方言と敬語についての試論
たとえば、大阪出身の人が東京に住むようになって、すごくきれいな標準語を身につけているケースというのをよく目にする。東京から言語的な隔たりが大きければ大きいほど、言語の標準化は首尾よくいくようだ。地方から出てきた大学生でも、九州とか東北の出身の人は、1年もすればほぼ見分けがつかないくらい標準語に習熟する。これは要するに、東京弁を「外国語」として学ぶからだ。
地方出身者が標準語を学ぶ機会は、「大学入学」か「企業就職」のどちらかに大別される。前者であれば、くだけた標準語を身につけ