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『アメリカン・グラフィティ』 ラスト字幕の謎

 今回は本編ラストシーンなので、完全ネタバレ記述になります。ご了承ください。

 1973年公開の青春映画『アメリカン・グラフィティ』。これは監督脚本を兼任したジョージ・ルーカス(当時28歳)の半自伝映画になっています。

 主人公は4人。街一番のカーレーサージョン・ミルナー、冴えないオタク少年テリー・フィールズ、高校一の秀才カート・ヘンダースン、そしてイケメン生徒会長ステーブ・ボランダー

 このうちジョン、テリー、カートの3人は若き頃のジョージ・ルーカスをモデルにしています。それを踏まえると、映画ラストで記される字幕解説

“主人公たちの未来
は何か意味深いものを感じます。

  • ジョン・ミルナー、「運転事故死」。

 ルーカスは18歳の時、車の大事故を経験しています。それこそ次の日の新聞にデカデカと報じられるほどの。弾みでシートベルトが破壊。外に放り出されたルーカス青年は爆発炎上から免れました。
 
 そうジョンの未来は、ルーカスがその事故で帰らぬ人になっていたかもしれない自分を投影しているのです。


  • テリー・フィールズ、「ベトナムにて戦闘中行方不明」。

 60年代に青春期を送ったルーカスも、ベトナム戦争の兵役検査を受けています。結果は先天性糖尿病が見つかり不合格。テリーもやはり、自分がベトナムの地でそうなっていたかもしれない仮の自分を投影しているのでは。

  • カート・ヘンダーソン、「作家としてカナダ在住」。

 そして彼こそは実際のルーカス(映画作家)その人の今を表しているのではないでしょうか。


そして残るは4人目の主人公スティーブ・ボランダー、「モデストにて保険外交員」。

 モデストというのはカリフォルニア州にあるルーカスの故郷にして、この映画の舞台です。彼だけは若きルーカスをモデルにしていません。ルーカスの創作キャラです。
しかし、スティーブもまたルーカスなのです。だから彼はモデスト在住なのです。彼もまた、違う道を歩んでいたかもしれないルーカス、つまり映画を志し故郷を出ることのなかった…

 「かもしれないルーカス」なのです。


ルーカスと共同脚本家の一人、グロリア・カッツ。

もっと詳しく書いています。よろしかったら…。


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