【探究学習】社会課題を解決すべく、宇宙目線で「世界」を作った話
生徒たちが挑んだのは「『君の疑う力』から世界をつくり変える新しい教科を提案せよ」(博報堂)というミッション。
ミッションのいう「疑う力」を、どう解釈するか。生徒たちは「『今の世界のままで良いのか』という、現代社会に懐疑的思考を働かせる力」と定義し、そこから、i₋worldを提案しました。ideal(理想)とworld(世界)の造語で、理想の世界を作っていこうという思いが込められています。
授業は三つのステップにそって進められます。
Step1では、社会を変える第一歩として社会問題を学びます。ボランティア活動や社会問題を扱う映画の鑑賞など、実際に行動したり見たりする体験に重点を置きます。調べるだけで終る学び以上の刺激を得るのが狙いです。
step2では、i-worldというアプリで、自分が考える「理想の世界」をバーチャル空間で創っていきます。その世界で起きる様々な問題を解決する、プロセスそのものを通じて、想像力、創造力、疑う力を養うのがねらいです。
では、どうやって「世界」を作っていくのでしょうか。
ログイン後、基本設定を済ませた後、たくさんの社会問題の中から「変えたい世界」を選びます。「ひきこもり」「貧困」「虐待」……たくさんのテーマが並びます。そこから、自分が気になるテーマを選んでいきます。
テーマを選ぶと、それぞれのテーマが「星」になって現れます。セクシャルマイノリティの「星」を選ぶと、「ゲイ」や「同性婚の合法化」「LGBTの公衆トイレ問題」など、テーマにまつわる課題や問題が「島」として分かれています。
ここでは「ゲイ」の島で「世界」を作ることにしました。「創る」「観る」「トーク」の各機能を使って「世界」を作り上げていきます。
「創る」の機能を使って、思い描いた街をバーチャル空間に作り出し、「観る」の機能で、「自分」「相手」「俯瞰」の視点を自由に行き来できます。トークは世界中の人々とコミュニケーションできる翻訳機能付きです。
仮想世界の「社会問題」
次にアバターと、アバターが過ごす「世界」を作ります。アバターの名は、蓮君と宙君。交際中の2人ですが、同性愛への理解のない「世界」で生きています。商店街を仲良く歩く2人に、否定や困惑の声が。傷ついた2人は、耐えられず別れてしまいました。
この「世界」に根強くある、差別的な空気を変えるにはどうしたらいいか。ここから解決に向けたアクションが始まります。同性愛を描いた小説の広告を大型ビジョンで配信したり、国会で同性婚を認める法律を作ったり。意識と法・制度の両面から、解決に向けたアプローチをしていきます。
アクションの積み重ねから、社会の同性愛への理解が進んだ世界が生まれてきます。
現実でも行動を起こす
バーチャル世界で身につけた問題解決のアクションを、現実世界でどう生み出すか。そこでstep3では、i-Worldで開かれる様々なイベントや参加者同士の意見交換などを通じ、現実世界での行動に移していきます。
目玉は、i-Worldの全ユーザーが集まる年一回のイベント。アプリのなかの「白紙状態の地球」に集まり、その年に解決するべき「社会問題」のテーマを決めます。そして、そのテーマの解決に向けた行動を、現実世界でも起こしていくのです。そしてその様子を、i-Worldのコミュニティで報告していきます。
「報告に『いいね』の数が表示されない設定にしました」と生徒たち。「誰かに褒められるから社会貢献をするという概念を除外したい」ためだそうです。
生徒たちは、i-Wolrdに集まる人の数だけ、世界を変える行動が生まれると考え「博報堂の発信力で、このアプリをCMで発信すれば多くの方にプレイしてもらえる」と、訴えました。
発表を聞いた審査委員からは、
「”3種類の視点でみる”ところが、この世界だからこそ実現できることで面白かった」
「世の中が変わっていくときに大事なことは、変わることに不安がある人が変わった先の未来に安心できることなので、新しい形を提案されていると感じた」
という感想が上がりました。
みなさん、ありがとうございました!
この発想、どこから生まれた?
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