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リセールできるのは実質無料と同じなのである|ブランディングと商売


ビジネス戦略として、リセールを意識した商品設計やシリーズ展開できることが価値となる時代が来ています。

Voicy No.315 2023年5月19日放送
本文を音声で聴きたい方はこちらからどうぞ


高く売れたら実質無料


ものを所有するという概念が、明らかにここ数年変わってきています。

買ったものを手放すときに、売るという方法が今はいっぱいあって、それがどれぐらい価値あるものかはネットで可視化されています。

所有するという概念が変わってきて、一時的に買うときに払うお金と、手放すときにもらえるお金の差分で、一時所有していることになっているのです。

そういう捉え方で、ものを買っている人は結構増えているので、買ったときよりも高く売れるのであれば、実質無料ですよね。

ロレックスとかでは、今そういうことが起こっていたりします。

価値が上がるように商品設計する


何を言いたいのかというと、ビジネスをつくるときに今考えておくこととして、リセールできるものにできるかという視点は検討したほうがいいということ。

リセールできるものは何も高級ブランド品だけではくて、ご購入いただいたお客様やファンの方が、コレクションできるとかシリーズやストーリーが続いているものも、ストーリーやシリーズに組み込まれていることによって価値が上がります。

リセールするか、それを持っておくことで価値が上がって、「私は何年の何とかを持っているのよね」みたいなことがコミュニティーにおけるステータス価値につながります。

シリーズとかストーリーが続いているものを出していくことが、とても大事です。
そういう商品やビジネスにするかしないかを、最初にきちっと検討しておいたほうがいいですよね。


リストがあれば継続できる


ビジネスを短距離走として捉えるか長距離走として捉えるかは、結構個人差があると見ています。短距離走でしか見られない人がいて、バズると広告をかけて、瞬間最大風速的に一気に何千個、何万個売れて喜ぶという考えの人もいます。

でもビジネスというのは、コテツのVoicyでも何度も言っているとおり、結局リストビジネス化しているものしか長く続かないのです。

一度来なくなったら連絡つかないビジネスは長く続いていません。

デパートの外商は、すごく強いわけを何度かお話ししていますが、コロナ禍で百貨店があんなに大きい建物とあれだけの人数を維持していてつぶれないのは、外商があるからなのです。

外商というのは、つまりリストビジネスです。

ポケモンカード


一度買っていただいたら、その後も価値が上がるものを出していこうと思ったら、ビジネスを中長距離走で考えることにつながって、シリーズとか世界観とかストーリーを育てていこうという考えになる。

ポケモンカードもリセールができて、シリーズがあって、世界観があって、ストーリーが続いていて、コレクションにつながっているものです。でも大本の話をすれば、ポケモンは最初普通のゲームタイトルの1個だったのです。

それがポケモンをいっぱい知っていることに価値があることになり、今のようなものにつながっていったのですが、その中でポケモンカードが出てきました。

ポケモンカードはリセールできるよね。

リセールはメルカリとかお店に売れるから価値があるだけではなく、欲しい人がいることでコミュニティーにおいて人間関係ができて、その価値がほかの人に認めていただけるのです。

リセールを広く捉え直せば、換金するかどうかというのもありますが、自分のファンやコミュニティーにおいて、それがコミュニケーションツールやステータスツールとして機能するならば、売っている金額以上の価値があることになって、実質無料だと思って買いたい方が増えるのです。

「いつ発売の何シリーズの何を今日持ってきたんですよ」「おー」みたいな。
「俺あのとき買おうと思っていたけど、迷って買ってないんですよね」ということができるのは、コミュニケーションするためのものとして買ってくれているから。

リセールできるようにしていくもの、シリーズや世界観をつくるものは育てていくもの。
単発の取引で最大利益を狙うものではないという考えが必要です。

リセールするときにそのブランドが変質してしまって、ポリシー・メッセージ・哲学が大幅に変わってしまったら、買っていただいたファンの方はがっかりしてしまいます。

昔買った思い出が温かく残るようにブランドを育てていくのも、とても大事なことだと思います。

リセールに強いものを買う


家のクロゼットが結構大きいんですが、服が入りきらないので外の別なところに洋服を入れています。

サンローランにエディ・スリマンというデザイナーがいて、結構マニアックなファンがいたときのジャケットとか、川久保玲さんのコムデギャルソンの服が、着られずに、ずっと倉庫に眠っていたのです。

改めて調べてみたら、こういう服はリセールバリューがすごく高かった。
服でも購入して逆に上がっているというか、なかなかの価格になっているものもあるわけです。

俺は、買ったものを手放して売ることは、あまりありません。

でもこういう仕事をしている関係上、ものが売り買いされていることに興味関心がすごくある。

自分が買おうと思っているものが、どの程度売るときの価格になるかというのは今ならネットで調べられるので、実質手に入れるときに払う金額はすごく低い場合があるということです。

車や不動産でもある話だし、絵画でもそういう性質は強いですよね。

しかし決してそれだけではなく、ご自身がやっているブランドにおいても、これは可能なことです。ラベルをシーズンごとに変えても、コミュニティーの中でリセールが起こるかもしれないし、コレクション的な価値や手に入れる価値として認められて、価格よりも価値としてお支払いいただいて大事に扱っていただけることもあります。

そういう工夫は考えてみてはどうでしょうか。

以上、久々野智小哲津でした。

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Profile・・・久々野智 小哲津(くくのち こてつ)
ブランドプロデューサー/事業家
ブランドや企業の魅力を高め世の中に届ける仕事。海外企業日本進出、IT事業、エンタメなど合計7社を経営。それ以外にも、国内の人・物・企業・番組・タレント・テレビCM・広告•ブランドのクリエイティブなど130のプロジェクトを担当。現在も、多種多用な業界の15社前後の上場企業や業界トップ企業のブランド顧問・アドバイザー・プロデューサーなどを務める。

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上の文章はVoicy放送をさかのぼり文章化したものです。
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