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ストーリーの前には「道」がある

7月に就任したnote for shopping プロデューサーとして、最近は『伝える』ことと『売る』ことの連続性について以前にも増して考えるようになりました。

もともと私はこれからブランドとメディアの境目がなくなっていくだろうと考えていて、その核には思想という名のストーリーがあると思っています。

一方で、ストーリーが重視されればされるほど、ストーリーが先行してモノが思想に追いついていない、という状態を作ってしまう危機感も同時に抱いています。

そしてその危機感は、先日読んだイケウチオーガニックさんのnoteでとてもわかりやすく言語化されていました。

やっぱり、僕たちにとって一番大切なのは、「モノをしっかりつくる」ことです。
そして、つくったモノ自体や、モノづくりに向き合う姿勢、モノを届けていく姿が、結果的に「ストーリー」になっていくのだと思います。

『ストーリー』という言葉は、どうしてもテキストによる表現に矮小化されてしまいがちです。

しかし自ら言葉にすることだけがストーリーではありません。

使ったときの驚きや感動、自分の人生に重ね合わせて語られる思いやこのブランドならやってくれるだろうという期待、そういったブランドを取り巻く評価全てがストーリーなのだと私は考えています。

だからこそストーリーは作るものではなく、自分たちが歩む道の後ろに自然と出来上がっていくものなのだと。

とはいえ、ただ歩いているだけでは気づいてもらえないことも多いので、ときどき自分たちの来た道を振り返りながら、知らない人たちもついてきてくれるように目印を作ったり道を舗装したりすることを、私たちはストーリー作りと呼んでいるのだと思います。

ちょうど今日EC CUBEさんのイベントで『物の消費から、物語の参加へ』をテーマにお話する予定なのですが、個人的に一番強調したかったのもこの『ストーリー』の考え方でした。

自分たちに都合のいいストーリーや見せ方を押し付けるだけなら、これまでのマスメディア的な発想を単に別の場所に移しただけにすぎません。

自分たちだけで完結する物語ではなく、いかに一緒に物語に参加してもらい、それぞれの人生とブランドの歩む道を重ね合わせてもらうか。

売るためにどうストーリーを作るかではなく、自分たちが歩んできた道はどんなストーリーを含んでいたのかに気づき、同じ道を歩んでくれそうな人たちに声をかけ、同志を集めていくこと。

それこそがこれからブランドが考えていくべき『ストーリー』なのだと私は思っています。

私が個人であれ企業であれブランディングや発信について相談を受けた時にヒアリングにもっとも時間をかけるのは、すべてに共通する成功のTIPSなんてものはなく、それぞれの『らしさ』に気づきそれを伸ばしていくことこそが長い目で見て相手のためになるはずだと考えているからです。

最近はじめたNサロンのnote講座でも、続けるために無理のないテーマ設定、つまりその人がいくらでも語りたくなるネタは何かを可能な限り丁寧に見極めていきたいと思っています。

伝え方には一定の型はあるけれど、伝えたいことには無限の選択肢とその人らしさがある。

『ストーリーを語る』とは、実際よりよく見せようとすることではなく『自分らしさに気づく』こと、そして言葉やビジュアルや振る舞いといった五感のすべてで思いを届ける営みをいうのだと思います。

お店にかぎらず、1人でも多くの人たちが、自分らしいストーリーを紡いでいける場になりますように。

そんな思いを込めて、『ストーリーと消費』について今の私(たち)の考えをお話してこようと思います。

※登壇後、登壇資料も別途アップ予定なのでお楽しみに〜!
  現地でお会いできる方がいたらぜひお声がけください!

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