ブランドはコミュニティの旗印 #大日本市
「D2Cと呼ばれる新しい小売の真髄は、モノを通してコミュニティを作っていること、その旗印としてモノが機能しているということだと思います」
昨日登壇した大日本市のイベントで、ブランド体験の意味を私はそう表現しました。
中間マージンがないとか、ECで直接売っているとか、価格帯が従来より安いとかではなく、「作ったモノをどう売るか」の発想から、まずコミュニティを作り、そこに「何を届けていくか」を考えてモノづくりをしていくこと。
究極的にそれはものづくりである必要すらなく、ブランド自身も自分で作るだけではなくセレクトやコラボによって「作る」以外のモノの流通を考えたり、メディアやワークショップといった無形の価値をビジネスのひとつに据えたり、「小売」という枠自体が変化しているのが今という時代なのだと思います。
だからこそ今回の登壇で私が強調したかったのは、一方向で発信するよりもどうすれば仲間を増やしていけるかという「面」で発信戦略を考える重要性でした。
自分の消費行動を振り返ってみても、セールストークで買う気になったことはほとんどないはずです。
でもたとえばInstagramでいつも素敵な投稿をしているブランドが近くでポップアップをすると知ったら行きたくなるし、Twitterでおすすめされているブランドやアイテムの情報が流れたら詳しく調べてみたくなるし、noteで共感するnoteをいつも書いている人が作ったモノは買ってみたいと思うはず。
一見遠回りにみえても、買ってもらうための発信ではなく仲間になってもらうための発信を積み重ねていくことこそが、継続的に長く支えてくれるファンを作るポイントなのだと思います。
また私自身そこそこフォロワー数がいるからかたまに投稿依頼をいただくことがあるのですが、お金を払えば投稿してくれる人は真のインフルエンサーではない、という話もしました。
特にフォロワーが多い人であればあるほど、投稿「だけ」の依頼を受ける人はかなり少ないと思います。
そのブランドとしっかり向き合い、よさを理解し、自分の言葉で語れるくらいの知識と体験を伴ってはじめて、自分のフォロワーに伝えたいと思う。それが本物のインフルエンサーの考え方だからです。
これは個人/法人に関わらず、SNSでの投稿ひとつひとつが資産となりすべてが自分たちの評価につながっていく、という意識を持って運営しているアカウントはまだまだ少ないのが現状です。
しかし単に目先のお金や売上のための投稿は資産の切り売りでしかなく、そうした投稿を続けていると徐々に人の気持ちは離れていきます。
そうならないためにも本当に自分がいいと思うもの、心から納得して勧められるものだけを作る/紹介することこそが信頼の蓄積において重要なことだと私は思っています。
ブランドの発信でも、勧める自身がない商品をなんとか小手先の見せ方だけで売ろうとしている投稿を消費者は敏感に見抜く時代になっています。
だからこそブランド体験の設計において、そもそも「本当に納得いくものを作ること」がなにより大事になっていくのです。
登壇でも強く主張したのが、ブランド公式アカウントは一番のインフルエンサーであるということ。
自分たちが語れないことは、他の人にもその感動が伝わらず、誰も語ってくれることはありません。
今回登壇のあとにいくつかのブースでブランドさんたちとお話させていただいた際、みなさん1時間でも2時間でもお話が続きそうなくらいその商品に対して語るものを持っていらっしゃったのが印象的でした。
もちろんそれを文章にするのが得意な人ばかりではないと思うので、写真や動画、音声などフォーマットは得意不得意にあわせて選ぶべきだとは思いますが、語るべきことがある人は必ず発信もできます。
そしてその熱量が感動を作り、他の人の発信も呼び起こしていく、という連鎖が起きます。
大日本市のような展示会で直接話して伝えるのもまたひとつの「発信」で、そこから口コミや店頭での取り扱いで広がっていくというのがこれまでのひとつの成功のあり方でしたが、SNSによってもっと多くの人を巻き込めるようになったのが現代という時代です。
1人に対して30分かけて伝えてきたことが、同じ時間で書いたものをオンラインにアップすれば100人、1000人の人に届くかもしれない。
泥臭くリアルな人間関係を開拓し、信頼を積み重ねてきたブランドや店舗はすでに応援者がたくさんいる状態なので、オンラインでの活動も結果が出やすいはずだと思います。
ということで昨日の登壇のまとめはこんな感じ。
当日は1時間近く話したので全部はまとめきれませんでしたが、こうしたブランド体験の作り方や、noteの活用方法などの講演・個別コンサルティングもお引き受けしていますのでご興味のある方はぜひ下記をご一読の上お問い合わせいただけましたら。
そして今日はおまけとして、「生産者が語る場所」について展示会を拝見して思ったことを備忘録的にメモしておきます。
今回はじめて大日本市に伺ったのですが、いい意味で展示会のイメージを覆された体験でした!
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