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ふじのくに地球環境史ミュージアム

 前回、前々回とアナグマをあーだこーだしたのですが、それをやったきっかけの一つが拾ったその日博物館に行ったことである。

静岡県立ふじのくに地球環境史ミュージアム

 開館して6年ほどの新しい施設で、勤めている先生と何かと交流があるので企画展がある時はたまに足を運んでいる。
 知り合いの縁もあるがこの博物館は何かと推していきたいのである。

 この博物館の一番の特色は廃校舎をそのまま利用していることにある。元県立静岡南高校
 少子化で廃校舎をそのまま別の施設として有効的に活用することはままある。カフェやレンタルスペース、美術館や水族館、最近じゃグランピング施設なんかも話題だ。今あるものを無駄なく使う、というSDGsの理念にも通じる。
 そして元学校であることとそれを再利用することはこの博物館の主たるコンセプトに深く関わる。キャッチコピーは「百年後の静岡が豊かであるために」だ。静岡という地方、地域から地球の未来を考える。

 ロビー、学校机椅子教科書、導入の映像。博物館は教育・研究のための施設なのでそもそも学校とは親和性が高い。

 内装は学校だったものをほぼそのまま生かしている。懐かしいようで新しい。展示室は教室ごとに区分けされている。展示が行われていない期間の部屋はそのまま教室として見せていたりもする。

中庭
図鑑カフェ、外に見える運動場は現役で他校の野球部が使用中
脅威
恵み
縄文、弥生、江戸、現代

 正と負、対比の見せ方が多い。

食物連鎖
ヒトも食物連鎖の一部
静岡の地形準拠に置かれた岩石
脊椎動物の骨格標本(ヒトだけレプリカ)
ミドルヤード

 創意工夫を凝らしたDIY感の溢れる展示。

黒板アート等を交えた解説

 スペースの規模として博物館のステレオタイプ的な恐竜の骨格標本とか大きくて派手な展示はない。しかし静岡だからこその観せる意義のある展示を意識している。

ナウマンゾウの骨格標本レプリカ(ナウマンゾウは浜松のものが模式標本)
オンデンザメの剥製

 廊下にデカデカと水槽にいるよう。

トピックス展『キリンのかたち』

 近郊の日本平動物園との提携で受け入れた難産で亡くなったキリンの母子である。

 常設展のレイアウトも目を引くが、企画展も毎回趣向を凝らしている。教室2部屋分にエモーショナルな展示を収める。舞台美術とか作る身としては「こんな魅せ方できて作れたらいいな」と思わせる。

企画展『大絶滅 地球環境の変遷と生物の栄枯盛衰』(’19/11~’20/04)
企画展 食虫植物『シンカのからくり』(’20/12~’21/04)

 今回の企画展は『しずおかの酒と肴』(’21/12/4~’22/5/8)。知り合いの先生が担当や音声解説をしている。先生は酒がお好きなので趣味と実利を兼ねた企画だ。

※展示を観ながらスマホで聴くことを想定しているため、PCから聴取する場合、UIの関係で一部画面表示を拡大縮小等して調整する必要あり。

トピックス展『酒のラベルに見る生物多様性』

 のれんの入口に酒瓶コンテナの展示台、生産者・調理者・消費者の声を交えた静岡の名物食材である魚介や野菜の標本。日本酒・ビール・ワインetc.の地酒を学校机に並べているのはシュール。
 それでいてその美味しいものを未来も食べていけるのかどうかも問いかける。環境や生態系について考えなければいけないのは綺麗事じゃない。豊かさ楽しさが失われるからだ。静岡はシラス、サクラエビ、ウナギ、マグロetc.と近年課題が可視化されたものが増えている。これを観た帰りだったから前述のアナグマの件の後押しされた気がする。


 解説員とのトークもできる。(やったことはない、コミュ障だから)

 駅や繁華街から離れていているし有名、大規模な博物館にあるような派手さはない。しかし地方だからどのようなことが提示できるか、考え抜かれたつくりで早くから多様性持続性に目を向けている。
 久能山東照宮サウナしきじとかが近場なので観光で余裕があれば一度足を運ぶ価値はあると断言できるので是非。

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