舞台「あの日々に最高の花束を」感想レポ 2025年1月 ※ネタバレあり
Buenas tardes.
2025年1月22日〜28日にかけて赤坂レッドシアターにて上演されていた、舞台「あの日々に最高の花束を」を観劇してきました。
本日のnoteは、そのレポになります。
観劇に至った理由
まずは、この舞台を観に行くことになったきっかけに関して。
私は私立恵比寿中学の桜井えまちゃんが好きで、えまちゃんが出る舞台なら是非とも観に行きたい!!と思い、チケット購入に至った。
私が観に行ったのは1月24日のマチネ(昼公演)で、終演後のアフタートークショーにもえまちゃんが出演する回だったため、この日に決めて申し込んだ。無事に当選し、観劇できることが決まった。
複数公演観に行ってる方もいらっしゃったようだが、私は1公演のみの観劇。
あらすじ
公演HPに載っているあらすじにはハッキリと「こういうことが起こる話」という記載がないのだが、本作は船で事故に遭った人々の話。
劇中で「すごい音がした」と言っていたため、おそらく船体が岩か何かにぶつかったことによる事故と考えられる。
また、それにより「閉じ込められて出られなくなった」と言っていたため、溺れるような事故ではなく、船が岩にぶつかった際に船体が歪んだ(変形した)ことなどが原因で、扉が開かなくなったのだと考えられる。
本作の大部分では、船の中で閉じ込められるという絶望的な危機に瀕しながらも、出口を探したり スマホのライトを振って外に合図を出そうとしたり 外に伝えるために大声を出したりして、生きることを諦めず、必死にもがいている乗客たちの様子が描かれていた。
また、乗客同士の絆も印象的で、
船の中で閉じ込められている時に「ここから出たらやりたいことを想像しよう」「今宝くじが当たったら何に使うか考えよう」など明るい話や関係ない話をして気を紛らわせ、お互いを励まし合っている描写が何度もあった。
この船はロマンスアストリアと言い、おそらく豪華客船のようなもの。主人公の雨宮琉以(演・緑川青真)は「この船で旅をすることが小さい頃からの夢だった」と言っていたし、六田青葉(演・高桑真之,森田璃空)は「この旅のためにずっとお小遣いを貯めてきた」と言っていたため、そのように推測ができる。
感想
率直な感想を述べると、
ハイコンテクストすぎてよくわからなかった…。
ただ、もちろん素晴らしい作品ではある。
当たり前になってしまっている日常の幸せを教えてくれるような、日々を大切に生きようと思わせてくれるようなそんなストーリーだった。
しかし、伏線がいくつも散りばめられているのに、それをほとんど回収せずに終わるので
「結局あれはどういうことだったのかなぁ?」と
疑問が残る形で終わり、何ともスッキリしなかった。
次の見出しから、疑問が残る箇所とその考察を述べていく。
疑問点その1 「記憶がない」
まず、1番初めの場面
乗客全員(登場人物全員)が今の状況をわからず、「記憶が断片的にしかない」言っており全員パニックになっていた。(しかもこの場面が結構長かった…)
ここでは、乗客同士がお互いの関係性さえ忘れていた。
この舞台では過去や未来にタイムリープしながら物語が進んでいたので、この場面は時系列でいうとどのタイミングなのか気になった。
しかし、ニ俣璃星(演・岩田陽菜)だけは 乗客同士の関係性など、色んなことを覚えていた。璃星だけが色々なことを覚えていた理由も不明。
また、船での事故(閉じ込められる事故)で、なぜ全員が記憶を失くしたのか?これも不明である。
可能性としては
①事故によるショックで集団ヒステリーのようなものが起こり、全員パニック状態に
②船が岩か何かにぶつかった際に乗客たちが頭を打ち、記憶を失くした
の2点が考えられる。
物語の中盤で中井春一(演・川隅美慎)が、
「事故が起こったんだよ」と言うまで、
他の乗客は事故が起こったということすらわかっていなかったが、それも 集団ヒステリーもしくはぶつかった衝撃やショックから記憶を失くした ことが原因と考えられる。
疑問点その2 「中井の言動と生死」
では、なぜ中井のみ事故が起こったことをわかっていたのか?
物語の途中で、中井が「なんでまた…!」と言い
耳を塞いでうずくまり、「うわぁぁぁぁ」と絶叫するシーンがあった。
「なんでまた」という発言から、中井はこの事故のことを元々知っていたと考えられる。
中井は、この事故が起こらないように対策を講じるため、未来から来たのか?とも考えたが
私は 中井は同じ事故ですでに亡くなっており、
この事故に遭った乗客たちが最期をどのように生きたのか を伝える役割をしているのではないか?と考察した。
琉以の姉 雨宮詩生(演・相馬あこ)が、事故の1年後(もしくは数年後)に事故の起こった場所に花を手向けに来ていたが
その際にも中井が、琉以が最後 自分以外の人を助け自らを犠牲にして亡くなった ということを話していた。
詩生がそのことを聞いて涙していたら、事故で生き残った3人 大隆俊哉(演・松村優,下前祐貴)と相生知芹(演・野呂桃花,藤白えんり)とニ俣璃星(演・岩田陽菜)が来て
詩生に生前の琉以のことを話す。
詩生が「さっきあの人が全部教えてくれた」と中井を指さした時にはもうすでに中井はおらず
俊哉たちは「え…?」というような反応になっていたため、3人には中井が見えなかったのでは?と考えた。
つまり中井はあの場面にはいたが、すでに亡くなっていたため、3人には中井の姿が見えなかった可能性がある。
ではなぜ詩生には見えたのか?それは、
琉以の遺族である詩生には琉以の最期を伝える必要があるため、詩生の前でのみ姿を現したのだと考察する。
疑問点その3 「琉以の様子」
また、序盤に虹川大和(演・正木郁)や大隆俊哉(演・松村優)が琉以に話しかけても琉以は「何だっけ?」「何の話?」のような反応をしており、大和たちから「琉以大丈夫かよ〜」「何にも覚えてねぇな笑」と言われている場面があった。
もしかしたら琉以は、事故のことを予知しており、元気がなかった(様子がおかしかった)のか?と一瞬考えた。
しかし、琉以が三枝乃亜(演・本西彩希帆)に告白を躊躇っているのを見かねた大和が「明日地球が終わるとしたらどうするんだよ!」と言い放った時、琉以は軽く「例えが極端なんだよー!」と言い返していただけだったので、琉以は事故を予知していたわけではなさそう。
じゃあますます、その時に様子がおかしかったのは何故??
疑問点その4 「デジャブ」
物語のおそらく中盤頃(?)に、デジャブの話が出た。
「デジャブって何?」と1人が聞き、お調子者の俊哉がデジャブという言葉を適当に説明し出す。
しかし俊哉はデジャブの意味をわかっておらず、「逆に(デジャブって言葉の意味を)わかる人いるの?」と言っていた。
また、登場人物の1人が「この船で事故が起こる夢を見たの」と言っているシーンがあった。
この事故を予知(予感)していた乗客がいたということだろう。
それにしても、なぜ「デジャブ」していることを示す描写を入れたのかは謎である。
疑問点その5 「タイムリープ」
疑問点その1のところでも述べたが、この舞台は過去や未来にタイムリープしながら、時系列がころころ変わりながら物語が進んでいく。
私の予想では、中井は事故のことをすでに知っており、事故が起こらないように仕組もうとしていたと思うのだが
中井が 事故を未然に防ぐために段取りをつけているような場面は一切なかった。
じゃあ、タイムリープしていたのは何故?
また、「宝くじが当たったら何に使う?」という大和の質問に対し「私は両親に家を買いたい!」「僕はステーキ食べまくりたい!」「海外旅行に行きたい!」と、各々が答えていた場面は間違いなく2回繰り返されていたが、そこを2回繰り返していたのも何故?
疑問点その6 「琉以の最期」
最後、琉以は相生知芹(演・野呂桃花,藤白えんり)を助けるため、自らが犠牲になり亡くなったということだった。
例えば、今回の舞台とは関係がないが「タイタニック」では、タイタニック号が氷山にぶつかり沈没し、ジャックとローズは冷たい大西洋に投げ出される。そしてジャックは木製のドアの破片を見つけ、体温低下を防ぐためにそのドアの上にローズを乗せる。なぜならそのドアは、2人で乗るほどの浮力を持っていないからだ。
そして結果的にジャックのみ亡くなってしまう。
このような状況であれば、「ジャックが身代わりになってローズを助けた」と言えるが
琉以は(どういう死因で)なぜ亡くなったのか?
直前まで問題なく意識はあったのに、知芹を助けた瞬間に息絶えたということが少し違和感を感じた。
琉以が「自分を犠牲にした」「身代わりになった」とは具体的にどういうこと?
知芹と一緒にみんなの元へ行けば良かったのではないか?
疑問点その7 「役名」
本作品のHPのキャスト欄には、俳優名のみ書いてあり、役名は一切記載されていない。
また、24日のマチネ公演の終了後に主演の緑川くんが「ハッシュタグ 舞台さいはなのはなし をつければ、ネタバレや内容に関する投稿をしても、役名を書いてもOK」と言っていた。
ネタバレ用のタグをつけないと役名を呟いちゃいけないの…?それに、HPにも一切役名載ってなかったし、役名は実際に公演を見るまで秘密ってこと?
そもそも役名を秘密にする意味は…?
疑問点その8 「タイトルの意味」
そもそも、この舞台のタイトル(題名)は「あの日々に最高の花束を」。
「あの日々」とはおそらく、船の事故に巻き込まれた人々が生きることを諦めず必死にもがいた日々のこと。「花束」はおそらく、事故で亡くなった人々を偲ぶために手向けられた花束たちのこと。
であればその2つの言葉を繋ぐ「最高の」の意味は何なのか?
亡くなった人に手向ける花束に「最高」というポジティブな枕詞をつけるのは果たして…
まとめ
本日のnoteでは「あの日々に最高の花束を」を観劇した感想と考察を紹介した。
筆者(私)は、演劇に関しては初心者で舞台やミュージカルは年に2回くらいしか観に行かない。
そのため、今回は舞台芸術に特別精通しているわけではない一般人(私)の感覚を元に記事を書いた。
なので、演劇をよく観に行く方や演出家経験者、俳優さんなどが観れば また違う感想が出てくるかもしれない。
あくまで私の感性で、私の感想を述べたということは最後に断っておきたい。
私の中では疑問点が少なくとも8個残った。
これら回収されなかった全部の伏線を「全てご想像にお任せします」だとしたら、ちょっとハイコンテクストすぎやしないかい?と感じる。
ただ、もちろん良い舞台ではあって
内容に関してはややハイコンテクストだが、
本作品を通して演者や演出家が、お客さんに伝えたい思い のようなものはしっかりと伝わってきた。
終演後の挨拶で虹川大和役の正木郁さんは「この作品を悲しい作品として受け取ってほしくはない」と言っていた。
「切ないお話だったな」で終わらず、この作品を見たことで 今ある日々を少しでも大切に生きることができるように というメッセージを感じ取ることができた。
舞台最花 の感想をここに書き記し、筆を置く。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
Vi sees i morgen.
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