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東京は高くていい。お金の話|ブランディングと商売
Voicy No.0295 2023年4月3日放送
東京での生活はコストがかかりますが、その投資によって得られる価値は大きいもの。価格の幅を広げることで選択の幅が広がり、お金の流れもよくなっていきます。
今日は「東京は高くていい。お金を回す」というテーマでお送りします。
東京ミッドタウン八重洲
2023年3月、東京駅八重洲口に東京ミッドタウン八重洲という新しい商業施設がオープンしました。
商業施設としては小規模ですが、いつも最新鋭の何かがオープンしたら行ってみるのが趣味だし、それが仕事なので行くわけですが、八重洲ミッドタウンに関してコメントするのはやめておこうぐらいの感想です。
でも、近い方とか興味のある方は、行ってみたほうがいいと思います。
いま一番大手デベロッパーとか商業施設運営側が推したいものが並んでいて、こういうものがウケるだろうという仮説があり、こんなふうに時代を見ているんだなというのがあって、それをズレていると思うか合っていると思うかは、自分の感性の確認でいいですしね。
東急プラザ銀座
すごく言いにくいけれど、例えば東急プラザ銀座は、テナントも出て、お客様の入りも悪くなって、銀座の数寄屋橋交差点というソニービルがあった向かいにあって、有楽町と銀座の両方からアクセスできる好立地にもかかわらず、とんでもなく悲惨な状況になっています。
でも、ここができた時点で、ある人を介して「これだけは」と思って言ったことがありました。それはいいとして、仮説を大はずししたケースとして、行ってみたほうがいい。
見に行った中の1つの出来事を元に話しますね。
日本人のお金アレルギー
レストランフロアで食べようかなと思ったのですが、そのとき東京駅周辺の人の流れが人の流れが戻ってきていて、全然、食べられなかったのです。
そのあと自分が関係しているアートイベントに顔を出さなければいけなくて、後ろが決まっていたので並んでいたら食べられないと思って、見るだけにしました。
そのときに「これはなあ……」と思ったことがあって。
Voicyには写真を貼れますが、写真で特定のお店のことを言っているように思われたら困るのでやめておきます。
とにかく、むちゃくちゃ安すぎました。
そこのお店が悪いと言いたいのではなくて、自分たちの商売感覚とかお金アレルギーを変えないと回らないのではないでしょうか。
そのお店だけではなくて全部そうだけれど、マグロ丼を出しているお店があって、価格を見て本当にひっくり返りました。
東京駅の八重洲の最先端のショッピング施設で、マグロ丼的なものが1000円。
刺身をいっぱい載せた「何とか御前」が1280円です。
これは無理だろう。
この価格では、よっぽどマグロを薄く切るか人件費を抑えるしかありません。
むちゃくちゃ安すぎると思いました。
チェーン店とか同じお店が、おそらく他の地域にもある中で、同一価格でやっているのでしょうが、どう考えても成り立たない。
八重洲のビルの上には多分オフィスが入っているはずですが、為替の問題はあるにしても、世界でも東京のオフィス賃料は安くはない。
ニューヨークやシンガポールと比べると少し違いますが。
日本で最新鋭のオフィスは、当たり前ですが高いので、その下にあるレストランで、しかも商店街やフードコートではない、ちゃんとしたお店で、イタリアンのすごいお店も入っている横でやっている店が丼物1000円って、本当にびっくりしました。
漁業に携わる方が減っている問題もありますし、いま飲食店は募集を出しても人が来ないんです。オレがアドバイスしている先にも飲食店がありまして、すごく困っているのです。
それにしても東京駅に隣接した施設で、小鉢が付いてお刺身が載っていたりするようなものを1280円でやるのは、絶対に商売として成り立たない。
無理ゲーじゃないですか。
値段を上げてもいいことにしていかないとダメです。
なぜそんなに値上げを敵視するのでしょう。
これではお金が回らないと思いました。
高いもの、安いものから選べばいい
今回、タイトルがわかりにくくて迷いました。
「東京は高くていい」というのは、生活の豊かさは豪華さではなくて、選択の幅の広さだと考えているからです。
なので、東京で高い家賃を払って、決して世の中的にはあまり上がっていないから家賃を上げるところはもっと上げていいけれど、家賃が高くて物価が高くて、こういう飲食店の価格が仮に高かったとします。
その分、東京は生活インフラ、カルチャー、スポーツも含めたエンタテイメントが、とんでもなく充実しているわけ。
そうなると、ビジネスチャンスも含めた自分の周りにある街のアセットを使えると理解した上で、東京で高い家賃と物価とお金を払いながら生活し、高い収入を頂き、多くのチャンスを得ようとする人生も選べる。
東京の中にはさまざまな地域の色があるから、自分はそうじゃないなら選択すればいいだけです。
あの値段だと時給も上げられないから、これではお金が回らないなと思いました。
安いものから高いものまであって、高いところは高くていい。
消費者は自分に足が付いていて選択できるのですから。
これでは賃金は上がらない
オレが子どもの頃よく話題になったのが、映画館の中にある自動販売機が法外な金額だったこと。映画館に1回入ったら出られないから、いいやり方ではないですよね。
ただ、八重洲でいま一番新しい、ちょっときれいめの商業施設で食べることもできます。
東京駅には地下街もあるから、地下街に行って安いお手頃価格の定食を食べてもいいのに、それをなぜテナント料が高いところでやるのをよしとするのでしょうか。
これでは賃金が上がらないと本当に思います。
サイゼリアもX(Twitter)とかでたまに話題になっているのを見ますが、安い価格を保つために出すものの質を下げています。
食品でもあるじゃないですか。
980円でやっているパスタで、材料の高騰で具が減っていくみたいな写真を見たことがありますが、1200円に上げたら具を充実させることができる。
あとは消費者がその幅から選べばいいことにしてお金を回していかないと、きついかなと思ったという話でした。
本文は
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った内容を文章化し加筆したものです。
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本文を音声で聴きたい方はこちらからどうぞ。
久々野智小哲津
二十数年にわたり、のべ7社ほど(8社目準備中)会社を経営。ITの会社を大きく成長させた後、新規事業でさまざまな事業を立ち上げ、フランス、イタリアを中心にヨーロッパからブランドを日本に持ってきたことをきっかけに、ブランドづくりができるようになった。
海外ブランドの日本進出や、日本国内の会社、サービス、商品、人(タレントさん、議員さん、スポーツ選手など)のブランドプロデュースにも関わっている。
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