認知症の人に怒っちゃだめよ
ちょっとした話をします。
ちょっとやっちまった話です。
前にも書きましたが、私はゲーム実況を見るのが好きです。
ハマっている人がいて、その人の実況ライブはできる限り参加してコメントも打って、若い子に混じって楽しんでいます。
さて、私の中にそんなことをしている自分が、ゲーム実況に参加したいがために時間を異様に気にしている自分がちょっと恥ずかしいと、そういうのもありました。
最初から話しましょう。
その日は、90歳になる母のところに来ていました。
母と喫茶店に行ってモーニングを食べ、洗濯物を交換し(母は軽い認知症があり、自分の着るものに関して、まったく無頓着です)、そして早く帰ってゲーム実況を見るつもりでした。
母の家に行くと同居している弟が、昼に妹が来るというのです。
お姉ちゃん、どうしてこんなに早いのと言います。 ゲーム実況を見たいからだとも言えず、じゃ、昼まで待つわということになりました。
昼まで時間があるので喫茶店でも行こうかということで、母を連れていくことにしたのです。
計画が変わったことで私の心に少しさざ波が立ちました。
さて母を連れて車で出かけたわけですが、母が突然、「この道を曲って」と言いました。
喫茶店までの近道のようです。
母はかつてよくそうやって近道を教えてくれました。地理に意外と詳しい母でした。
私は早く喫茶店に行きたかったので、ちょっと心配になりましたがその通りにしました。
「ここを右」
母の言う通りに走ります。
そのうち母の言い方が不審になってきました。
「あれー、ここ右だっけ」
「あれー、じゃ、ここ左」
言われるままに走るうちに、母は突然言いました。
「わかんなくなっちゃった」
もうなんかその時、私は爆発してしまったのです。
怒りの爆発が頭からドカーンと。
言っておきますが、普段私は優しい人なんですよ。ほんと、これ。
それがあの時はね、ほんとになぜあんなに怒れちゃったのか。
顔は鬼のようになっていたと思います。
ぷーっとふくれて、結局ナビ使って実家に帰ってきちゃいました。
実家には弟がいました。
「お母さんの言う通り走ったら迷子になった」
私はすごい勢いで弟に報告しました。
母はごめんなさいごめんなさいと謝るばかりです。
弟はひととおり私の話を聞くと、笑って言いました。
「認知症の人に怒っちゃだめだよ」
ああ、またやっちゃった。
私の怒りの感情はしゅーっと小さくなっていきました。
弟の言うことが100%あっています。
私は間違っていました。
早く帰りたいとか思っていた。
今日の日程が狂うとか、そんなことが頭に渦巻いて、大失態をしてしまったのです。
バカな自分が悲しいです。
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