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救いは思いがけないところに
海外に来る25歳まで何か辛いことがあった時や、精神的にしんどい時は
お酒を飲むことで紛らわしていた。
元々お酒が強いタイプではなかったが、親しい友人や異性と飲むお酒は
好きだった。
しかし、今思えば生産性はなく、お金もなくなり、次の日にも響く。
26歳で父親となり、夫となってからは海外での生活ということもあり、
お酒はほとんど飲まなくなった。仕事上、会食や接待、社内の飲み会では
飲むが、それもできれば飲みたくないと思うほどだ。
海外で生活することでのしんどいことや新しい仕事、育児でのプレッシャー、あらゆるストレスはあった。もう帰ろうと思ったこともある、
仕事を辞めてしまおうと思ったこともある、離婚しようと思ったこともある。
筋トレとの出会い
そんな色々な重圧から逃げたいと思った時に出会ったのが筋トレだった。
小さいころから肥満気味で20代前半は暴飲暴食で90キロ(身長は170㎝代)まで増えていたこともあった。海外に来た頃は85キロ程度だった。
こちらに来た21年はコロナの隔離中でもあり、暇だったため家でできる
エクササイズ動画を見ながら運動しようと何の気なしに始めた。
少し痩せれればいい程度であったが、意外にも楽しかった。
元々スポーツやきついことが好きではなかった為、最初は嫌々だったが、
体が変わってくることに喜びを感じていたのだと思う。
そんな中、隔離も終え、妻から家でやるんじゃなくてジム行けばと言われ、
東南アジアでは”あるある”の、マンションの一階に入っているジムに直ぐに
体験に行った。
体脂肪は驚異の30%
先ずはInbodyで体の体脂肪量や筋量などが分かる機械で測定した。
なんと体脂肪率は驚異の30%。
なんとかしないと、と焦りに変わった。
それからは仕事と子育ての合間を縫ってジムに行った。
妻も義理の親も応援してくれた。
元々家系的に骨格はでかく、重いものを持つのは得意だった。
ベンチプレスやスクワットも自分の体重程度は最初から上がっていたため、
ジム内での劣等感みたいなものはなかった。どんどん挙上重量も上がり、
少しだけ筋肉がついてきて、体脂肪も徐々に落ちて楽しかった。
それも相まって、ジムに行くことがルーティンとなった。
嫌なことあってもジムで死に物狂いで重いダンベルやバーベルを挙げてると
さっきまで悩んでいたことどころじゃなくなるので、忘れられるところもいい。
とは言ってもそれでも消えない辛いこともある。そんな時はその負のエネルギーをパワーに変えて泣きながら筋トレする。悩みや辛いことは消えないが、いつの間にか心の重りが軽くなる。
だって、100キロとかするもの挙げてるんだからね、そんな悩みより重くて、持ち上げるのに”必死”だから。
ダイエットからボディメイクへ
大体ジムに行き始めて2年半くらい経ち、挙上重量的には中級者程度の域
に達して、周りからもすごい体してるねと言われるようになった。
モチベーションも上下はあったが、基本的に高いところで維持できており、
怠慢でジムを休むことは一度もなかった。
むしろワクチン前後でもジムへ行ってしまったり、体調不良でも行ってたので、休むことが下手になっていた。
自分のこれまでの人生で何か目標を持って、打ち込んだことは少なかった。
受験や部活などみんなが打ち込む姿を見てむしろ冷めた目で見ていた。
でもそれはただ逃げているだけだった。
こんなに好きで続けられる、自分に厳しくできるものは初めてだった。
今変わらなければ一生変われないと思い、目標を立てることに。
その目標がボディビル大会の出場だった。
ボディビルとは言っても、ブーメランパンツをはいて出るような競技ではなく、今流行りのサーフパンツで出る上半身で競うカテゴリだ。
Youtubeで観ていた方達のカッコイイ姿に憧れていたということもあり、
初めて競技に出たいと思えたのだ。
因みに2025年、今年に挑戦するつもりだ。
今思うこと
この3年間程度の期間で筋トレはダイエット目的の手段でしかなかったが、
今では生活の一部、正直仕事よりモチベーションが高い。
目標があるということはそれだけプレッシャーもあるし、恥ずかしい思いを
するかもしれないという怖さもある。
でも、自分で決めたことである以上、もう逃げ道はないわけだ。
言い訳はできない、全力でやってダメなら仕方ない。
自分に必要なのは何かに全力で打ち込み、挫折し、這い上がることだと思う。
何かと斜に構え、冷めた目でみるようなダサい男ではなく、好きなことや
ぶつかっていきたいものに後先考えず、打ち込んでいくことは人生で
必要だと思う。
子供にもその姿を見せたい、かっこいいパパと思われたい。
そんな思いで今は全身全霊で生きている。
ただ、筋トレは好きだが、食事制限はしんどい。
元々食べることが好きなので、鶏胸肉と白米みたいな食事をずっとしていると時々発狂しそうになる。
でもこれも好きなことの一部だと思って、自分に催眠をかけてなんとか
食事も管理している。
挑戦は衰退を止める唯一の手段
挑戦は全ての人間に与えられた平等な権利だと思う。
もちろん環境によっては、命がけの挑戦になる人もいるだろうし、全く成功
することが難しい環境にいる人もいるだろう。
でも挑戦は誰にでもできる。行動できるかできないか、それだけなんだよね。挑戦することは失うものもあるが、その失ったものは本当に必要だっただろうか、本当に必要なものなら、挑戦してもまた戻ってくる、それか、
そもそも失うことはないだろう。
何か始めるときとか、やったことないことをやる時は「恐怖」という本能的なセーフティ装置がある。いつも私が考えるのは、その恐怖というセーフティがもしなかったら、やってる?それでもやってない?
もし、恐怖が原因でできないのであれば、恐怖を取り除けばいいだけだ。
どうやって取り除くかは人それぞれだが、私は自分を追い込み、恐怖よりも
「重圧」を利用する。
例えば、大会に出るのは今でも怖い。自信はあるが怖い。
でも既に会社の人や、家族、友人には大会に出ることは報告している。
これで出なかったらどうだろうか。あれ?やめちゃったの?
あんなに張り切ってたのに怖くなっちゃったの?
あんなに好きって言ってた筋トレ、そんなに好きじゃなかったんだ。
こう思われるわけだ。
もう私の心にあるのは恐怖よりも大会でどう勝つか、どれだけ応援してくれる人にステージで恩返しできるかだけだ。
もう出るしかない状況を自分で作り、そこでどう花を咲かせられるかという
方に思考を無理やり持って行かせればいい。
明日からダイエットするとよくいう人がいるが、自分一人だけの力で何かを
達成することは相当難しい。人は協力しながら生きていく集団的な生き物。
ダイエット成功した人にアドバイスを聞いても良い。周りの人にダイエット
を決意したことを報告して、見張りをつけてもいい。
そうすれば、周りも注視してくれる。見た目が変わった時には必ず痩せた?シュッとしたよね、と言われるだろう。
最後に
ここまでモチベーションが高い自己啓発的な感じの人に見えただろうが、
本当の私は誰よりも怠け者で、心は弱く、一人で何もできない社会不適合者なんです。
ずっとだらだら生きてきたし、別にそれでも少しの幸せは味わえていたし、そういう人生も魅力的だと思う。挑戦とか行動とかも、別にしなくてもいいと思う。でも、心のどこかで、このままじゃダメだとか、なにか心が燃えるようなことがやりたいと思っているなら、なんでも行動してみても損はない。
人生一度きり、一個や二個好きなことや物があるだろう、せめてその好きなことや物には全力で向き合っていきたい、そんな風に思う。
好きなこと以外は中途半端になってしまう人間だからこそ。
海外生活のいいところは全てが挑戦というところ。
自国にいれば、普段の生活内で挑戦することは中々ない。
英語もほとんど通じないこの国においては、買い物も移動も病院も散髪も
すべてドキドキの連続。
恥ずかしい思いも悔しい思いもしてきたが、俺は今挑戦中なんだ、
黙って温かい目で見守っとけ、と思いながら生きている。
これからも弱い自分に挑戦し続けていこうと思う。
※今月から2週間程度日本帰るので、その時は暴飲暴食してしっかりと脂肪
蓄えてきます。