「その姿勢、肩こりになるかも」と教えてくれる椅子とクッションを中学生が考えた。
「起業したい」と思ったら、どんな商品やサービスを考えますか?
普段の生活の中に、実はビジネスの種がたくさん眠っています。誰かの困りごとを解決するアイデアは、実現すれば多くの人の助けになります。
光泉カトリック中学校のチーム「Finovation」は、姿勢を測定して数値化できる椅子とクッション「Poschair, Poscushion」を提案しました。その内容をどうぞ。
肩こりや疲れは姿勢から
光泉カトリック中学校「Finovation」です。よろしくお願いします。
スマホやパソコンを見ているときに、肩が凝ったり疲れたことはありませんか?実はその原因の一つとして、姿勢の悪さが体に負担をかけていると考えられるんです。
20代から30代への調査の結果、なんと約70パーセントの人が「姿勢が悪い」と回答し、そのほとんどの人に肩こりなどの疲れもあることが分かりました。
なので私たちは、「姿勢が悪い」という「日常のあるある」に注目しました。
しかし「姿勢が悪い」と言っても、どのように悪いのかよく分かりにくく、改善しづらいですよね。
そこで私たちが考えたのが、姿勢にもっと視線を向ける、「Poschair, Poscushion」です。
姿勢を測定、数値化する
「Poschair, Poscushion」は姿勢を測定、数値化できる椅子とクッションです。姿勢の悪い部分などが分かり易くなり、姿勢改善の手助けにもなります。
この製品名は、「Posture」という「姿勢」を表す英単語と「チェア」や「クッション」を組み合わせて考えたものです。では、機能について詳しく説明しましょう。
まず、姿勢を画面にある重心のセンサーで測定、座標化し、それを正しい重心と比べて
姿勢の偏りを見つけます。また背中の付き方を、背もたれのセンサーで測定します。
これらの2つの指標をもとに、姿勢が悪くなったときは振動を流すか、スマホに通知します。そしてスマホアプリでは詳しい測定結果がわかります。
アプリはこちらです。重心などのデータから10段階で評価します。
レベル7を基準に、それ未満は「姿勢が少し悪い」、それ以上は「姿勢が正常でいい」と診断します。また反り腰などの重心の種類や、改善点のアドバイスを提案できます。
こちらがデザインです。
このあたりの座る部分にセンサーがついています。色はこのようにバリエーションを多くします。またPoschairおよびPoscushionの主な作りは、ポリエステルです。
Poschair、Poscushionのターゲットはずばり、姿勢が悪い、姿勢の改善方法がわからない、姿勢をチェックしたい、悪化させたくないという人々です。
はじめに紹介した調査で「姿勢が悪い」と答えた半分以上の人々に改善策がないことが分かり、人々に役立つと考えました。
また、姿勢をチェックしたい、悪化させたくない人には、姿勢を数値化し、アドバイスも受けられるPoschair, Poscushionはぴったりですよね。
ですがこのような姿勢改善のための製品はすでに多くあります。しかしその多くは姿勢を矯正する椅子など、正しい姿勢の理解がしにくく、その椅子がなければ再び姿勢が悪くなるのではないかと思いました。
Poschair, Poscushionは姿勢の悪かった部分を表示し、アドバイスをするので、よい姿勢を理解し改善できます。また姿勢矯正の椅子には座りにくい形で固いものもありますが、
Poschairは普段座る椅子と同じ形なので問題ありません。
本体価格は、Poschairが1万5000円、Poscushionが1万円です。
販売方法は3つ考えていて、1つ目は実際に体験してもらえる家具屋です。2つ目は時間場所関係なく購入してもらえるインターネット販売です。3つ目は接骨院などの医療機関です。
姿勢改善で健康な社会を!
Poschair, Poscushionで改善されたよい姿勢は、肩こり、腰痛、疲れの解消はもちろん
見た目がよくなる、代謝活動の活発化などよい効果があります。その結果、健康、仕事や勉強の効率化にもつながります。
私たちはPoschair, Poscushionで人々が健康な社会へ、SDGsの「すべての人に健康と福祉を」の力になることをめざします。
このようにPoschair, Poscushionは姿勢を測定・数値化することで、人々の姿勢を改善し健康に貢献します。
これで「Finovation」の発表を終わります。ありがとうございました。
審査委員からのコメント
発表後、メンバーはこう振り返りました。
「初めは自分でなく、他の誰かがやったらいいやという気持ちでしたが、今は改善点があれば、積極的に自分から変えるようになりました。もっとこうしたらいいんちゃう?と言ってもらえると話し合うのが楽しくなって、商品が作りあげられていく『ワクワク』が大きくなっていきました。クラスも違うチームだったので、お互いが好きなキャラクターや食べ物を聞いたりする中で、話しやすい環境をつくっていきました。一緒にここまでやれてよかったです。ありがとう!」
審査委員の方々からは、
「僕もずっとパソコンをやってることが多いので姿勢を気にしてはいます。その姿勢について、あの価格で作れるんだったら、めちゃくちゃ売れそうだなと思いました。ただ、この価格で作れると想像できなくて、そこがもうちょっと深堀りされているとよいと思います」
「姿勢で困っている方はたくさんいると思うので、目のつけどころがすごくいいなと思いました。個人的には、椅子は人によってこだわりがあって買い替えるのには抵抗があるかもしれないので、クッションだけで実現できたら更にいいと思います。そしてもしかしたらクッションや椅子だけじゃなくて、僕らはパソコンの前にほぼずっと一日座っているので、スマホやパソコンのカメラで姿勢の検知ができるかもしれないと思いました。姿勢と体の使い方のクセについて、整体師さんにインタビューしてみてもよいと思います。とてもいいアイデアだと思いました」
といったコメントがありました。
またこの作品をブラックスワン賞に選んだ、桃山学院大学のビジネスデザイン学部講師の稲田優子さんはこうコメントしました。
「すごく可能性を感じたプランでした。特に5分間で自分たちの想いを伝えることが非常によくできていたと思います。自分たちの困りごとだけではなくて他の年代の困りごとを具体的に考えていて、審査委員の学生も教員も、共感できる点が多々ありました。また、中学生がこんなことを考えられるんだと驚きと刺激をもらいました。今後のステップとして、試作品をぜひ作っていただきたいです。そして桃山学院大学のあべのBDLオフィスに試作品を置いていただきたい。姿勢に困っている教員や学生が多々いますので、そこで試してもらって次のステップに進んでもらえたらなと思います」
みなさま、ありがとうございました!