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今週読んだ海外記事と雑感(2020.5.30)

今週もNewsPicksでピックしたニュースとコメントを転記してまとめておきます。
有料部分はニュースへの雑感です。

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中国美容市場の今

中国で多数のD2Cコスメブランドを運営するSuperOrdinaryのCEOが語る中国の美容市場は興味深い話がたくさん。
①中国はIGやTikTokのようなメインストリーム以外に抑えておくべきチャネルが無数にある
②ライブコマースブームは外出できない人たちがエンタメとしてライブ配信を楽しみはじめたことがきっかけ。この波はアメリカをはじめとする諸外国にも波及するはず
③原材料の品質だけではなく、パッケージやブランドイメージを含めた「所有したい欲が重要になりつつある
④中国では創業者のエピソードは求められていない。品質の高さがすべて。
特に冒頭の「Tmallだけに注力していてはいけない」という話はとても興味深く、それぞれのプラットフォームの特徴やユーザーの行動の違いも気になるところです。

ShopifyがAmazonを凌駕する日はくるか

百貨店破産のニュースが相次ぐ中、勢いを増しているShopify。もともとD2Cブームによって急成長してきましたが、コロナ禍によってECの開設が増加したことで成長はさらに加速。今月頭にはカナダ王立銀行を抜いてカナダ最大の企業となりました。スモールビジネスの利用だけではなく、Facebook Shopsとの提携やユニリーバ、リンツなどグローバルカンパニーもコーポレート版のShopify+を活用しており、マシーンラーニングを活用した物流機能もローンチ。Amazonが埋めたがっていたファッション、コスメ、アクセサリー分野ではまだしばらくShopifyの進化が続きそうです。

ポストコロナ時代の店舗のかたち

ポストコロナ時代の店舗のあり方について。特に欧米はまだ収束していない中で店舗が営業を再開しはじめているため、店舗外のQRコードからその店舗の取扱商品一覧を見られるようにしたり、駐車場でのピックアップを可能にするなど接触を減らすための施策がふんだんに盛り込まれています。
日本でも緊急事態宣言が解除となり、大型商業施設の営業再開がはじまりますが、人数制限や入店時の消毒、マスク着用、キャッシュレス支払いの奨励など欧米の厳戒態勢に学ぶところは多そうです。

Instagramは次の「ファッションショー」開催地となるか?

コロナによってファッションショーの開催が難しくなった今、Instagramが新たなファッションショーの開催場所となれるか?という考察。先週Instagramのファッション責任者が公式にInstagramでバーチャルファッションショーを開催するためのポイントを発表していましたが、Instagram主導で時期をあわせてやれば、パリ、ミラノ、ロンドン、NYに次ぐファッションショーの開催地としての地位を確立できるかもしれません。
2、3年前からファッションショーの開催意義については様々なメディアが報じてきましたが、バーチャル開催によって失われるものは「同時性」だと私は考えています。たとえ不便だとしても、わざわざ各都市を訪れてファッションフリークたちが集い、ショーを中心としてエコシステムが回っていることがポイントであり、オンラインの場合もAmazonのプライムデーやアリババの独身の日のように「お祭り」を作ることが重要なのかなと。
ShopsによってECの色合いが濃くなれば、そうした取り組みも生まれてくるのかもしれません。

Z世代の変化がファストファッションを終わらせる

Z世代の消費行動の変化について考察した記事。全米の小売消費額が18%以上下落する中で、フリマアプリのDepopは4月から90%以上の伸びを見せるなど、コロナ禍でもリユースの人気は衰えず、「新品を買う」以外の購買行動が増えていることがわかります。さらに35%の女性が今後洋服の購入額を減らすと回答しており、ファッション消費の仕組み自体をテコ入れする必要がありそうです。
その一方で、日本の場合はユニクロやGUが売上を伸ばし続けているところを見ると、ストーリーやサスティナブルといった文脈での支持は限定的で、「いいものを安く」という意味でのD2C(SPA)の需要は大きく減らない気もしています。「ファストファッション」というとH&MやForever21が例にあげられることが多いですが、日本型ファストファッションの成功について論考することにも価値があるのかなと。

中国流・ライブコマース成功のためのTIPS

ライブコマース先進国ともいえる中国でライブを成功させるためのTIPS集。
①適した配信者を探す
→有名人ならいいわけではなく、視聴者とのコミュニケーションがうまくカリスマ性があることが重要で、モノ自体よりも配信者選びによって売上が変動する
②配信者にあわせた商品選びをする
→ライブ配信の視聴者は若年層が多いため、ラグジュアリーブランドの場合はアクセサリーなどの低単価のものを紹介するのがポイント。ヴィトンの配信で一番人気だったのはスカーフのアレンジを教えるコンテンツだったとか。
①のように配信者はこれまでのテレビタレントやアイドルとは異なる能力が求められるため、今後インフルエンサーのキャリアのステップアップとして人気がでてくるのかもしれません。

TargetがInstagram Checkoutの対応開始

TargetがInstagram Checkoutの活用を開始。直販ブランド以外の小売店がCheckout機能を使う事例は珍しく、テクノロジー活用を進めるTargetならではの施策といえそう。Targetはコロナ禍においてもECやドライブスルーピックアップなどの施策でオンライン売上を伸ばしており、テクノロジー活用に力を入れてきた効果がでているのを感じます。
Checkout機能も、導入自体は簡単にできるものですが購入後の物流や在庫管理がネックとなるため大型の百貨店がなかなか着手できなかった領域。
この施策の裏で実店舗とECの在庫管理を統合し、注文から発送までのデータ共有の仕組みを整えてきたであろう苦労を考えると、この施策の重みをさらに強く感じます。

「自宅ケア」市場の広がりにサロンはどう対応するべきか

美容室やサロンに行けなくなったことで、自分で装着するタイプのエクステやつけまつげの人気が高騰。特に検索流入が大幅に増え、1ヶ月で訪問者数が50万人以上増えたブランドもあるようです。売上も前年同月比で20%増など目覚ましい成長を遂げている背景には、オンラインでhow to動画を公開するなど細やかなコンテンツによる体験の補完がありそう。
今後もしばらく美容室に行く頻度を減らす人が増えると思われますが、逆に美容室はセルフケア製品や自宅アレンジコンテンツもひとつの商品として販売することが求められていくのかもしれません。

Chipotleがコロナ禍を乗り越えられた理由

米ファストフードチェーンChipotleがコロナ禍でモバイルオーダーの売上を20%伸ばし、ロックダウン中でも最小限の業績悪化に留められたのは2015年の食中毒騒動によって店内の衛生ルールがアップデートされていたこと、そして早期にUber Eatsと連携し配達料無料キャンペーンを行ったことが要因のようです。現在Chipotleの売上の70%はオンライン注文とのことで、あっというまにデジタルシフトを成し遂げています。
ファストフードはいかにすぐ食べられるかが価値のひとつでもあるため、モバイルオーダーと相性がよく、外出が自由になったあともモバイルオーダーして店舗で受け取るといった消費行動は定着しそうです。

Nordstromの四半期売上は40%の下落

Nordstromが四半期の業績を発表。店舗閉鎖によって40%の売上減、損失額は5億ドルとなり前期の3700万ドルから大幅に悪化しています。ロックダウン中のオンライン売上成長率は5%にとどまったとのこと。米百貨店はすでにNeiman Marcus、J.C. Penneyが相次いで破産申請しており、Nordstromも苦境に立たされている今大幅な業界再編が起こりそうです。

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私たちは何を売っているのか

ここ最近海外メディアをみていると、ライブストリーミングやモバイルオーダーの盛り上がりと百貨店をはじめとする既存小売企業の凋落がメイントピックになっている印象を受けます。

この二つは異なるテーマのように見えますが、私は地続きの現象だと感じています。

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