Voicy No.0226 2022年10月12日放送
本文を音声で聴きたい方はこちらからどうぞ。
集客方法を工夫するより、集客が要らない仕組みづくりを考えるほうが商売は長続きします。カルビーやビール会社、専門学校などの実例から、事業が継続して発展していくポイントは何かを探っていきます。
「新規頼りビジネス」の未来。
今日のテーマは「集客の予測」です。
ヤックさんから質問を頂きました。
最近特に思うんですが、集客し続けなければ成り立たない時点で、広告必須モデルになっています。集客と営業をやらないで済むようにビジネスを設計することのほうが、とても大事です。
ビジネスモデル自体を見直さず、集客の工夫で乗り切ろうとしてもビジネスは持ちません。
ヤックさんが鋭く指摘されているように、移り変わりの激しい時代に飽きられたり競合がどんどん攻めてきたりする中で、不特定多数の人に対して広告やSNSを活用して毎度ゼロから集客をするのは、危険きわまりないと思っています。
カルビーもコンビニの棚で新規を集めている。
話のスケール感が急に飛躍しているように聞こえるかもしれませんが、実際にビジネスの存続にはとても重要なことなので、少し大きめの事例からヒントをつかんでください。
法人向けも同様ですが、消費者向けのビジネスで安定成長し続けているところは、最初の顧客との接点を、ゼロから自分のところに持ってきていません。
(新規集客をオレは「フロントエンド」と呼んでいます。)
例えばカルビーにしてもキリンにしても、コンビニエンスストアとスーパーの棚を抑えて、新規が流入されてくるところと、ある種の提携関係を持っています。製菓会社もビール会社も、ダイレクトにはお客さんを取り続けていないわけです。
いくつも流入経路をつくる。
パソコン教室のようなスクールビジネスは、いつなくなってもおかしくないビジネスの1つです。
もしヤックさんがご自身で教室型ビジネスをされているなら、表現がどぎつくなってしまうかもしれませんが、無料の情報やコンテンツが無料化していく中で、教室ビジネスは単価を上げにくいです。
パソコン教室がリアルなのかネットなのかもわからないので、一般論寄りの答え方になってしまいますが、そこで毎度集客して、数を予測して成長を描いてやるだけではなく、教室が教えているノウハウをどこかと提携するといいです。
教室ビジネスは、入り口と出口の提携関係がカギになります。
専門学校でも、大きくなっているところは生徒を獲得するために、高校との連絡体制をとる部署が1つがっちりあって、大学に進学しない生徒を斡旋するような仕組みをつくっています。
ただ口を開けて待っているのではなく、専門学校生獲得のための流入ラインをつくり続けているのです。「入り」と「出」を提携関係で抑えている大きめの専門学校は、結構儲かっています。
教室ビジネスは「それをやったらどうなるの?」が重要です。
「パソコンを使えるようになった。プログラミングできるようになった。これで稼げますか」という生徒さんの声に対して、「うちの専門学校で勉強したら、就職のルートとして、こういうものがあります。こういう仕事をやっている人たちがいますよ」と言えるかどうか。
大手の専門学校は、「出」のところで就職や仕事の斡旋を1部署持って、すごく力を入れています。
ですから、ゼロから不特定多数に告知して集客することも続けつつ、それだけじゃない流入ラインを獲得することで、最低限の予測を付けてやっていくことになります。
自分のところに来る橋が1本しかなくて、その橋が台風で流されたり爆破されて橋が落ちてしまったりすると、こっちの島まで渡る道がなくなってしまいます。
橋を3本架けて、空港もつくって、空路でヘリコプターやジェット機が止まれるようにする。あとは海底トンネルもつくる。
全部で6個ぐらい経路を持っておけばいいのです。
集客に頼らない仕組みづくり。
そもそも集客をし続けなければいけないモデル自体が問題でしょう。
ブランディングというのはファンがいて、信頼関係があって、ファンが居着いてくれること。パソコン教室でも可能なのは、卒業された方のコミュニティー化です。
もしパソコン教室が1年~2年の単発で、その後、生徒さんと何の接点もないとします。売る側が勝手にサブスクのようなシステムでお金を吸い上げたらいいという意味ではありません。勉強された方に何のメリットも提供できていないのであれば、そこをちゃんと用意する。
また、コミュニティーをきちっとつくって交流を図れるようにして、集客勝負に頼らない形が必要です。
日本で大きくなっているところは、ショッピングモール系では道路からの動線をどう引くかだし、それ以外でもデパートなどの商業施設も立地の取り合いで、最初に箱物と場所の獲得にお金をかけてでも、人が流入してくるところにつくります。
広告をかけて毎度新規を取って長く続くものというのは、いい商売をやっているところでは、ほとんどないのです。
次の手を先に打っておく。
今日のテーマからちょっと外れますが、もう1個広い視点で考えてみます。
集客し続けて、ずっとそのビジネスをやらなければいけないという縛りがないなら、ここ数年の新規獲得をして教室で勉強してもらって、その方たちが卒業する間に、ほかのビジネスを立ち上げたらいい。
教室ビジネスが続きにくい時代です。
お客様やファンが積み上がるビジネスがないかを前提に、ビジネスモデルをもう一つつくっておくといいと思います。
コテツでした。
久々野智小哲津
二十数年にわたり、のべ7社ほど(8社目準備中)会社を経営。ITの会社を大きく成長させた後、新規事業でさまざまな事業を立ち上げ、フランス、イタリアを中心にヨーロッパからブランドを日本に持ってきたことをきっかけに、ブランドづくりができるようになった。
海外ブランドの日本進出や、日本国内の会社、サービス、商品、人(タレントさん、議員さん、スポーツ選手など)のブランドプロデュースにも関わっている。
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