第35回 第3逸話『プロテウス』 その5
”風が彼の周りを飛び跳ねた。光る風の手編みに操られ、マナナーン(伝説上の海の妖精)の駿馬どもが”
頭がクラクラするスティーブンの独白文章が続き、筆者は「俺はこのまま死ぬのか」と思った次の瞬間、突然文体が三人称になる。
海岸を歩くスティーブンの周りを、風が飛び跳ねたんだって。マナナーンなる比喩表現とか出てきて、普通の小説っぽくなり、ホッとする。
”あの新聞投稿(ディージーに託された手紙)を忘れちゃいけない、その後はシップに12時だ”
さらに小説内の情報も出てきて、「俺