応援することと、相手の決断を尊重すること
先週金曜日はEVERY DENIMの山脇さんと「仲間を増やす『伝え方』」をテーマにnoteでトークイベントを開催しました。
そこで出た質問のひとつが
『お客さまの意見や要望をどの程度取り入れていますか?』
でした。
どの程度声を取り入れるかどうかのバランスは、小売やブランドに関わらず誰もが悩むテーマだと思います。
その質問に対する山脇さんの答えは、要約すると
『意見はすべて受け入れるけれど、やるかどうかを決めるのはあくまで自分たちだと思っています。僕たちの決断を応援してくれる人たちが増えたら嬉しい』
というものでした。
この答えを聞いて改めて、自分がEVERY DENIMを応援している理由がわかったような気がします。
今はオーダーメイドでブランドを立ち上げることも簡単になり、パーソナライズやカスタマイズ顧客の好みにあわせる技術も確立されてきました。
さらにSNSのおかげでブランドや企業に直接意見を送るハードルも低くなり、『お客様の声から生まれました』といった訴求も増えています。
もちろん自分の声が反映されれば嬉しいし、ブランドやサービスにもさらに愛着が生まれます。
一方で、距離感が近くなればなるほど特定の人の声に惑わされそうになることもあります。
『お客さまの要望をベースに決断してしまうと、もし失敗したときにそのせいにしてしまう。自分たちで決断したことなら失敗しても納得できると思うんです』
と山脇さんが言っていたように、最終的に自分たちが決めたことだからという責任感こそが、ブランドの軸になっていくのだと思います。
そしてこれは応援する側の私たち顧客自身も胸に刻んでおくべきこと。
いいブランドほど『自分たちの声を聞いてくれる』と感じられるくらい作り手と使い手の距離が近いものですが、最終的に作り手の決断を尊重できるかどうか。たとえ自分の要望が通らなくても腹を立てたり拗ねたりせず、どんな決断も応援できるかどうか。
それがこれからの『いい消費者』の条件のひとつになっていくのではないかと思うのです。
自分がいちから作ったもの以外は、自分の思い通りにはならない。
何に対してもこの分別を持つことこそが、大人の嗜みなのではないかと。
人は、愛情と所有欲を混同しがちな生き物です。
恋人や友人、親子などの人間関係でも『愛しているから自分の思い通りになってほしい』と気持ちを押し付けてしまうことがあるように、自分の期待に応えることが相手からの愛情の証拠だと思い込んでしまうのです。
もちろん期待することそれ自体は悪いことではないし、『もっとこうしたらいいのでは?』という提案もほとんどはありがたいものだと思います。
しかし、本当に相手のためになる応援とは、相手の相手らしい決断を尊重することだと思うのです。
自分が応援する人やブランドとの距離が縮まっていく時代だからこそ、『自分』と『相手』の間にきちんと線引きをできるか。
そして相手のブランドに乗っかって自己承認欲求を満たそうとするのではなく、自分は自分のフィールドで自己実現をするのだと覚悟ができるかどうか。
知性ある消費を考える上で、『いい消費者』であるための心構えについても考えていきたいと改めて思ったイベントでした。
ちなみにEVERY DENIMの2人は、今月オープンの拠点づくりに向けてクラウドファンディングを実施中。ぜひ2人の挑戦を一緒に応援しましょう!
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