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【10/30】今週のリテールトピック #新小売概論

「新・小売概論」では、毎週海外ニュースを4〜5本ピックアップし、海外トレンドをベースにアパレルや小売を取り巻く環境について考察していきます。

国内ニュースのピックアップは毎朝NewsPicksでも行なっていますので、ぜひあわせてチェックしてみてください。

NewsPicksアカウント:https://newspicks.com/user/159187

今週の主要ニュースはこちら!

1.Nordstromのアウトレット専門ブランド・Nordstrom Rackのマンハッタン2号店は小売の未来を体現する(Nordstrom Rack opens second Manhattan store)
2.カスタマイズ可能なファッションブランド「FAME AND PARTNERS」は、あなたの購買体験を進化させる(CUSTOMIZABLE WOMENSWEAR BRAND, FAME AND PARTNERS, WANTS TO CHANGE HOW YOU SHOP FOR CLOTHES)
3.アメリカのファッションシーンで、独立系セレクトショップブーム再燃の兆し?(In US, Independent Stores Stage a Comeback)
4.InStyleの新編集長・LAURA BROWNが見据える、ファッション再興のための戦略(HOW LAURA BROWN IS MAKING FASHION FUN AGAIN)
5.Amazonがドリュー・バリモアプロデュースのPBを発表(Amazon Fashion signs up Drew Barrymore's 'Dear Drew' collection)

1.Nordstromのアウトレット専門ブランド・Nordstrom Rackのマンハッタン2号店は小売の未来を体現する

記事URLhttps://www.retaildive.com/news/nordstrom-rack-opens-second-manhattan-store/508192/

Nordstromのお客様は、本質的な価値とトレンドの両方を愛する人たちです。だから、Rackというショップは顧客接点のひとつのポイントではありますが、同時に顧客を他のチャネルへ移行させる機能もあります。顧客は、高級品とコスパのいいアイテムの両方を行き来しているのです。」とNordstrom RackのVice PresidentであるKaren McKibbinは説明する。
("Our customer loves value and on-trend merchandise," she said. "So rack is the number one new acquisition point for customers. But we also migrate customers to other channels. Customers are shopping high and low.")

NordstromのアウトレットラインであるNordstrom Rackの伸びが著しいようで、別の記事によれば2011年から2017年までの間に店舗数は2倍、2020年までに300店舗を目指しているとのこと。

百貨店低迷が叫ばれる中、売上が前年対比で8%の成長を見せているというのは、たしかに彼らにとっても「金のなる木」と言えそうです。

百貨店直営のアウトレット店というと、ブランドイメージの棄損や既存店舗とのパイの食い合いが懸念されそうですが、前述の引用の通り「住み分け」どころか「相乗効果」につながっているもよう。

とはいえ、こうしたアウトレット店舗の展開は彼らにとって急な投資ではないようで、1973年時点でNordstrom Rackの原型ともいえるクリアランスセンターができています。

ちなみにアメリカの百貨店は日本と違い、すべて買取が基本です。(日本は「消化仕入れ」と言われる、百貨店側に在庫リスクのない特殊な仕組み)

つまり、シーズンが終わって余った在庫はすべて負債になってしまうわけで、とにかく売り切りたい。アメリカの百貨店が早々にアウトレット店を持つようになったのは必然といえます。

そして、今回のNordstrom Rackのマンハッタン2号店がユニークなのは、専用アプリを使うと商品点数が5点以下であればレジの列に並ぶことなくそのまま決済を済ませられたり、アプリを通して商品をスキャンすると類似商品を提案してくれるといった実験的な仕組みを取り入れていることです。

こうしたチャレンジングな取り組みは、百貨店で試すには似つかわしくないものもありますが、よりカジュアルなイメージのあるアウトレット店舗であれば、思い切って取り入れることができます。

Nordstromは先日話題になった「売らない店舗」こと「Nordstrom Local」しかり、名前をわけてブランドとして別という印象を与えることで、既存店舗のイメージはそのままに新しいチャレンジをするといった体制づくりがうまい印象です。

ちなみに日本の百貨店も、伊勢丹がアウトレット店舗に出店するなど、在庫リスクをとっているところから着手している印象です。

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