りました。当時、パートナービジネスを経験してるメンバーが1人もいなかったので、最初の立ち上げ期の約3年間はまずパートナーセールスをメンバーが体験して、ナレッジを貯めていくということに注力していました。どうやったら認知しやすいのかなーと考えた時に、まずはディストリビューターから認知を拡大していくことと、大手の販売会社さんを紹介していただいて、地域ごとに紹介してもらったら全国津々浦々まずは訪問するみたいなことをとにかく徹底してやり続け、メンバーの中でのナレッジをどんどん貯めていったというのが最初の3年間となっています。
その後、ようやくメンバーも増員された中で、主に私が担当している配配メールの前後のサービスとの親和性を担保しつつ、例えばkintoneのコンサルティングパートナーさん達などと数多く接触させていただいて、まず当社の配配メールの認知をしていただきながらkintone+配配メールでこんなことができるよという世界観をパートナーさんの中に作っていったりすることで、中にはパッケージ化して販売いただいているようなパートナーさんもいらっしゃったりします。その結果、今は1,900社くらいまでパートナー数は増えました。ただ、これだけ増えてくると全ての案件に商談対応者をアサインすることは難しいので、やはりまずは全体の約5%ぐらいのパートナー様に注力先を決めて、そこに担当者を張って日々コミュニケーションを取っています。それ以外のパートナーさんについては、メール配信や自社で作ったポータルサイトなどでテックタッチにアプローチして第一想起を取っていき、そこから入ってきたリードに関しては担当者がきちんとフォローするという形で対応しています。
部署のメンバー構成としては、今期からラクスが縦割り(プロダクト別のパートナーセールス部門)から横割り(プロダクト横断でのパートナーセールス部門)に組織体制が変わりまして、現在は全国で7名のメンバーが所属しています。主にパートナーセールスは商談設定までしたら、その先はフィールドセールスに案件をパスしてフィールドセールスがクロージングするという形になっています。ですので、我々パートナーセールスは商談を作る側に注力しています。
葛西:ありがとうございます。7名で1,000社を超えるパートナーさんを担当しているというのはすごいですね。続いてパートナーセールスとは、というところもお話いただけますか?
冨樫氏:これは社内向けの資料を少しカスタマイズして作成したんですが、弊社のメンバーからも「パートナーセールスって何?」とよく聞かれるので、この資料をもとにいつも説明しています。私の中での経験ではあるのですが、大きくパートナーセールスは2つのシーンがあるかなと思っています。「構築」と「運用」という言葉を使ってるんですが、「この2つをきちんと回すとストーリーが描けるよね」、「これができてる状態がパートナーセールスがうまく回ってる状態なんじゃないかな」ということをメンバーにも伝えていました。
まずはこの「構築」というのが何なのかというところをお話します。 まずは企業対企業の合意が必要となりますが、相手先を見つける作業もそうですし、どんな取り組みができるかなというのを想定した上で、実際に協業商談をさせていただいています。この商談設定も私のやり方は結構泥臭く、展示会にターゲットとしている会社が出ているならブースに訪問して突然声かけるみたいなことをやったりしています。まずそういった形で協業商談を設定してお互いのサービスを理解した上で、まずは利害関係をすり合わせます。その後、お互いにきちんと握手ができる(合意形成できる)状態だったら、 販売方法やプロモーション、またはお互いが持ってるお客様からまず事例を作り出してそれをホワイトペーパー化する・記事化するなどして、それと同時にパッケージ版としてリリースするとか、セミナーを一緒に開催したりとかということができるように動いています。
続いて、ここまでで結構満足して終えてしまう方が結構多いんですが、ここから先が実は非常に重要で、この構築した座組みをいかに運用するかというお話になってくるんですが、やはりこの「運用」の部分はもう人対人なんですね。 結構KPIを設定する際に、例えばA社さんに何回訪問したとか、週に何回電話したかとか、「会社単位」でカウントしてしまうことがあると思うんですけど、私は「個人単位」でカウントし、KPIをモニタリングしています。 ですので、そういった「個」と「個」の深耕をしていく過程で、当然寝技的な飲みニケーションもやりますし、お昼ランチを一緒にするとか、そういったコストもかけつつ、まずは人脈を少しずつ広げていく。人脈を徐々に広げていった上でキーマンを見つけ出して、その人とセミナーや展示会、イベントの協賛などさまざまなセッションを行ったり、案件同席などを経て、最終的にはそのパートナーさん先に常駐させていただいたりとかしています。ただ、最近だと常駐できない企業さんも増えてきていますので、その場合はとにかく多くの案件同席を繰り返して、その人たちに提案方法などのナレッジをどんどんインストールしていただいて、最終的には自分たちがいなくても売れる状態、提案ができる状態を作り上げていくということを日々やっています。
▼サイボウズ株式会社様の取り組み
田畑氏:私は大手販売会社(IT商社)さん担当なので、その会社さんとの取り組みを中心にお話しさせてもらいたいと思います。皆さんご存知かもしれませんが、47都道府県に営業拠点を持ち、営業マンもたくさんいらっしゃるので、人的リソースの豊富な企業様になりますので、この企業様をパートナーにできた時にはうまく組めれば相当な売上にも繋がることは想像できるかと思います。この会社さんの課題として、メインの複合機ビジネスが縮小傾向であるため、デジタルサービスで事業を伸ばしていく、要は「モノ売り」ではなく「コト売り」できる会社になっていかなくてはならないというところに会社として課題を抱えています。「コト売り」できる人材が育っていないという会社全体の課題に対して、サイボウズのkintoneが実は教育ツールとしてはピッタリ来る商材になっていて、それも相まってこの大手販売会社(IT商社)さんではありがたいことにkintoneをグループ全体で積極的に拡販をしていただけるような状況にはなっています。
ただ、今はそのような状態になってますが、元々は全く違いました。2022年からその販売会社さんとの協業がかなり深まり、kintoneをOEM提供するようになりました。OEM提供するとなると、社内で自社商材化されるということになるので、これまではかなりその大手販売会社(IT商社)さんに対してkintone売ってください・担いでくださいとプッシュしてましたが、フェーズが変わって2022年くらいには自社商材になったので、複合機と同じぐらい自分たちで売ってこなくてはならないものになりました。今はどちらかというとフェーズが変わって、その大手販売会社(IT商社)さんが積極的に販売してくるような状況になりました。なので、今日はどちらか言うとここに至るまでのお話について皆様にはお話できればと思ってますが、基本的にやってきたことは冨樫さんにお話いただいた内容とほぼ同じです。
まず、実績と現場の人脈作りのための現場密着型の営業活動っていうのが基本的には絶対に必要です。特にこの大手販売会社(IT商社)さんに関しては、それが結構効く企業さんであると思っています。足繁く通って、営業さんに顔を覚えてもらって、覚えてもらった上でその営業さんが取り扱ってる商品を覚えてもらって、さらにはその商品を提供している会社のことを好きになってもらって、というようなファン作りの活動をずっと続けて、実績を積み上げてきました。今でこそ次のフェーズに入っている状況ではありますが、その大手販売会社(IT商社)の中でサイボウズの製品がまったく注力商材ではない時代もありました。会社としての注力商材ではなかったとしても、現場営業のキーマンなどを抑えておけば売ってきてくれる会社であったので、営業現場には足繁く通っていました。会社として号令がかかっていない商材であっても自分たちが気に入った商材であれば売ってきてくれるっていう会社であったため、現場のキーマンを抑えにいってました。
2つ目が、会社全体として取り組んでもらうためにも、最終的には本部を攻略していく必要があります。本部との交渉を優位に進めていくためにも、「受注の実績」や「事例」などが必要です。営業現場でこういうお客様に対してサービスが提供されていて課題解決に役立っているというような事例やこれだけ貴社に利益をもたらしている商材なんですよっていう実績を具体的に語れないと、やはり本部へ提案しても刺さりません。だからこそ、全社での取り組み(拡販)に動いていただくためにも、事例や実績を作る必要があるため、現場密着型の営業活動が必要でした。
最後は、現場活動をしないと、そのパートナー企業さんの組織体制や組織ごとの特徴なども拾えないので、やはり現場密着型の営業活動は重要なのではないかなと考えています。 例えばですけど、私が担当しているこの大手販売会社(IT商社)さんに関しては、本部が出してる方針や指示ではなく、 営業現場側で決めた方針や指示に営業マンが動く傾向が強い会社です。そのような情報も、おそらく営業現場を回らないとわからないことなので、この会社はどのような特性のある企業なのかというのを知るためにも、現場の営業活動をして情報収集するということがが極めて重要であると考えています。
ではこのまま続けて、現場密着型の営業活動とはどんな活動をしているのかをお話させていただきます。 まず、現場密着型の営業活動は大きく2軸あると考えていています。
1つ目が、 「会社」「商品(商材)」「自分」を認知させるための活動です。これはおそらく皆さんご存知の通りですが、例えば常駐させてもらうとか、足繁く通って営業所の所長に覚えてもらうとか、飲みニケーションやゴルフのような寝技など、そういった密着型の営業活動をやっていました。
2つ目が、現場のキーマンを見つけて育てて、さらにそのキーマン経由でさらにキーマンを作るっていう活動です。サイボウズでは昔からこのようなキーマンを増やす活動をやっていて、サイボウズ社内では現場の「キーマン」という言い方をせずにサイボウズの「ファン」という言い方をしてます。「パートナー企業の中にサイボウズファンをいかに増やせるか」、 それを常に考えてパートナーセールス活動をしようというような話はよく話しています。
サイボウズファンを作っていく活動をする中で、最近はファンの中にも分類があるだろうと考え、ファンをカテゴリー分けしています。「横軸=サイボウズへの関心(愛)の高い/低い」、「縦軸=提案・受注実績の多い/少ない」と捉えていまして、「ファンになった方=キーマン」であり、サイボウズでは「ファンセールス」と呼んでいます。このファンセールスになる予備軍が、図の左上の提案・受注実績は多いがサイボウズへの関心(愛)が低い人たち=「ファン予備軍」、図の右下のサイボウズへの関心(愛)は高いが提案・受注実績は少ない人たち=「受注予備軍」と2つあります。この「ファン予備軍」と「受注予備軍」をいかに「ファンセールス」にしていくか、「ファン対象外」から「ファン予備軍」または「受注予備軍」になってその後「ファンセールス」にどのようにしていくか、そのための活動がパートナーセールスの活動となります。
ファン対象外の人たちを「ファン予備軍」または「受注予備軍」にするためには、これは現場の営業活動で「ファン予備軍」または「受注予備軍」になるであろう人を見つけなくてはなりません。私の担当している大手販売会社(IT商社)さんの場合、全国各地に担当してるサイボウズのパートナーセールスメンバーが30人ぐらいいるんですが、それぞれのメンバーがこの「ファン対象外」から「ファン予備軍」または「受注予備軍」へ引き上げるためのさまざまな営業活動を日々やっています。
「ファン予備軍」「受注予備軍」をさらにファンにさせるという活動でいうと、全社的な取り組みとして、全国のパートナーに向けた表彰式のようなイベントを開催しています。実績に応じた表彰式であったり、お食事付きで受注事例をお話いただくイベントであったり、そのようなイベント事を定期的に開催していたりします。
ここまでお話してきたことが、サイボウズでやっているパートナーセールスの活動です。
参加者からの質疑応答
質問①:担当されている大手販売会社の社内でも人材育成としてkintoneを導入して活用しているのでしょうか?
田畑氏:私の担当している大手販売会社(IT商社)さんの中では「自社実践」という言い方をしています。この大手販売会社(IT商社)さんは自社で売っていこうと思う商品に関しては、やはり自社で使ってないと現場の営業が全然語ってくれないので、使わせるために自社実践を進めているみたいです。なので、kintoneに関しても自社でも使っていただいています。
葛西:なるほどですね。ラクスさんはいかがですか?
冨樫氏:弊社ももちろんやっています。逆に私からも質問したいんですが、kintoneをOEMで展開される前は、そのパートナーさんへは無償でkintoneを提供してましたか?それとも有償でしたか?
田畑氏:有償、無償、どちらの提供の仕方もありますが、基本は有償で利用いただいています。業務で使うのであれば利用料は払ってください、ただし優待価格で提供しますという形で導入いただいてました。ただ、営業マンへの教育を目的に少しまずは使ってほしいなという時は無償で少しだけ貸し出していた感じですね。
冨樫氏:多少オプションなどで値引きするケースももちろんあるんですが、当社は普通にパートナーさんに通常の利用料をいただいて使っていただいてます。 ただ、よりコアなとこに入ってくると無償で提供したりとかはもちろん今でもやってはいますが、割と通常の利用料で普通に販売しています。当社では、自社のパートナーさんの自社導入ってケースは結構多かったりします。
質問②:1年目から2年間ずっとパートナーセールスで直販を経験していないこともあり、商材知識が直販に比べると劣るという課題があります。パートナーセールスはどれくらい自社商材の理解をしておいた方がいいのでしょうか?
冨樫氏:営業現場の方々からお客様を紹介してもらうという部分では商材の知識は最低限はもちろん必要になります。ただ逆に、先ほど私が話した「構築」と「運用」のところの「構築」の部分だと商材のことをさほど知らなくても大丈夫で、その商材で何ができるか、それによってどういうことが起こるのかということさえ抑えておけば「構築」は十分対応できます。「こういうお客様からこういうワードが出てきたらうちのサービスです」というのを徹底的に回していくってことが重要です。
質問③:パートナービジネスは成果につながるまでのリードタイムが長いため早めに人員投下していきたいなと考えた際に、会社を説得する・巻き込んでいくためのいい方法があったら教えてください。
田畑氏:当社の場合は、元々パートナービジネスで事業を伸ばしていこうという会社方針があったため、人員は投下してもらっていたため、この課題はあまりありませんでした。
冨樫氏:逆にラクスはまさに同じ悩みですね。ラクスは元々10年くらいは直販しかやってこなかった会社でした。なので、サービスの広告出したりCM放映したりそこにかなりコストがかかっているのと、パートナービジネスでかかっている費用(マージン等)を比べた時に、同じくらいか、もしくはそれよりも低いよねというところを明示してなんとか理解を得ています。
先ほどのパートナー:直販の売上比率=3:7というような話もしましたが、どこもパートナー売上比率が5割に近づいていくと、実は切り出されてパートナーセールスをどんどん減らしていく傾向にあります。例えば、過去に問い合わせがあって1度検討がストップしたとか、失注したお客様を昔はそのままパートナーさんが権利保持できたのですが、 昨今はもう失注してから1年くらい経過したからもうその企業は直販でアプローチしよう、というような、自社のISでBDR回していこうみたいなのが最近は結構主流になってきています。ですので、パートナーさんがマージン支払い対象期間として権利を保持できる期間がどんどん短くなってきていますので、上層部の理解や周りの理解を得るところはなかなか厳しいところにはなってきていますが、もう社内で戦っていくしかないですね。
質問④:パートナービジネス立ち上げ期において、パートナーを稼働させてワークさせていくために適している人材の要件定義は?
田畑氏:当社のパートナー営業部の活躍しているメンバー見ると、相手方のことをよく知るために積極的に応対ができるような方ですね。うちの商品を売ってくださいっていうアピールがすごくうまい人というよりは、相手方がどういうことを思ってるのかををしっかりと汲み取って、いろいろな現場の声を吸い上げて1つの形、施策にできるというような能力を持ってる人の方がなんか活躍してる気がします。
冨樫氏:このパートナービジネスの世界だと、パートナーさんからの情報収集活動が必要不可欠であるため、コミュニケーションが下手な方だと厳しいかと思っています。相手の芝生にどう踏み込めるかとか、臆することなくどう聞けるかとか、普段だと聞けないことを意外とまっすぐ聞いてきた相手にはを教えてくれるケースが結構多いので、それを一歩勇気を持って踏み出して聞けるかどうかというポイントを、私は結構面接では見ています。
質問⑤:エンドの提案先の部署とパートナーさん側が普段相対する提案先の部署は一致してましたか?
田畑氏:当社のkintoneの場合は、スモールスタートの場合だと、kintoneの場合はさまざまな利用方法があるため、例えば、SFAのような形での導入検討であれば、営業企画とかで決裁ができるぐらいの金額で導入されるというケースが多いです。サイボウズの直販の場合は、問い合わせが入ったら、その問い合わせた該当部署から決裁できる範囲内での提案でそのまま受注するみたいな人が多いですね。一方の、私が担当している大手販売会社(IT商社)さんで言うと、どちらかというと複合機の提案がメインなので総務とかが提案先の部署となるため、少し当社が提案したい部署とは違うケースも多かったりしますので、そこには一定課題もあります。
ただ一方で、それでもここまでうまくいった理由としては、私が担当している大手販売会社(IT商社)の得意な企業属性が中小企業の社長さんとかであったため、それはサイボウズのターゲットともうまく合致していたためです。
逆に、少し大きめな企業さんへ、そのパートナーさんから提案していただこうとすると、やはりどうしても当社が提案したい部署とは異なるため、少し大きめの企業規模の会社さんだと、パートナーさんが普段提案している部署と当社が狙いたい部署が違うという問題が起こってしまっているという感じです。
冨樫氏:当社も同じ大手販売会社(IT商社)が重要パートナーさんなので、サイボウズさんと似ています。当社のようなサービスを扱うことでいつもの担当窓口とは違う営業部門へアプローチしたいって仰っていただける拠点さんもあれば、営業部門へのアプローチはあまりやりたくないという拠点さんもあるので、そこをまずは整理するのが優先かなと思います。あまり無理をしても成果が出るまでに時間がかかってしまうので、私の場合は圧倒的にそれでもやりたいと仰っていただけた拠点さんにだけリソースを投下して実績を作った後に、横展開していくといった流れでやっています。
質問⑥:(サイボウズ様への質問)パートナーさんへ案件のトスアップをされているかと思いますが、リードの状態でトスアップしているのか?それとも商談なってからトスアップしているのか?
田畑氏:サイボウズに問合せが入ったらすぐにそのリードをパートナーさんにお渡しするというのはなくて、パートナー様にそのリードを渡すまでにある程度温めて渡すっていう営業部隊があるのでそこで温めてから商談の段階でお渡しする形です。受注直前とかまで温めてお渡しするということはないです。
当社はライセンス販売だけやっているので、例えばkintoneというものをカスタマイズしなくてはいけないとか、他のサービスとの連携を付けなくてはいけないとなった時に、 SIerとしての機能がサイボウズにはないので、商談中にそういう要件が入ってきた段階でどこかのSIer企業を入れています。お客様側が当社のパートナーさんのどこかとお付き合いがあるのかも確認しながら、要件に応じてフィットするパートナー様をサイボウズ側のメンバーが選んでコントロールするようにしています。
質問⑦:ファン作り活動をされる中で、有効だった施策は?
田畑氏:それこそ、ファン予備軍・受注予備軍のようなちょっとサイボウズのこと好きかもな、kintoneという製品売ってみたいかもなという人たちを管理するっていうところのイベントで、コロナ禍になって始めたイベントで「ボウズ万博」というオンラインイベントは開催してよかったかなと思います。少し面白おかしく、勉強になるような動画コンテンツを配信するっていう配信番組みたいなものなのですが、「面白おかしく」っていうところが重要で、真面目過ぎたらパートナーの営業マンの人たちにも見ていただけないので、いかに楽しく見てもらえるかっていうところにフォーカスを当てて練りに練り出して、かなり工数もかけて作っている、サイボウズメンバーも楽しみながら作ってるものになるんですけど、それを1000人くらいのファン予備軍の人たちに見てもらっています。結構そこから各地の営業現場で活動をしていると、「ボウズ万博見たよ」と言ってくれている人たちが結構いらっしゃったので、ファンに近づいてくれた人が多かったんじゃないかなという観点で、この「ボウズ万博」はやって良かったかなと感じています。
あともう1つ、ファンをさらにファンにするというリアルイベントもやっています。ファン化しているパートナー様を集めて、感謝状授与式と受注事例の共有と豪華食事会をするというイベントをやっています。
私が担当する大手販売会社(IT商社)さんだと全国各地にファンがいるのですが、営業拠点を跨ぐと全く横の繋がりがないため、同じkintoneという商材を中心にして、同じ提案をされている人たちが集まる場っていうのを非常に営業現場としても欲っしていて、 集まると結構喜んでいただけます。いろいろ日頃の悩みとかも出てきますし、その相談もサイボウズに頼らずにそのファン同士でやってくれるので課題の解決にもつながりますし、サイボウズ側からしても効率的ですし。こういったコミュニティをいかに構築するかというのは、結構前から重要視してやっていることです。
冨樫氏:エヴァンジェリストもいますよね。
田畑氏:各地にいますね。今だとkintoneマスターって呼ばれ方をしますね。サイボウズの中だとサイボウズファンと呼んでますけど。その人たちがファンの一同に対していろんなイベントをやっていて、それには費用を結構つぎ込んでいます。
葛西:ありがとうございます。ラクスさんはいかがですか?
冨樫氏:当社では直販がメインとなっていることもあり、サイボウズさんのようにパートナービジネスにフルに力を注ぎ込めてないため、そんなにはしっかりとやれていないというのが実情ですが、自分の中ではファンと似た言葉で「お友達」という軸を持っています。意味はファンとほぼ一緒で、いかにパートナー企業さんの中にお友達を作れるかっていうKPIを実は持っています。お友達の定義は、おそらく定義しなくてもおわかりの通り、なんでも話せて一方通行の会話ではなく、相手もプライベートのお話ができる、この人はお友達①みたいな感じで設定して、それをいかにパートナーさんの中に多く作れるか、ここをある意味言い換えるとファンを増やしていくってお話になるんだと思います。
葛西:ありがとうございます。ちなみに私は、パートナーさんのオフィスに常駐した時に「お世話になっております」じゃなくて「お疲れ様です」って言われたらもう勝ちだと思ってます。誰が「お疲れ様です」と言ってくれる人なのかをしっかり把握し、定量的にもモニタリングしてたりします。 よかったらぜひ参考にしていただければと思います。
質問⑧:販売パートナーの営業の方々に「営業同席しなくても商談を完結できる状態」になっていただくためには、どんな支援をするのが重要か?
田畑氏:当社では、もはやうちの社員のごとく1ヶ月ぐらいパートナー様にサイボウズに常駐してもらうという施策は結構うまくいってます。まずはkintoneを学びたいとか、kintoneを武器にしたいっていうファンになってくれそうなパートナーの営業マンを選定して、その後、その営業拠点のトップにこの人をサイボウズに送り込んでくれないかと申し出て、本人の同意も得られればその人をサイボウズに送り込んでもらっています。1ヶ月くらい送り込んでもらっている間は、ほぼ一緒に仕事をするみたいな形で、商談に出てもらったり、サイボウズの社内ミーティングにも出てもらったりしています。これを1ヶ月ぐらい繰り返すと、本当にサイボウズの社員のコピーが出来上がるみたいな形になり、もう自身で勝手に販売してきてくれる営業マンになるので、そのような1ヶ月の常駐受け入れのようなことをやっていました。
冨樫氏:逆の常駐って初めて聞きました。
葛西:でもパートナービジネスがうまい会社さんだと、今の話と逆で、出向でパートナーさん側に入れてしまうという会社は結構あったりしますよね。
冨樫氏:私は本当に泥臭いことしかやっていなくて、例えば地方のパートナーさんのところに行った時は、この日1日あなたにお渡しするからと伝えて、 とにかく多くのお客様を紹介してくれと朝から晩までその人と訪問しまくるんですよ。お客様先へ行く度に「私のこと紹介して」とお願いをしておいて、「ラクスのこういうサービスやってるんですよ」「こういう課題とかないですか?」みたいな話を少しだけして、これを繰り返して7、8社くらい回ってると、いつの間にか隣のそのパートナーの営業マンが自分の言葉で同じような形で話せるようになってきてて、夕方ぐらいの最後の方の会社になるともう私には喋らせてくれなくて、そのパートナーの営業マンが勝手に話してくれたりとかするので、それがさらに深まっていくとパートナーの営業マンが勝手に売れる状態になっていると思います。なので、 結構そういった地道な活動を特に地方では結構やっています。
質問⑨:常駐の成果指標は何に置いているか?(常駐でどんな成果を持って帰ってきたらいいのか?)
冨樫氏:当社でいうとあまり常駐はしていませんが、自分自身は過去の経験上、常駐した経験は結構多くあります。最初は常駐しても誰か知らない人がいるくらいの温度感で、パートナーの営業マンは誰も来てくれません。なので、例えば朝礼とかやるパートナーさんも結構いるんじゃないかと思うんですけど、朝礼の時に「今日●●さん来てます。●時までいますから」とかっていうのを毎週のように行なって定着化させて、それを1日、2日、3日という形で増やしていったりとかしてるんじゃないかなと思います。田畑さんはどうですか?
田畑氏:サイボウズは現場密着型の活動なので、その重要な施策の1つにやはり常駐というのはあります。まず、そもそも常駐を受け入れてもらえないパートナーさんもやはり一定いるので、常駐を受け入れてもらえるっていうこと自体が1つの成果みたいなところもあったりします。例えば私の担当する大手販売会社(IT商社)さんだと、やはり取り扱い商材数自体が非常に多すぎるので、あんまり積極的にはベンダー側の常駐を受け入れたくないんですよね。営業さんも混乱してしまいますし。なので、そういう常駐させるベンダーを絞ってる営業拠点もあったりするので、 そもそも常駐を受け入れてくれるという関係性まで深耕できているということ自体がそもそも1つの大きな成果であると言えるかと思います。
で、実際に常駐に行くと、最初はそれこそ全然誰も来てくれないんですけど、顔見知りが徐々に増えれば増えるほど営業マンの方々がやはり来てくれるようになります。 常駐しても何もせずに座っているだけだと勿体無いので、その拠点に常駐する際の1つの指標として、「常駐中に全員と名刺交換をする」というような指標を持ったりすることもあります。
冨樫氏:それって執務室の中でやってるんですか?
田畑氏:昔はそうでしたね。
冨樫氏:今は結構厳しくなって執務室内での常駐はなかなかできなくなってきてますからね。
田畑氏:だから今は執務室内を回れないので、やりづらいなとは思います。
冨樫氏:私は昔、インターネットプロバイダーにいた時代に、パートナーさんの入口の前でずっと立ってて、とにかく出てくる人に徹底的に話しかけまくるみたいなことはしてましたね。
田畑氏:でもとにかく誰か捕まえて、とにかく次はじゃあ誰か別の営業マン紹介してくださいって感じでいろんな営業マンを繋いでもらったりしてます。あとは営業拠点の中のマネージャーとかリーダーとかのマネジメント層の人と仲良くなると、「常駐来る時にメンバーにメール流しとくよ」と言っていただけて、メンバーへ事前にメールを流してもらえたりすると常駐時の活動も非常にやりやすくなります。
冨樫氏:また地方の話になってしまうんですが、わざと足がないということをアピールして、一緒に車に乗せてってもらったりということもやってました。で、車の中でいろいろなお話をしつつ、距離を縮めていきながら最終的には常駐を勝ち取る、みたいなこともありました。
その他の当日いただいていたご質問
当日、非常に多くのご質問をいただき、全てに回答ができなかったため、下記の未回答のご質問につきましては、パートナーセールス研究会(コミュニティ)内で登壇者のお二方よりご回答いただきます。
(サイボウズ様向けの質問)ファン予備軍と受注予備軍は何を基準にカテゴライズしていますか?
(ラクス様向けの質問)体制構築当初、直販からの2名の異動で体制を作っていったとのことだが、当初からパートナーセールス経験者を採用しなかった理由は何か?
SaaSビジネスにおけるディストリビュータとの協業は常にROI問題が付きまとうと思いますが、プライシングはどういうロジックで決定されましたか?
(ラクス様向けの質問)運用シナリオとして、勉強会⇒人脈⇒キーマン特定⇒セミナーの協業や帯同⇒パートナーがナレッジを溜めて提案 と話されていたかと思いますが、そこに対する仕組みやKPIなど設定はされているのでしょうか?
※コミュニティへのご参加を希望される方は、葛西までメッセンジャーかX(Twitter)へのDMでのご連絡、または本noteのコメントにてご連絡ください!
セミナー後の懇親会の様子
セミナー後の懇親会ですが、非常に熱気あふれる懇親会となり、懇親会中の写真を撮り忘れましたというのと、用意したドリンク・軽食が余りまくってしまいました(笑)
ただ、それほどご参加いただいたパートナーセールスの皆さんがたくさんの一次情報を取得しようと積極的にいろいろな方々と交流されて、むしろ時間が足りないくらいでした!
一旦は3月中旬〜4月中旬にかけて、パートナービジネスWeekという形でパートナービジネスセミナーを3本立て続けに開催させていただきましたが、今後も月に1回くらいのペースでこのようなセミナーが開催できたらと考えておりますので、またこのパートナーセールスnoteでも告知させていただこうと思います。
第1〜3回のセミナーへご参加いただけた皆様、誠にありがとうございました!
(そして当日は二次会も開催し、結構な人数の方がご参加いただけました。ご参加いただけた皆様、ありがとうございました!)
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